異世界への道は突然に
はじめまして。Rotoと申します。初投稿です。
俺は田澤 玄。至ってごくごく普通な、平々凡々という言葉そのままのような人間だ。学力も普通。顔も...まぁ普通だと思ってる。身長体重共に平均ほど。だが、人の縁にはとても恵まれている自信がある。お父さんはいつも頼れて、お母さんは少し厳しいがとても俺を大事にしてくれている。友人にも恵まれている。俺がヘコんでいたらアイスを奢ってくれたり、勿論あとで俺もあとでポテチを奢ったが。一緒にテスト勉強もした。こう考えると俺はとても幸福な人間なのかもしれない。
そんなことを考えながら俺はずっと小さいときから一緒だった友人、福島 蘭と家に帰っていた。コイツは蘭って名前だが男だ。昔からよく勘違いされていた。コイツはすっごいイケメンで学力も高い。なんで俺なんかと話しているのか不思議なくらいだ。
「なぁ、蘭。なんか最近夏がようやく終わって秋が来たと思ったら急に冬になったよな?体感-100℃下回ってるんだけど」
「流石にそれは盛りすぎだろ」
こんなくだらないことを話しながらいつものように家に帰っていた。俺と蘭が交差点を渡ろうとしたとき、
「...、え?」
居眠りでもしていたのであろうか。信号無視の車がこっちに突っ込んできた。
あ、間違いない。死ぬ。
人間ってほんとうに死を意識すると時間がゆっくりと感じられるものなのか。いやだ、まだ死にたくない。俺はまだ、いや、もう俺は無理だ。絶対にもう助からない。それなら、それならばせめて
「蘭!!」
思いっきり力を込めて蘭を突き飛ばした。蘭は目をぱちぱちとさせている。くそ、イケメンはどんな顔でもイケメンだな。思えば蘭はずっと一緒にいてくれた。ヘコんでいた俺を励ましてくれたのも、テストで勉強教えてくれたのも、全部蘭だった。たとえエゴと言われても構わない。ただ、ただ俺はずっと俺なんかと一緒にいてくれた友達には生きててほしいんだ。
「...は、?玄!?」
「今まで、ありがとな。蘭」
「はるっ...!」
蘭はイケメンだし、頭もいい。きっと幸せになれるだろう。俺はそっと目を閉じ、蘭の幸せを願った。何かが地面につく音がした。きっと蘭だろう。ああ、これでもう安心だ。
俺はそのまま、車にひかれる感覚を受け入れた。いい人生だったな。なにか、蘭が言っている気がする。もうなにも聞こえない。頭がふわふわしてくる。体が熱い。蘭は、無事かな。
「玄、はるか...!いやだ、おいていかないで...」
俺の意識はそこで消えた。
ーーーーー
目が覚めたら、そこは何もない真っ白な空間だった。なんでだ?俺は死んだはず。ここは病院ではない。それじゃあ、死ぬ前の走馬灯というやつか?
「はいはいこんにちは!いやこんばんは?おはよう、かもしれない!まぁいいや。ん゛んっ、おはよう、人の子よ。君は死んだ。友人を庇ってね。」
目の前に人が現れた。なにもない空間から、急に突然。確実に人間ではない。
「おや?わかるのかい?なかなかに勘が鋭いねぇ」
俺の思考も読めるのか。その人は純白の髪に、金色の目。翼、らしきものも見える。頭にはなにか輪っかのようなものが浮かんでいる。これは、まるで
「天使様みたいだ、だろう?」
「...やはり、俺、いや私の考えが読めるのですか?」
「あら丁寧。うん、そうだよ。なんたって天使様だからね」
「その天使様が、私になにかあるのですか?」
天罰、だろうか。俺はそこまで変なことはしていないはず、だけど
「違うちがーう!ええっとね、君を異世界に転移させることにした!」
「え」
「異世界転生、いや異世界転移か?まぁそんな感じだよ。君は心優しい人間だし、なにより若い。まだ死ぬのは惜しい。だから救済措置、のようなものだよ。第二の人生さ」
「そう、なんですか?」
「そうさ。君は異世界で第二の人生を送るんだ。そうと決まれば即転移さ!大丈夫、着いたらいろいろ説明するよ」
信じられない。こんなうまい話があるのだろうか。......いや、もう俺は死んだ。だから、たとえ嘘だとしても。また生きれるのならば。
「わかりました。ありがとうございます。...あの、一つ質問してもいいですか」
「なんだい?」
「蘭は、俺と一緒にいた人間は、まだ生きてますか?」
「うん、生きてるよ。だから大丈夫。心配しなくていい。そして、わざわざ敬語なんて使わなくてもいいんだよ」
体が中に浮かぶような感覚がした。目の前が白く光り、自分が自分じゃなくなるような感覚。
「目が覚めたら、そこは異世界さ。」
ーーーーー
目が覚めたら、目の前に真っ青な空があった。周りには花。たくさんの花。花畑だ。俺は今日からこの世界で生きていくのか。
「そうだよ。どうだい?この世界は。君がいた世界と比べて」
耳元から声がする。あの天使様の声だ。
見たことのない異世界で、少年は花に囲まれながら微笑み、口を開いた。
「綺麗です」
「だろう?」
少年の第二の人生は、ここから始まった。




