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【完結】幼馴染と異世界転生ライフ! ~幼馴染はヤンデレ女神で、俺は女神専用の最強ペットで~  作者: 茉莉多 真遊人


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19. 立て直した愛の巣と増えるゴーレム

 ヒト族の襲撃から1週間。


 俺とマイ、そして、ゴーレムたちがいる拠点ラビリスアイノス。


 タワーディフェンスのゲームを彷彿させ、ゴーレムたちが敵の行く手を阻み、その先に続く俺とマイの拠点であるアイノスを護るための大きな迷路ラビリス。


 俺とマイの生活領域であり、マイの持つ女神の能力が100%使える場所であり、2人の愛の巣ということから名付けたアイノス。


 ここもすっかりと復旧し終えた。


 定期的にやってくる魔物を相手に、今日もゴーレムたちが各所にある魔法陣から出現して撃破していく。


 しかし、つい最近から困ったことが起きていた。


「ホーネットスティンガー!」


「SHUUUUU!」


 ソード型の近接攻撃職の突き刺し攻撃であるホーネットスティンガーは、かなり硬いものでも突き通すのだが、逆に最近現れるようになったスライムのような軟体の魔物には効果が今一つで苦戦することも増えてきた。


 あ、ゴーレムがスライムに捕まった。


 やばい、早く倒さないと描写できない光景になる!


「サンダーボルトストライク!」


「GUSYURURURURU!」


 危ういところでエベナが援護に入った。ゴーレムを避けて振り下ろされた戦斧によって、スライムは真っ二つに別れ、その時の衝撃波でコアにも傷が付いて戦闘不能になった。


 だが、エベナも攻撃力でのごり押したまたまなことも多いため、これからもスライム相手に真っ二つにできるかどうかは分からない。


 それともう一つ。


「GRUUUUU!」


「ぐうっ!」

「がっ!」


「GRURURURURU!」


 敵にも強力な攻撃を放つ魔物が現れたことで、近接防御職つまりラピスの下にあたるゴーレムたちが耐えきれずに倒されてしまうことも増えてきた。戦線を維持するには近接防御職の強化、それと、回復役が欲しいところだ。


 回復役がいれば、ある程度の戦線維持が見込めて、安定した防衛が可能な気がしている。


「カイ様、どうしましたか?」


「リシアか。うーん……えっとな、たまに物理攻撃があんまり効かないやつがいるだろ? ってことは、魔法なら効くのだろうかなって。あと、いたらだけど、ゴーレムの回復役みたいなのが欲しいところだな……防御職のゴーレムがバタバタ倒れていくのは見ていて忍びないというか……」


 俺はいるかどうかも分からないゴーレムを想像して、リシアにぼやいている。


 ああ、よくないな。


 しかし、リシアは手をポンと叩いて、俺の方を見てニコッとかわいく笑う。


「それなら、おそらく、もうそろそろですよ」


「え?」


 俺の反応が面白かったのか、リシアが笑顔のまま、まだ一度も光ったことのなかったアイノス側にある円陣、まあ、魔法陣と呼ぶべきものを指差す。


 7つある魔法陣。その内3つは、赤、青、緑に光っていた。きっと、色的にエベナ、ラピス、リシアの出現によって光っているのだろう。


 あれ? ということは、今まであんまり意識していなかったから気付かなかったけど、あと4体いるってこと?

そう思った瞬間に2つの魔法陣が光り始めた。


 1つは紫色に光る。


 もう1つは藍色に光る。


「ふふっ……いよいよ、私たちの登場だね」


 紫色に光る魔法陣から現れたのは、紫色のショートヘアに薄いクリーム色の肌、つり目の中に光る紫色の瞳、鎧を着込まずに際どい踊り子のような露出の多い衣装を身に纏い、その周りをふよふよと宙に浮く薄い紫色のヴェールで包む美女だ。


「そうですね」


 藍色に光る魔法陣から現れたのは、藍色の修道服のような頭巾とローブを着た美女で髪の毛をすっぽりと隠しており、白い肌に丸い目、藍色の透き通った瞳が印象的な美女だ。


「君たちは?」


 あぁ、また女の子だ。


 マイに後で何と言われるやら……。


 まあ、俺が想像したイメージに近いから、俺が怒られるのは半分仕方ない気もしてくる。


「おっと、カイ様への自己紹介が遅れたね。初めまして、私は4人目のゴーレムリーダー、幻妖のカーユ。私と部下たちは主に遠距離から魔法で倒すよ」


「よろしく、カーユ」


 あ、カーユは踊り子じゃなくて魔法使いなのか。見た目から判断してしまったが、今回初めての魔法系ゴーレムということで、今後ド派手な魔法が見られるのかもしれないと内心ワクワクしていた。


 しかし、まあ、マイと同じくらい……デカいな。


 何がとは言わないけど。


「初めまして、私は安寧のサッソ。ゴーレムたちの回復のほか攻撃力や防御力の強化、特に近接職のサポートを行い、戦線の維持に努めます」


 サッソは僧侶と言うか修道士、シスターな雰囲気だ。きっと、俺が回復役でイメージした中で藍色の似合う感じに仕上がったのだろう。


 シスターっていいよね。清楚な感じがいい。


 それでちょっと甘えてくるとかだったら最高だな。


「よろしく、サッソ。なるほど、2人とも心強そうだ」


 俺がカーユとサッソの方へと寄っていくと、2人も俺の方へと寄ってくる。


「ふふっ……」

「んふふ……」


 寄ってくるというか密着してきた。両手に花状態で、左にカーユ、右にサッソがいる。リシアの方をちらっと見ると、笑顔だけど先ほどよりも若干不機嫌そうにも見える。


「近くないか? 俺は適度な距離を保った方がいいと思うけどな」


 ん? なんか甘い良い匂いがするな……。


 あれ? これ、どこかで嗅いだことあるような……。


 それよりも密着されるのはマズい。


「カイ様、出会った記念にいいことを教えてあげよう」


「いいこと?」


 カーユが魅惑的な瞳でこちらを凝視している。


 ちょっとドキドキしてしまう。


「カイ様、無意識にだと思うけど、私たちをイメージするときに女神さまを強くイメージしているよ」


 え? マイをイメージしている?


「つまり?」


 俺はちょっと困惑気味に聞き返す。


「私たちは女神さまと似ているところがあるんだよ。エベナは女神さまが直球で元気ハツラツなところ、ラピスは長い髪と幼いかわいげがあるところ、リシアは凛々しく綺麗な感じと声も似ているね」


 あー、なるほど。


 だから、リシアの声がマイに似ているなって思うし、俺はみんなをどこか好ましく思うんだな。


「そ、そうか。じゃあ、カーユとサッソはどこがマイと似ているんだ?」


「私はこの身体だよ?」


「ぶふっ!? 身体!?」


 カーユが俺にその大きなものを押しつけてくる。


 ああ、どうりでマイくらいにデカいって……呑気に納得している場合か、俺!


「女神さまの美貌そのものさ。どこも具合は同じだろうね。さあ、目隠ししたら……カイ様は果たして、私か女神さまか、どっちか分かるのかな?」


 ゴクリと思わず喉が鳴る。


 目隠ししたらマイが二人? って、そんなわけいくか!


 俺が妄想したのがバレバレなようで、カーユはいたずらっぽい顔つきで俺を見ている。


「カーユ、からかわないでくれ。で、サッソは?」


「サッソは——」


「私はきっと、こうやって身体を密着させてスリスリしちゃう、甘えん坊なところですね♫」


 カーユが答える前に、話の流れに合わせてサッソが自らそのように説明する。


 マイに密着されると気分が上がるし、サッソというか、ほかの女の子でも気分は上がるんだけど、その後が怖くて純粋に喜べないんだよな。


 いや、過激なスキンシップじゃなければいいと思うんだよ。


 ……そんなこと死んでもマイに言えないけど。


「おおっと……ははは……嬉しくないわけじゃないんだけど、一番困るかな。ほら、女神さまであるマイになんて言われるやら」


 どうやらマイのことも知っているようだから、カーユやサッソにもきちんと釘を刺しておいて、穏便に生活できるようにしたい。


 じゃないと、俺、毎日さらに搾り取られちゃう。


 もう無理よ? 俺、毎日、ギリギリだよ?


「直接聞いてみたらどうだろう?」


「え? 直……接……?」


 直接? 今、カーユ、直接って言った?


 俺が恐る恐るアイノスの方を向いてみると、リシアの姿はなく、代わりに、仁王立ちでこちらを睨んでいるマイがいた。


「カアアアアアイ、セエエエエエイ?」


「マイ!?」


 ゴゴゴゴゴ……と、地獄の底から鳴っているかのような重低音が俺の身体に響く。


 俺はきっと蛇に睨まれた蛙のように汗をかいているだろう。


「誰かな? その子たちは? ずいぶんと仲が良い感じだけど? 密着されて嬉しくないわけじゃないって、いったいぜんたい、どういうことかなあ?」


 リシア……きっと戦闘のフォローに行ったんだろうけど……その前に俺のフォローをしてほしかったな……。俺、この状況でマイに説明するの一人じゃ心細いんだけど。


 しかし、怒っているマイを目の前にしても、カーユとサッソが俺から離れる気配を出さないどころか、なんかもっと身体を押しつけてくるんだけど。


 甘い匂いがより俺を包み込む。


「2人は新しいゴーレムリーダーだよ」


 俺はキョドることもなく平然と自然に説明できた。


 いや、後ろめたいことはない。事実、新しい仲間だし、嬉しい戦力強化だ。


 マイは俺の言葉を聞いて、目を細めた。


「へえ……じゃあ、私の言うことも聞くのよね?」


 あ、やっぱ、そこは大事なんだ?


 言うこと聞かないとなると不安なのか。


「いや、この幻妖のカーユはカイ様の言うことしか聞かないよ? 私はひねくれもので、そう決めたからね。だから、カイ様の言うことなら何でも聞くよ?」


「え?」


 カーユがとんでもないことを言う。


 俺をからかうならまだいいが、マイまでからかえるの? すごくない、この子?


 それとも……本当に俺の言うことしか聞けない?


「は?」


 案の定、マイの目がつり上がってくる。


 もちろん、怒りの矛先は俺だ。


 間違いない。


 辛い。


「安寧のサッソはゴーレムのサポートを優先するため、完全独立部隊です。なので、女神さまはもちろん、カイ様の言うことも聞きません♫」


「ええっ!?」


 サッソはさらにタチが悪い。


 俺の言うことさえも聞かない?


「はいっ!?」


 マイは怒りよりも驚きが上回ったようで、若干身体をのけぞらせてさえいた。


「なので、カイ様にダメって言われてもこうやって甘えられちゃいます♫」


 サッソがこれ見よがしに頬ずりまでしてきた。


「…………」

「…………」


 マイがニコッと笑いながら、俺を見てくる。


 俺もニコッと笑って、マイを見つめ返す。


 俺に説明を求めているようだけど、俺も初対面なんだから分かるわけないだろ?


 むしろ、俺の方が2人のことをきちんと知りたいんだけど。


「……ぱふぱふ」

「……イチャイチャ♫」


 2人とも何やってんの!?


「カアアアアアイ、セエエエエエイ!?」


「これは俺のせいじゃないんじゃないかなあああああっ!?」


 この後、マイにしこたま怒られたし、マイはカーユとサッソを警戒して俺から離れようとしなかった。


 ちなみに、マイや俺の言うことを聞かないはカーユもサッソも単なる冗談だった。


 2人ともちゃんと、リシアたち同様の条件で動くゴーレムリーダーらしい。


 もう、やめて、心臓に悪いからさ。


 俺は新たな仲間に希望と絶望の同時を垣間見るのだった。

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