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【完結】幼馴染と異世界転生ライフ! ~幼馴染はヤンデレ女神で、俺は女神専用の最強ペットで~  作者: 茉莉多 真遊人


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17. 造った最強キメラと創られた最強ペット(後編)

 そうだ。あれは小学1年生、いや、幼稚園児か?


 マイとかほかの友だちとかと遊んでいた時だな。



---


「誰か助けて……独りは嫌だよ……」


 俺は一緒に遊んでいたはずのマイが急にいなくなったので捜していた。


 思えば、みんなで探せばよかったんだが、かくれんぼの途中で子どもながら中断するのは躊躇われたのだろう。


 あと、俺とマイはマイも一緒に遊んでいるとばかり思っていたが、周りのみんなはマイがかくれんぼに参加していると思っていなかったようで、見つからなくても探してもいなかった。子どもながらの参加者が不明瞭で出入り自由な遊び方だった。


 それで夕方遅くまでかくれんぼで隠れたままの奴とかいたよな……。


 俺が見つけた時、マイは公園内の物置の中で三角座りをして顔を俯けていた。後で聞いたら、扉の押しと引きを間違えていて閉じ込められたと勘違いしていたらしい。


「マイ、なんでそんなところで1人で泣いているの?」


「カイセイか……ほっといて……」


 この時のマイはちょっと……いや、けっこうなワガママで、よく周りを振り回していた気がする。だから、マイはたまに孤立していた。俺はそんなマイを放っておけず、よく一人ぼっちのマイの相手をしたものだ。


「ほっとかないよ。だって、助けてって言ってたじゃん」


「いいの。助けてくれるから」


 このとき、俺はびっくりした。だって、俺以外にマイを助けている人を見たことなかったからだ。


「誰が?」


 我ながら無慈悲な質問だ。


「……私の王子様。いつでも私を助けてくれて、私を幸せにしてくれる王子様」


 そんな人がいるのか、と思った。


「誰なの?」


「まだ見つかってない」


 まだいないのか、と思った。


 そのとき、どうしてか、俺は変に気を遣った。


「じゃあ、僕がなるよ」


「え?」


「僕が君の王子様になる」


 だって、さっきも言ったけど、俺以外にマイを助けている人を見たことがなかったから。もしかしたら、マイの王子様がいつまでも現れないんじゃないかと心配になったから。


 よくよく考えると、ひどい考え方しているよな、俺。


「ほんと?」


「うん、約束。ゆびきりする?」


 マイの顔がパっと明るくなる。


「うん、ゆびきりする。ねえ、私のこと好きなの?」


 なんか手のひらを返したかのように、俺に擦り寄ってきたことにびっくりした覚えがある。


「うん、好きだよ」


 当時の俺としては、友だちとしてなんだけど、マイの意図していた意味はなんか違ったみたい。


「私のこと大切にしてくれるの?」


「ん? うん、大切にする」


 正直、あんまり言葉の意味を気にしていなかった。


「結婚できる?」


「結婚は大人になってからじゃないとできないよ?」


「じゃあ、大人になったらすぐに結婚できる?」


「それならできると思う」


 俺、たぶん、この時、「結婚できる」って、俺とマイが結婚できるか、じゃなくて、幼稚園児が結婚できるかって意味で答えた気がするんだよな……。


「えへへ……約束だよ?」


「うん? うん、約束」


 あえて言わせてもらうと、何も考えていなかったな、この時の俺。


 だから、ちゃんと思い出せなかったのか。


 ってことは、マイが俺のことにヤキモキしていたのはやっぱり俺のせいなのか……。


 結論、俺、ひどいやつ!


---



「ふはははははっ!」


 レルドの猛攻と耳障りな高笑いに、一瞬で俺は現実に呼び戻される。


「おらあっ!」


「うぐっ? なんだ?」


 俺はさっきよりも思いきりレルドの攻撃を弾き飛ばした。


 一瞬、レルドは予想外のことに警戒する。


 俺はそんなことお構いなしに、マイの方を向く。


「あぁ、思い出した……マイの王子様になるって約束」


「え? 今? 思い出したの?」


 マイの驚きも分かる。レルド相手に気が散っているように聞こえるしな。


「一瞬、走馬灯かと思ったくらいに鮮明にな……」


「走馬灯!? お願い、カイセイ! 死なないで!」


 言葉選びを間違えた。


 俺の方へ駆け出そうとするマイを、リシアが必死に押さえつけている。


「ああ、死なない。安心してくれ。むしろ、元気が出たよ」


 俺の言葉に反応したのはレルドだ。


「ふはははははっ! その満身創痍でどうするつもりですか!」


 レルドの触手の先端が鋭くなり、突き刺すモードに変化させる。


 俺はそれに応じるように触手の先端を細く鋭く仕上げていく。


「レルド……もうお前はヒト族じゃないんだよな?」


「……くくっ……ふふっ……そうかもしれませんね! だが、私はヒト族を導く者! ヒト族を超えた存在とも——」


「じゃあいいな」


 俺はレルドが言いきる前に、さらに触手の先端を変形させてレルドの左腕をぶった切る。


「なっ!? 私の左腕がっ! くっ! 早く再生だっ!」


 レルドの攻撃が止む。


 再生に集中せざるを得ないのだろう。


 俺なら回復と攻撃を同時にできる。


「たしかに最強には2種類あるし、俺は後者なんだろう。だけどな、お前にやられるほど、ヤワじゃない」


 今度は俺から攻撃を仕掛ける。無数にある触手の先端は鋭くなく、拳大の大きさにして、まるでグーパンチを放つような形状だ。


 千手観音とボクシングしたらこんな感じだろうか。


「ぐふっ! がはっ! げふっ! 急に強くなった? いや、まさか、手加減?」


「ああ、意図的に手加減しているつもりはなかった。だけど、無意識に力を抑えていたみたいだ。おそらく、というか、俺も確証はないが、この世界が設けた制限で、俺が驕り高ぶって繁栄させるべき種族を傷付けないようにだろうな。だけど今俺の中で、お前は明確にヒト族だと認識できなくなった。つまり、傷付けてはいけない対象ではなくなったんだよ。それにマイも守らなきゃいけない。だから、お前には本気が出せるようになったみたいだよ」


 俺の威圧感が増しただろう。


 レルドの表情が見る見るうちに青ざめていく。


「ふっ……何をバカなことを!」


 強がるレルドが攻撃を仕掛ける。


 だが、すべてを俺はいなしていく。


「おらああああっ!」


 俺が攻撃を仕掛ける。


 すべてがレルドの触手に大きなダメージを与えていく。


 徐々に使える本数が減っていくレルドの触手。


 レルドの顔から余裕が一切消えてしまう。


「ぐっ!? 先ほどよりもパワーがっ! ならば!」


「甘いっ!」


 レルドの右手首が黒く怪しく光りかけた瞬間に、俺はその右腕を斬り飛ばした。


 断面からどす黒い血がボタボタと栓をし忘れた蛇口の水のように地面へと流れ落ちる。


「ぐがあああああっ! 私の右腕が!」


「これで少なくとも、お前にできることで、俺にできないことはない」


 魔物を操る力……これは調べる必要がありそうだ。


 そう考えて、俺がレルドの右腕を回収しようとした瞬間。


「右腕は渡さない! それは私だけの能力だ!」


 突如、レルドの切り落とされた右腕が光を放ち始める。


 しかし、先ほどまでの黒く怪しい光ではなく、真っ白な光だった。


 まさか!?


 とっさに俺はレルドの右腕に覆いかぶさる。


 次の瞬間に、ドオオオオンというデカすぎる爆発音と爆風の強すぎる衝撃が俺を襲う。


 レルドは思った以上に抜け目がないようで、自分の力を秘匿するために、いざという時のために自分の右手首に爆発物を仕込んでいたようだ。


 つまり、裏を返せば、仕組みさえ分かれば誰でも魔物を操ることもできるということか? レルドが自分の能力として隠している間はいいが、もし、この力が広まってしまえば……。


 俺はその恐ろしさに身震いした。


「カイセイ!」

「カイ様!」

「カイ様!」

「カイ様!」


 とりあえず、俺が抑え込んだことで爆発の被害は最小限に防げた。


 しかし、ああ、今日は腹ばかり痛い目に遭うな……。


 ふと顔を上げると、予想通りレルドの姿はなかった。


 逃げられたか……。


「逃げたか……マイ、リシア、エベナ、ラピス、みんな無事か?」


「カイセイこそ大丈夫なの!?」

「私たちは大丈夫です」

「私も大丈夫だ」

「私も大丈夫♪」


 終わった……やっと、マイが戻ってきた。


 マイが俺を心配して、一糸もまとわない裸のままに俺に抱きついてくる。


 緊張の糸が切れたからか、急にマイの裸が恥ずかしく思えて、俺は自分の服を差し出す。まあ、俺の服も突き刺されたり爆発に巻き込まれたりのボロボロであんまり意味ないけどな。


 特に腹は大穴が開いているから、マイもへそ出しルックになっている。


「あぁ、よかった。じゃあ、帰ろうか」


 俺は洞窟の天井に大穴を開けて、4人を背中に乗せてラビリスアイノスへと戻っていった。

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