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【完結】幼馴染と異世界転生ライフ! ~幼馴染はヤンデレ女神で、俺は女神専用の最強ペットで~  作者: 茉莉多 真遊人


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13. 逃げた最強ペットと呼び戻しに来たゴーレム(前編)

 俺は結局、老いたゾウの獣人、草食獣人側の族長の所へと身を寄せた。


 それから丸1日が経過して2日目だ。


 マイからの鬼電というか通信魔法の鬼要請を覚悟していたが、その覚悟が拍子抜けするくらいにまったく音沙汰がなかった。


 逆に不安になるくらいだ。


 マイ、何をしているんだろう。俺が逃げたことを怒っているのかな、悲しんでいるのかな。まさか、自傷行為とかそういうことをしていないよな!?


 気になるが……ここで何事もなかったかのように戻ることもできない。待つしかないのか。なんだか歯がゆいな。マイの【神視する玉座(ヘヴンアイズ)】が俺にも使えたら、マイのことをこっそりと見られるのだろうけど……って、いや、それじゃ、俺がマイに訴えかけたプライバシーの保護を自分で反故にするようなもんだろ。


 あ、保護を反故、なんつって……マイ、大丈夫かな……。


「今日も難しそうですか」


 周りからはボーっとしているように見えるだろうが、ぐるぐるといろいろな感情と考えと想いが入り混じっている中で、急に後ろから話しかけられてビクンと跳ねてしまう。


 後ろを向くと、族長が恐る恐るといった感じで俺に訊ねてきている。


「あぁ、すまない。まだ女神さまはお怒りのようだ。女神さまのスキルを使えない」


「おぉ、私はなんということを……」


 族長には申し訳ないが、ここ最近のいざこざについて、先日に仕組まれた踊り子との未遂がきっかけだと伝えたのだ。まあ、実際のところ、完全に嘘ではないというか、似たようなものだし、実際にあれを見られていたら……想像することさえ(はばか)られる。


「女神さまには私からもお怒りが静まるようにお願いをしている……しばし待たれよ」


 ということで、族長は女神さまを怒らせてしまったと自虐中で、俺は「この哀れなる獣人に慈悲をお与えください」と女神さまを説得中ということになっている。そこはとんだ嘘っぱちだが仕方ない。


 まあ、これで今後、獣人族が似たようなことを起こすことはないだろう。


 いや、頼むよ? 本当に。


「何卒よろしくお願い申し上げます」


 族長は俺の両手を手に取って、ぶんぶんと大きく振っている。


 まあ、老い先短そうな族長が四六時中頭を抱えて悩んでいる様子はちょっと心苦しいものもあって、早く解決しないといけないな、と自分の首さえもいっしょに絞めてしまった感があるな。


 何をしても裏目に出ることなんてよくあることだ。


 もう、どうにでもなあれー。


 こういうときは裏目に出ても気にしないお気楽さを意識的に持ってないともたない。


「あぁ、分かっている」


「ありがとうございます。今食事をお持ちします」


 その後、族長の言葉どおり、獣人たちがいつものように食事を運んでくる。出された料理は草食動物らしい野菜や果物を煮たり焼いたりしているもので、まるで精進料理のような雰囲気だ。


 食べ進めていて美味しいものを食べると、マイが今何を食べているのかが気になり始める。マイは料理ができないけれど、リシアたちは簡単な料理ならできたはず。お腹空かせてないといいけど。俺の料理だけしか食べないとかワガママ言って、リシアたちを困らせていたらどうしようか。


 そもそも、リシアたちは俺を逃がしたとして怒られていないだろうか。


 自分で逃げておいて心配になるって、俺も相当おかしいな……。


「ちょっと散歩に出てくる」


 食べ終わって、息が詰まりそうな思考モードを変えたくて、気晴らしに外に出るかと思い立つ。立ち上がってから族長にそのように告げると、彼は恭しく頭を下げて、近くの獣人に扉を開けさせた。


「承知いたしました、お気を付けて」


 俺は外を歩く。


 獣人の開拓村、最前線。緑地化とともに治水もある程度されているため、居住区としては申し分ないだろう。獣人たち以外にも動物や鳥などがおり、緑の多い自然豊かな場所だ。ここが数週間前まで草一本生えていない荒野だったとは誰も思うまい。


 ちなみにここ最近は、草食獣人たちが草木を食べ尽くさないかどうかだけが心配の種である。だって、せっかく緑地化したのに食い尽くされたら荒野に逆戻りしそうだしな。さすがに【豊穣を約束する両足(ブレスドソール)】で獣人の食糧確保までは保証していないし、そんなことを続けていたら、いつまで経ってもほかの種族のところに行けやしない。


 あー、そうか。


 この【豊穣を約束する両足(ブレスドソール)】があれば、草食獣人たちは食料に困らないのか。だから、族長は俺にあれやこれやと世話を焼いてくれているわけだな。納得した。


 よく考えたら、族長自ら最前線に立つってすごいよな。息子も良い年でそれこそ、戦いは任せているのだから、開拓の最前線に立たせてもいいだろうに。精力的なのか、それとも、野心的なのか。老い先短いと思ったが、案外長生きしそうだ。


 こうして、いつものように、閑話休題。


「さて……そんなことより頭の中を整理しよう……」


 まず、マイの話や様子を見るに、2つがキーポイントだ。


 俺とマイが幼いころに交わしたであろう「昔の約束」、それとやけに過剰反応していた「無理」という言葉。


 昔の約束から思い出そうとして進んでいないので、一旦保留にした。


 さて、俺がマイに無理って言ったことあったかな。いや、昔から気軽に話せる仲だから結構「そりゃ無理だろ」って言っていたよな。ということは「無理」じゃなくて、もう少し絞ると……「マイのことが無理」……って言ったことがあるってことか?


 それはないと思うが……。


 そんな考えに気を取られていると、自分の足元にところどころが凹んで予期せぬ軌道を描くボールが転がってくる。


「あ、カイ様、ごめんなさい!」


 俺がボールをひょいと持ち上げると、少し離れたところから子どもたちの声が聞こえてくる。俺は投げようかとも思ったが、まだ力加減が難しいので、近寄って手渡しをすることにした。


「大丈夫だ、気を付けてな」


 コアラの獣人とシカの獣人がボールを受け取りにきた。


 俺がしっかりとコアラの獣人に手渡すと2人ともニコッと笑ってから(きびす)を返して友だちの輪の方へと戻ろうとする。


 笑顔は癒されるな。


「はーい」


「ねえ、やっぱ無理だよ。だって、俺じゃ、あいつに釣り合わないもん」


「そんなことないって、ぴったりじゃん」


 コアラの獣人が困ったようにシカの獣人にボソッと呟いているのが聞こえてきた。


 ふと、その瞬間、マイの話と「無理」が繋がりそうになる。


「無理……釣り合わない……あ……そうだ、俺……」


 思い出した。多分あれだ。


 俺が小学校5年生のときの相合傘だ。


------


 俺は小学校5年生のとき、登校してみると黒板に俺とマイの相合傘があることに気付いた。誰と誰は仲が良いからラブラブなんて、子どもらしいちょっかいの掛け方だ。それと後から知ったことだが、マイのことを好きだった男子が半分やっかみで描いたらしい。


「なんだよ、これ!」


 俺はそれを見るやいなやそう大きな声を出した。


 すると、描いた本人以外の男子も、クラスの男子の半分くらいの男子が楽しそうに俺をからかい始めた。女子も遠巻きに見て楽しんでいるようで、思い返すとその時、サキトウが俺のことをジッと見ていた気もするな。


「いや、だって、お前ら、ラブラブじゃん?」


「毎日一緒に登校して、毎日一緒に下校してるじゃん!」


「いっつもぴったりとくっついてない? くっついてない?」


 まあ、あることないこと言われるのはもちろんだが、やっぱ、ふざけている奴ってニヤニヤと汚い笑顔でこっちを見てくるのとちょっとイラっとする言い方してくるから、まあ、イラっとするよな。


 だから、俺ははっきりと言ってやろうと思った。


「ふざけんなよ! こんなん、無理だって!」


 俺が珍しく大きな声を出すものだから、周りがびっくりしたのかきょとんとしている。


「……カイセイ、何言ってんだよ、お似合いカップルじゃん」


「あ……だよな?」


「うんうん、お似合いじゃん!」


 こいつら本当に分かってないな、と思い、俺は黒板にバンと手を叩きつけて力説し始めた。


 今思うとこのとき、からかってきた割になんか反応が微妙だったような……なんでだ?


「お前らこそ何を言っているんだよ! 俺がマイに釣り合うわけないだろ! あいつめっちゃかわいいんだぞ! めっちゃ告白されているし! 俺よりももっとカッコいい奴と絶対に付き合うって! だから、無理だって!」


 俺の言葉に何故か安堵した素振りを見せて、からかってきたクラスの男子が全員でこう返してきた。


「いや、そっちかーい!」


------


 うん、ニュアンスが違うけど、「俺とマイは無理だろ」って意味なら、仮にあの部分を切り取られて聞かれていた、もしくは、誰か経由で間違って伝わったとすると、俺がマイのことを無理って拒否っていることになるな……。


 だから、無理って言葉に過剰反応したのか?


 思えば、あの後に一時期、マイの密着度が減ってちょっと寂しかった気もするな。ってことは、多分、「無理」への過剰反応は十中八九それだろう。


 しかし、うーん……俺って、今さら思い出すとか、自分で思うより鈍感なのか?


 いや、そんなことないよな?


「うほあっ! なんだあれ!?」


 ふと、マイの「無理」に対する過剰反応への結論が俺の中で出た直後、近くからゴリラの獣人の放ったそんな驚きの声が聞こえてきた。


「あれは……ヒト族?」

「魔人族か?」

「魔力の雰囲気が違う! あれは……なんだ!?」

「武装している奴が来るぞ!」


 そんな声が聞こえてくる中、俺は見知った顔だとすぐさま気付くのだった。

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