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【完結】幼馴染と異世界転生ライフ! ~幼馴染はヤンデレ女神で、俺は女神専用の最強ペットで~  作者: 茉莉多 真遊人


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12. 監禁する狂愛と救い出す敬愛(後編)

 次の日、2日目。


「ほら、青いの。次はあなたにするわ。あなたもカイセイのそれを優しく刺激しなさい」


「はい」


 次はラピスだ。


「ラピス……」


 ラピスは普段から青い重装鎧を着込んでいるから今まで身体のラインを見ることなどなかったが、今日のラピスは昨日のエベナのように布1枚程度の薄着で扇情的だった。見た目こそ小柄で……イメージどおりと言うと失礼にあたるかもしれないが、イメージどおりのスレンダーでかわいらしい童顔も相まって少し背徳感の出る雰囲気だ。


 こういうことを感じている時点で、マイからすれば浮気なのだろう。ちょっとだけ理不尽だと思う。マイは男の悲しい性を理解していないな。


「カイ様、ごめんなさい。エベナも言っていたと思うけど、今は女神さまの言うことしか聞けないの」


 エベナから状況を聞いていたのだろう。ラピスはかわいげのある感じで最初に謝ってきた。別にエベナのせいでもラピスのせいでもない。


 むしろ、謝られれば謝られるほど俺の心が痛むばかりだ。


「ラピス……すまない」


「カイ様……気に病まないで。私たちは命令を聞くだけの造り物だから」


 聞くに堪えなかった。


 俺はエベナからもラピスからもこんな言葉を聞きたくなかった。


 だが、俺のこの想いが届くことはなく、ラピスが少し影を落としつつもいつものようにはにかんで笑って見せる。


「マイ……もうやめてくれ……言うことなら聞くから……2人で世界を良くして、仲良く暮らすはずだろ……?」


 俺は懇願した。


 この状況を脱する方法がほしい。


 誰か教えてくれないか。


「ダメよ……カイセイは自分の言ったことも忘れるんだから……だって、私に昔、何を言ったのか覚えている? 覚えていないでしょ? だから、身体で証明してね……もしくは本当に思い出したら考えてあげる」


 既に昔の約束を忘れて破ってしまっているという評価を下されているため、マイは俺の言葉を信用に値しないと判断したようだ。


 だけどな……パートナーって、お互いの信頼関係で成り立つものだろ? これじゃあ、俺たちパートナーとは呼べないんじゃないか?


 パートナー兼ペットのはずが、これじゃあ、ただの(しつ)けられているペットだ。


「カイ様、いきますよ♪」


「あっ……くっ……」


 ラピスの動きが始まった。ラピスの長い髪の毛がベッドいっぱいに広がっているのだろう。ラピスが動くたび、俺の脚にかかっている髪の毛が動いてくすぐったい感じもする。


「ぐっ……ああっ……こんなの我慢できるわけ……」


「青いの、布越しじゃなくても直接でもいいわよ」


「はい♪」


「なっ……ラピスやめてくれ」


「女神さまの命令ですから♪」


 マイの命令によって、いや、嬉々としているラピスの手がするりと俺の下着の中へとほぼほぼ躊躇(ちゅうちょ)なく滑り込んだ。


 直に触られる快感は布越しの数倍にも膨れ上がる。


「んふふ……」


「くっ……何がおかしいんだよ……」


 マイは俺をいじめることに目覚めたのか、とても興奮した様子で我慢する俺を見ている。


 ラピスが与えてくれた快感の後に、マイが交代とばかりに快感を与えてくる。


「別に? ほら、やっぱり、まだまだダメね。こんなにしちゃって……仕上げは私がしてあげなきゃ……青いの、どきなさい。あとは私とカイセイのお楽しみなんだから」


「はい……」


 こうして2日目もその後はマイと寝ずの晩を過ごした。


 そして、3日目、今日の先ほどまで。


「今日で一巡するわね。緑の」


 マイの魂胆が読めてきた。


 俺の情けない姿をゴーレムたちに見せるのも目的になっているようだ。エベナの時も、ラピスの時も、俺が為す術もなく快感に顔を歪ませているところをしっかりと見られている。


 俺の情けない姿を見せて、俺に好意を抱かせないようにしているのか。だが、そもそも、俺とリシアたちはそういう関係じゃないから、そういうことをすること自体がおかしい。


 だが、マイは止まらない。


「はい」


「リシア……」


 3人目。リシアだ。


 エベナやラピス同様に薄着で部屋に入ってきて、俺の足の間に入ってくる。


「あなたは特にカイセイのお気に入りみたいだから」


 リシアがお気に入りとかはない。たしかにリシア、エベナ、ラピスの3人とも大事な仲間だ。それは間違いない。だけど、特別に思ったことはない。恋愛感情を抱いたことはない。


 だから、全部、マイの勘違いだ。


 俺が好きなのはマイだけなのに。


「そんな恐れ多い……」


「だから特別に……舌で刺激してみる? もちろん布越しだけど」


 俺は驚きで目を白黒させてから、ハッとなって今までで一番の大声を張る。


「やめろ! マイ! やりすぎだろ!」


 掠れてほとんど出せなくなっていたはずの声がマイに届いたようで、マイがこちらをじっと見ている。


「命令とあらば……」


「リシア! やめろ!」


「カイ様の命令は聞けません」


 俺はそれだけは絶対にさせないと怒りさえ滲ませて訴えかける。


「リシア! マイ! 本気で怒るぞ! 本気でだ! そんなことさせたら、もう絶対に許さないからな!」


「っ! ……やっぱり、ダメ……それはやりすぎだから。手で刺激しなさい」


 マイが命令を変更した。


 俺のことが好きで、嫌われたくなくて、本気で怒られたくないことまでは本心として間違いないようだ。


 まだ……やりようはあるか?


「……承知しました」


 それならば、いっそのこと、このままでは嫌いになってしまうと言って状況を変えるか? だが、それじゃあ、たった今、マイがしているような相手を無理にコントロールしていることと同じだ。


 こんなやり方、俺はしたくない。


「くっ……だから、こんなの無理だって……」


 考えているとすぐにリシアからの快感が押し寄せてくる。


 だが、夜通し3日目となれば、体力的にも精力的にも限界に近い。


「ふふっ……でも、少しずつ時間が掛かったりそこまで大きくならなかったりし始めている……もっとちゃんとすれば、カイセイが私以外から何も感じず……私だけのものになる……」


 この倒錯状態をどうにかしないとどうにもならない。


「俺はマイのパートナーだ! 最初から!」


「だから、身体でも覚えてね」


 その後、すべてが終わり、お互いに不眠不休で3日も連続で続けていたからか、マイがついに眠ってしまう。


 結局、俺はマイに誠心誠意を伝えたが、その想いが届くことはなかった。


「くっ……俺は一体いつまでこんなことを……」


 俺はマイの【束縛する愛の左手(エンゲージハンド)】によって、拘束具を自分で外せないようになっている。だから、マイが寝ている今、逃げようにも逃げることができない。


 大きな音を出せばマイが起きる可能性もある。


 どうすれば……。


 そんな時だ。


「カイ様……」

「カイ様……」

「カイ様……」


 恐る恐るといった様子でリシア、エベナ、ラピスの3人が俺のいる寝室へと入ってくる。普段通りの鎧姿の彼女たちが一番見慣れているし一番安心する。


「リシア、エベナ、ラピス……大丈夫か? ごめんな。変なことさせて」


「いえ……それはむしろ喜ばしいことで……」

「いえ……それはむしろ嬉しいんで……」

「いえ……それはむしろ楽しかったので……」


 3人の恥ずかしそうにしながらも嬉しそうな雰囲気でもじもじとした笑みに一瞬、頭が真っ白になったが、あー、そうだった、ここの世界観、若干18禁要素があるんだった……と思い直して、なんだか複雑な気分になる。


 ここ、まだシリアスなシーンなんだと思うけど。あと、そういうところがマイの逆鱗に触れている気がするんだよな……。


 もう、どこから変えればいいのだろうか、分からない。


「こほん……カイ様、お逃げください。今なら女神さまの能力も解除されているはず」


 ……あれ? マジ?


 ふと、拘束具に力を込めてみると、簡単に外すことができた。


 なんだか、象と枷の話を思い出してしまう。貧弱な子どもの時に枷を付けられて逃げられないと理解した象が、大人になって大きくなったから力を込めれば一瞬で抜けそうな枷をしているのだけれども逃げられないと思い込んでしまったためにもう逃げようともしない、そんな話。


 俺もリシアに言われるまで、その象と一緒だった。


 もしかして、【束縛する愛の左手(エンゲージハンド)】って、マイが意識を失うと解除されるのか? だから、マイ、ずっと起きていたのか?


「……のようだな。だけど、俺が逃げたら……」


 マイからまたあの冷たい視線を投げかけられるのか。


 俺は正直嫌だなと思った。


 俺は笑顔でいつも優しくしてくれるマイが好きだ。


「どうなるか分かりません……けど、このままでは何も変わらないのではないでしょうか。それどころか、もっと過激になる可能性も……」


 だけど、リシアの言うとおり、このままでマイが戻るかは分からない。


「俺もそう思う……」


「状況を変えるほかないです。私たちは今、女神さまに忠実なる者ですが、気持ちとして、カイ様の良き味方でありたい」


 ゴーレムである以上、命令には逆らえない。しかし、彼女たちの奥底、気持ちの部分では俺を一番に考えてくれている。


 それが何よりも嬉しかった。


「……すまない」


 俺はすーすーとかわいらしい寝息を立てて眠ってしまったマイに触れることはおろか、一言も告げられずに出ていくことになる。


 どうすれば、いいのだろうか。


 こうして俺は何も考えつかないまま、一時的にマイの下を離れることになった。

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