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領主の娘だという人物の怒りを買ったイースは見るからに金持ちであろう屋敷に連れてこられていた。


後ろでに腕を縛られ、左右をガタイの良い護衛らしき人物に挟まれた姿はまるで罪人の様だが、特段イースは罪を犯したわけでは無い。

確かに面倒ごとを察知し無視に近い行動をとってしまったが。それはせっかくのミリヤとの時間を消費しないために行った仕方の無い行為だ。

だがどうにも目の前のお嬢様はそれが気に食わないらしいかった様で、あろうことかイースを拉致までしてしまったのだ。


「アホそうだな〜」


「何ですって!」


先ほどからグチグチと自分がどれだけ素晴らしく魅力的か語る令嬢の話は半分は愚か大多数の話を右から左と耳を通り抜けそれでも何となく理解し、令嬢の総合表情を口にすれば案の定顔を真っ赤にして令嬢は叫んだ。


「あんたが結局何が言いたいのか、俺にはさっぱりわからない」


「本当に冒険者は頭が悪い物が多いですね!貴方の実力を買って私の護衛にして差し上げると言っているのです!」


「あーそう、それならそうと早く言ってくれれば」


 イースが理解した声でそう言うと令嬢は一旦溜飲を下げる事にした様で口元をセンスで隠してフーと呼吸を吐く音が聞こえた。


何故貴族の女は趣味の悪いセンスで口元を隠すのか、何となくだが以前から疑問に思っていた事を考えていると落ち着きを取り戻したらしい令嬢がまた話かけてきた。


「そのヘラヘラした態度は気になりますが……まぁ悪く無い容姿ですし、貴方の功績次第ではそれ相応の立場を差し上げるますわよ」


「立場?」


またわけがわからない話が始まったとイースが首を傾げると、令嬢は口元を隠していたセンスを閉じ口角がを上げた口元を露わにした。そしてイースの側まであゆみより、閉じたセンスでイースの胸元を叩いく。


「それ相応の立場ですわ、長い時間私の側にいる事ができる権利です」


それは十分に含みのある言葉だった。左右の護衛がゴクリと喉を鳴らす音が両サイドから聞こタダでさえ両腕を縛られる不快な気分がさらにます。


「……あんたやっぱバカだな、両腕を縛った程度の冒険者にそうやすやすと近づくなんて」


「……?」


再び侮辱の言葉を吐いたイースに令嬢は不快な表情をしたがそれよりも不可解なもの言い不信感を持ったのか、令嬢はイースから一歩距離をとった、瞬間イースは片足を上げ令嬢の持っていたセンスを蹴り上げてた。


驚く令嬢と反応の遅い護衛。いい加減窮屈な現状に飽きた、イースは右の護衛が抜こうとした剣を足で押さえてそのまま腕、肩と踏み台にし飛び上がる、そして左の剣を避けるついでに頭上で体を反転し左の護衛の頭を踏みつけ着地した。


「ッ!」

「貴様!」


「何事だ!」



叫ぶ右の護衛に配慮し左の護衛の上から退いた時にイースは連れてこられた部屋の扉が乱暴に開かれた。


「お父様!」


騒ぎを聞きつけたにしては早すぎる登場、あらかじめ令嬢か従者が呼んでいたんだろう。その人物は令嬢の言葉通りなら、連れてこられた屋敷の主人でこの土地の領主なのだろう。


「これはこれは……あーご機嫌いかが?」


自分で言っておきながら何か違うと首を傾げるイースを護衛に守られながら入ってきた人物で一番良いもの着ている領主と思わしき人物は呆気に取られた後、ハーとため息を吐いて令嬢、自身の娘を見た。


「カレリア、お前はまた……」


 ……また?


なるほどこの節操の無い令嬢は今回の様に目についた、男を拉致していたらしい。


「俺帰っていいですか……」

「お父様!この方です私を大蛇から守って下さったのは!」


イースの声はすかさず令嬢の甲高い声にかき消される。


「いい加減にしなさい!見合いが嫌だからと言って!そこかしこから男を連れ込むな!」


 イースの予想は的中。自分で予想しておきながらドン引きしたイースは令嬢からさらに距離をとった。


「どうして私の意識を無視なさるにですか⁉︎私は自分の好きな人と婚姻したいのです!」

「あれほど婚姻に関して時間をやったと言うのに、お前は未だに相手を決めてこない、自分の年齢を考えなさい」

「だからこうして!素晴らしい殿方を連れて来たでありませんか!なのにお父様は連れてくるたびにすぐに帰してしまう!」

「初対面で婚姻など認められるわけ無いだろう!第一お前は伯爵令嬢である事を忘れるな!」


「あーその通りですね!」

親子喧嘩が長引く予感を察知したイースは持ち前の空気の読まなさを発揮し。先ほどまで後ろでに括られていたはずお両手をパンッと部屋に響きわたるくらい強く叩いた。


「いやー全く持ってその通りです、領主様。こんなどこぞの馬の骨以下な俺は嬢様には勿体無い」


「はい?」


「あ違った……こんな…馬の骨以下なお嬢様は俺には勿体無い……あれ違う」


同じ罵倒を繰り出したイースによって、呆気に囚われていた令嬢は再び顔を真っ赤にした。

しかし意外な事に、娘をバカにされた領主は冷静な声色でイースに話かけた。


「イース・アービット最高ランクの冒険者がミスミスこんな小娘に攫われるとは思わないのだが……」


「いや、流石に貴族の方を殴るわけには行かないでしょう。冒険者の断り文句は拳ですよ、領主様」


両手を振り自分は無害で連れてこられただけとアピールしてみるが。先ほどの言葉からでは無害な事は伝わらなかった様で領主の顔は険しくなった。


「魔物から娘を助けてくれた事、感謝する礼は尽くそういくら欲しい?」


感謝の表情では無いにせよ。金がもらえる上にこの身動きの取りずらい状況を終わらせる展開にイースは嬉々として報酬額を答え用途したが。


「報酬でしたらお父様!この方をうちの護衛として雇いましょう!領主の護衛などその日ぐらしの冒険者には天職です!」



「何を言っている……」


顔を真っ赤にした令嬢が、報酬の話を聞いた途端再びイースの言葉を遮った。

父親である領主は眉を下げて呆れた声を出した。


(こりゃー、話が終わらないな…)


令嬢の発狂ぶりにそう判断したイース。話をつけずにこの場を去るには後々面倒な事になると考え大人しくしていた(本人はそのつもり)が自分がいる方が、このカオスが続いてしまう事に気づきイースは脱却を図ることにした。


「領主様、護衛の見直しには賛成ですが、俺の様な冒険者はやめたほいがいいですよ」


令嬢を落ち着かせようとした領主は言葉を発したイースを見れば、護衛に警戒され壁に張り付いていたはずの男がいつに間にか開かれた窓の縁に腰掛けていた。


「俺ほどにレベルになると、金より時間をとるから、じゃぁ」


そう言うと領主が静止の声を出す前にイースは窓から飛び降り逃げた。



馬車に詰められたとはいえ、領主の屋敷の場所は街から見晴らしの良い場所に建てられているため、イースは知らない道でもすんなりとミリヤの元まで帰る事ができた。


しかし喫茶バーバラまで後少しのところで立ち止まる、有耶無耶のまま逃げてしまった事でミリヤ達に迷惑がかかってしまうのではと思い浮かんだからだ。


領主本人はまともな感性を持っている様だが、娘を管理できていない様子からして、令嬢がイースにまたちょっかいを掛けてくだろう。そうしたらイースが蔓延る喫茶バーバラ、ミリヤに何かしてこないとも限らない。


ここは熱りが冷めるまで街を出た方が良いだろうか。しかしミリヤの元に帰って来たばかりだ、それは嫌だ。

まずは自分がいなかった二ヶ月の間、ミリヤの人間関係に何か異常がなかったか確認したい。

その次は寝起きの様子から眠る寸前の様を確認したい。

そしてそれを三週間の続けてたんの確認しつつ、ミリヤが入れたカフェラテを堪能し。

さらに二週間、他の家族の高感度を高めるために店の手伝いをしながらそれ等を行うのだ。


帰って来て早々旅にでてしまってはそれも叶わない。ミリヤと共に行けたら良いのに、ミリヤを危険な場所に連れて行くことは絶対にできない。


しばし、立ち止まり考えた末にイースは思いついた。


嗚呼そうか結婚しよう。


そうすればイースはいつまでもいつまでもミリヤのそばにいられるのだから……


今の自分の現状問題を考えていたはずが、先の願望によって魅せられた未来にその思考が明後日の方角にスキップしたイース。再び歩き始めるんるん気分で喫茶バーバラ、ミリヤの元に向かった。


扉を開き、いつものカウンターにいるミリヤと目が合った瞬間自然と真面目な表情になり、ミリヤの元に近づくイース。


「帰ってこれたんだな、よかったよ」

内心まぁ大丈夫だろうと思っていたが少し心配していたミリヤはイースを見て安堵したがあまりにも真面目な表情のイースにどうしたのかと、彼の言葉を待った。

 

「ただいま、ミリヤちゃん」

 

「おかえり、五体満足で何より……」

 

帰宅の挨拶を済ませると、ミリヤを穴が開くほどジーーーっと見つめそれ以上何も言わない青年にミリヤは困惑しキィっと少し後ろに後退すると、イースは突然懐にてを入れそしてバッとミリヤの眼前い赤い薔薇を一輪差し出した。


「何?手品?」


いきなり始まった奇行に少女は眉を顰めるがイースは構わずその言葉を放った。


「俺とけっこ」

「無理」


言い終える前にバッサリ切られたイースのプロポーズ、初めてでは無いそれは喫茶バーバラでは、稀に見る光景だった。


その後、店の奥から出て来た店主、ミリヤの父が飾られた一輪の薔薇に気づき、カウンターに顔を伏せてシクシクと無く青年の肩を叩いてそっと買い出しに向かうのだった。

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