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第二章 運命は浅葱色の鱗粉とともに(6)

「……あなた、右利きだったわね」


 フィルルは倒れた女の右の二の腕を掴み、背中側へとねじる。

 意識が途切れがちだった女が、その痛みで正気を取り戻した。


「つああっ……! わたしに窓を閉めさせたのは……利き腕をチェックするため……か。したたかな奴だ……」


「わたくし、両利きなもので。相手の利き腕で戦法を変えるため、初見の相手の利き腕をチェックするのが習慣ですの。クスッ♪」


 フィルルは女の腕のねじりを強めながら、その耳へ唇を近づける。


「さあて……。なにから話してもらおうかしら? まずはカイトさんについて、知っていることをすべて……。それから、あなたの正体……かしらね?」


「不審者のわたしが後回しか……。既に奴の……糸に絡めとられているな……」


「糸……?」


「奴は表向き、昆虫学者の優男だが……。裏の顔は、人間の女を捕食して肥え太る、醜悪な毒蜘蛛野郎! わたしがこの地で葬る! 邪魔をするな!」


「運命の殿方を葬ると言われては、邪魔せずにはいられません。順序が逆になりますが……。まず、あなたの正体を聞きましょうか?」


「それが正しい順序だろうがっ! だが、おまえは知らなくていいっ!」


 ──ゴキッ!


 女が上半身を勢いよくひねり、自ら右肩の関節を外した。

 通常は曲がらぬ方向へ腕が曲がったことで、フィルルの拘束に隙が生じる。

 その機を逃さず女は戒めを脱出。

 窓の背を蹴って開け、テラスへと逃れながら、外した関節を応急的にめ直す。


「はぁ……はぁ……。その強さに敬意を表して……一つ助言をくれてやる。奴の目に……気をつけろ」


「目に……気をつけろ?」


「フィルル・フォーフルール……。できれば味方として会いたかったつわものだが……。半ば奴のとりこ……か。残念っ!」


 女はテラスの柵の上へと立つと、そこから庭に植わる樹木へと跳躍。

 樹上伝いにフィルルの邸宅を後にし、夜の闇へと消える。


「なんという身体能力……。もしや……軍か警察の諜報員? だとするならば、あの女の言う通り、カイトさんは注意すべき存在……? ですが、ですが……。眼鏡美男子は絶対正義……ううーん?」

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