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大賢者の退屈な日々  作者: うり
第一章 はじめてのおつかい
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4. 普通は大変


 えーと、髪は『銀色』。よし。


「瞳の色は何色が普通なの?」

「ハイエルフならば翠が普通ですが、ハーフならば人に多い茶色はどうでしょうか」


 フウが記憶を思い出すように提案してくれた。


「あら。銀髪に茶色は変ですわ。昔見た人は青い色でしたわ」

「アタシが見たのは赤だったぞ」

「あらまあ。意見が分かれましたね」


 フウが私を見てにっこり笑った。何だろう。背筋が薄ら寒い。


「大賢者様はどれがよろしいですか?」


 えっ。


 私に聞くの?


「え、えーと、地上に多い瞳の色だよね?えっと、えっと」


 わかんないよぉ。


 あー、もう!どれを選んでも諍いが起きそう。たまに言い争うんだから。


 あ、そうだ。


 『端末』の別ページを開いて。瞳の色統計を検索。ここ百年でいいかなぁ。

 

 うん。よし、出た。


 五位 赤

 四位 緑

 三位 茶

 二位 水色

 一位 青


「調べたら青が多いみたい。青にするね」


 スイはふふんと得意そうな顔をし、フウは眉を下げた残念そうな顔をして、エンは赤も似合うと思うぞ、と呟いた。


 瞳は青、青っとこれかな?『蒼』を押して。後は発行許可をして、と。


 特に何の反応もなく終わった。


「どう?変わった?」


 くるっと一回転して聞いてみる。


「おお、ただの銀髪だぞ。瞳は……これ青か」

「蒼な感じもしますが、大丈夫でしょう」

「ずいぶん濃い青にしましたのね。」

「?何か違った?」

「いいえ。大丈夫ですよ」

「そう?これで準備はおわり?」

「まだまだですよ。ステータスを変えましょう」


 にっこり笑うフウに疑問符が飛ぶ。


 何故にステータス?


 はてな?


「このままはダメなの?」

「ダメって言うか……。大賢者様のステータスはたぶんスカスカで振りきりすぎだぞ」

「私達にも見えるようにステータス表示は出来ませんの?」

「たぶん出来るよ」


 『端末』のステータス……変えるなら仮コードの方かな。仮コードのステータスは………うん、ちゃんと複写されてるね。これを可視化出来るようにして。


「『ステータス・オープン』」


 私のステータスが表示された。


 【名前】

 【種族】

 【年齢】 100

 【レベル】 1

 【HP】 無限

 【MP】 無限

 【体力】 100

 【知力】 999,999

 【器用度】 9,999

 【俊敏度】 100

 【運】 1,000

 【経験値】 100

 【属性】 火/水/風/土/光/闇/空間/時/聖

 【技】 剣Lv1 弓Lv1 短剣Lv1

 【魔法】 大賢者権限の全魔法

 【スキル】 状態異常無効/HP・MP自動回復/空間収納(無限)/空間転移(制限無)/創造(大賢者権限まで)/《大賢者特有スキル非表示》

 【加護】 創造神溺愛加護/四大精霊女王過保護加護/四大精霊王溺愛加護/神獣加護/四竜加護

 【特記事項】レベル条件: 世界の存続千年で1レベルアップ・パラメーター上昇✕10倍


「………いや、分かっていたけど、とんでもないな、これ」


 そうなの?普通だよね?でも改めてみたことなかったな。体力ないから疲れるんだ。納得。


「…………無敵ですわね。でも、ちゃらんぽらん神の溺愛加護は抹消したいですわ」

「あはははは」


 笑って誤魔化すしかない。たぶん【加護】の部分は変更不可だろうし。みんなが護ってくれているのわかるし。でも神獣加護って何だろう?四竜は分かるけど。


「フェンリルじゃないか?五十年位前に眷属にしただろう?」


 ああ、そう言えばいたねぇ。小さな迷子のもふもふ。離れないから眷属にしたんだった。フェンリルだったんだ。


「………では、まず種族から変えましょう」


 何か言いたそうな顔してたのにフウがスルーして話を進めた!そんなに変かなあ。これで百年生きてきたんだけど……?


「種族をハーフハイエルフにしてください」

「わかった」


 『種族』を押して、……選択肢にハーフハイエルフがない……んーと、直接入力で『ハーフハイエルフ』っと。よし、完了。………あれ?弓Lvが3に上がったよ!あ!種族特有のスキル上昇か。じゃあ今の私は弓が得意なのね?


「次は名前を決めませんと。大賢者様。何か好きな名前はありますか」


 名前。名前かぁ。んー…………………。


 ヒントを求めてあちらこちらキョロキョロしてたら窓辺に花が生けてあった。


「じゃあ、リリーにする」


 私の視線を辿って三人は微笑んだ。


「大賢者様はホワイトリリーが好きだよな」

「えへへ」


 えーと、【名前】リリー 。あれ?名前ってこんなに短くていいんだっけ?


「名前は長くなくていいの?」

「名前の長さは良いのですが、ハイエルフならば名字が必要になりますね」

「名字?」

「家族名または一族名だな」

「大賢者様。検索で二千年前に廃れたハイエルフの一族はわかりますか?」

「うん、やってみる」


 別画面を呼び出して、検索をかける。


「出たよ。二つある。ログレスとハイレーン」

「リリー・ログレス、リリー・ハイレーン」

「ハイレーンの方が可愛いと思いますわ」

「だな。大賢者様のイメージに合う」

「そう?ありがとう。じゃあ、私はリリー・ハイレーンね」


 ステータスの名前にリリー・ハイレーンと記入。これで大丈夫かな?普通のステータスになったよね?


「いやいやまだだよ。HPとMPの無限もおかしい」

「そうなの?これくらいないと神級魔法使えないよ?」

「冒険者が神級魔法を使う必要がありませんわね」

「そっかぁ」

「でもどれくらいかしら?1000くらい?」

「レベル1でそれは多いだろ?100にしようぜ」


 100…………。


「空間収納と空間転移と創造は最低でも5000は欲しいよ………」

「それならHPは100で、MPが5000にしましょう」

「そうだな。レベルアップすれば上がるんだ。心配ないさ」


 エンはにこやかに言って、私の頭をぽんぽん優しく撫でるけど、でも。


「でもレベルアップは千年経たないとダメって」

「その条件も変えましょう。冒険者仕様に」

「冒険者仕様!」

「お、大賢者様。嬉しそうだな。ご機嫌直ったか?」

「うん」


 【特記事項】のレベル条件を冒険者仕様、と。


 ピーピーピー!


 あれ?エラーが出た。ふーむ………。


「条件は具体的に決めないとダメみたい」

「具体的にですか?」

「それならレベルの10倍の経験値獲得で1上がるってのはどうだ?」

「そうですわね。パラメーターの上昇率は五倍でどうかしら?」

「五倍は上がり過ぎだと思いますよ。せめて二倍にしましょう」


 えーと、【特記事項】レベル条件: 現在Lv✕10の経験値獲得で1レベル上昇/パラメーター上昇率現在値✕二倍


 あと【経験値】をゼロにして。


「これで大丈夫?」


 エンが一通り眺めて少し顔をしかめた。


「うーん。スキルや魔法も弄りたいがここは禁止もあるだろうし。ギルドの鑑定レベルならばここまで細かく出ないだろうし。このくらいか?」

「そうですわね」

「ええ。とりあえずはよろしいと思いますよ」


 三人の了承を得て、完成したステータスを眺めた。


 【名前】 リリー・ハイレーン

 【種族】 ハーフハイエルフ

 【年齢】 100

 【レベル】 1

 【HP】 100

 【MP】 5,000

 【体力】 100

 【知力】 999,999

 【器用度】 9,999

 【俊敏度】 100

 【運】 1,000

 【経験値】 0

 【属性】 火/水/風/土/光/闇/空間/時/聖

 【技】 剣Lv1 弓Lv3 短剣Lv1

 【魔法】 大賢者権限の全魔法

 【スキル】 状態異常無効/HP・MP自動回復/空間収納(無限)/空間転移(制限無)/創造(大賢者権限まで)/《大賢者特有スキル非表示》

 【加護】 創造神溺愛加護/四大精霊女王過保護加護/四大精霊王溺愛加護/神獣加護/四竜加護

 【特記事項】レベル条件: 現在Lv✕10の経験値獲得で1レベル上昇/パラメーター上昇率現在値✕二倍


ふう。


 普通って難しいね。







読んでいただき、ありがとうございました。

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