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お兄ちゃんはナルシスト?

 なんでこんなことになっちゃったんだろう。

 これもお姉ちゃんが、要らない仕事増やすからだよ……。

 いや、それは関係ないわね。でも、意味が分からない、ライバルって何?

 私がお兄ちゃんのことを好きなことはわかって貰えているのよね? つまり、ライバルってことは私が好きな人をお兄ちゃんは好きってこと?


 え。

 お兄ちゃんって、もしかして。

 ナルシスト!?


 うーん。なんだろう、違う気がする。

 ライバルってホントなんなの?

 それに、あんなに拒絶しなくてもいいじゃん!

 なんか、ショックと不安で心がぐちゃぐちゃだよ…………。


「あ、おはよう、日和」

「お、おはよう、お兄ちゃん!」

「今日は、カブの味噌汁を作ってんだ、葉っぱまで使ったから癖はあるだろうけど、かなりおいしく作れたと思う」

「そ、そうなんだ」


 お兄ちゃんは至っていつもと変わらないけど。

 うーん、考えても仕方ないわね。

 登校の時に聞いてみよう。


「きよー、はやくご飯! お腹空いて死にそう!」

「そのくらいでは死なん、いいから運ぶの手伝ってくれ」

「……いやだね、お姉ちゃんは今、お漏らしをしてしまったことのショックで精神的にボロボロなのだ」

「ん? お漏らし?」

「知らないの? じゃいいや」


良くないでしょう! 

 私が後始末したんだから、ちゃんとお兄ちゃんにも報告しないと!


「昨日お姉ちゃんがね…………」

「ちくんな、日和! 怒るよ!」


 なんでお姉ちゃんが怒るのよ。

「いや、日和。言ってくれ、美乃梨に何かされても俺が守る」


 お兄ちゃんカッコイイ! 

 流石私の好きな人!


「昨日ね……」


 私は事細かにお漏らし事件について話した。


「あのな、美乃梨! ニートってだけでも、家族の負担になっているのに、他の仕事まで増やすな、それに……」

「はいはい、食事中にぺちゃくちゃ喋らないの、いつもきよが言ってることでしょう?」

「なんだ、なんでそんな反省の色がないんだ!」

「終わったことでしょう! てか良いの? 遅刻しちゃうよ?」


 私はお兄ちゃんと同時に時計を見た。

 あ、やばい。本当に遅刻しちゃう。


「行こう、日和。このごみに構ってる暇はない」

「うん!」


 後ろから誰がごみだーとか、私が年上だー、とか聞こえるけど、完全スルーで私たちは家を出た。


「ここまで来れば、遅刻はないだろう」

「そ、そうだね……」


 ここまで走ってきたから疲れたけど。

 お兄ちゃんは運動神経いいな。全然疲れてないみたい。中学校のときサッカー部で鍛えていたから、体力も普通の人よりあるのよね。


「す、すまない。日和疲れただろう?」

「い、いえ! そんなに」

「そうか、何かあればお兄ちゃんを頼ってほしい」


 それはそうよ。いつもお兄ちゃんは私の味方。

 待って。

 あのこと聞いてみよう。だって、お兄ちゃんは味方のはず。なのにライバルってなんでだろう。絶対に何か理由がある。


「……お兄ちゃん、昨日のことだけど……?」

「ん? なんだ?」

「ライバルって何?」


 時間がないから単刀直入に聞くわ。


「……あ、その件については俺、大人げないが、認めるわけにはいかない。わかっているんだ、この行為が日和の為にならないことぐらい」

「…………?」


 どういうこと?


「俺の口から到底語れない。詳しくは、西園寺ヒカリさんに聞いてほしい」

「え……?」


 ヒカリ? なんで知っているの、お兄ちゃんと接点あったっけ。

 いやないはずだよ。

 

「ほら、日和はあっちだろう? また帰りね」

「……うん」


 まぁ、いいわ。ヒントは貰った。ヒカリに聞いてみよう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ふぅ。これで良かったんだ。

日和には申し訳ないが、もっと言うなら、結城くんって子にも申し訳ないが、それでも日和が誰かと付き合うのをみすみす見逃すわけには行かない。

 日和が本当に結城くんのことが好きなら俺を超えていかなきゃいけない。敵はヒカリさんだけじゃないぞ。

 これは中学生にしてはかなり酷なことかも知れない。でも、俺は優しくはない。妹が大好きな一人の男として、ある程度の悪行はするだろう。仕方ない、俺も本気で好きなんだ。


「おはよー、喜代孝」

「あ、おはよう、薫」

「ん? 今日は元気だね、良かった」

「まぁ、解決とは行かないが、悩み事は片付いたからな」

「じゃ、お兄ちゃんきもーいって言われずに済んだの?」

「あぁ、延命はできた。それより、妹に好きな人がいたらしく、そのことで頭が一杯だ」

「え? そうなの?」


 なんだ、その表情は。

 綺麗な顔して驚くな。また、女子から可愛いとか言われるぞ?


「なんだ、意外か? あんな可愛い日和ちゃんだぞ、そりゃモテるだろうし、中学生だ、恋の一つぐらいするだろう」

「ま、まぁ、そうだけど、日和ちゃんは誰が好きなの?」

「結城くんって子らしい」

「へぇー、僕の弟と同じ名前だね」

「薫、弟居たのか?」

「いたよ、小学校の時、一緒のサッカークラブだったでしょう、喜代孝」

「そうだっけ?」


 そんな記憶はない。

 サッカーをしているときは、基本的にボールか、応援に来ていた日和しか見ていなかったからな。


「そうか、弟はどこ中なの?」

「あ、それこそ、日和ちゃんと同じ中学校だよ?」


 ん。これって結構可能性高くないか。


「もしかしてさ……」

「うん、サッカー部だよ?」


 確定じゃね。


「薫、弟についての情報、包み隠さず全て教えてもらおうか」

「……変なスイッチ入ちゃった?」


 結城くんこと、薫の弟よ。

 俺が直々に、日和と対等、いや、足元に及ぶぐらいの実力があるか、見極めてやろう。


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