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第七話 トレントと魔剣イフリート  


 少し森の奥に進んだが、シロブナ草は見つからない。


「ふむ。少し気になるな……」

「何かあったんですか?」

「いや、森が静か過ぎる」


 メリッサさんが周囲を見渡した。

 どこを見ても木しかなくて、生き物が一匹もいない。


「本来ならここに来るまでに、魔物の一匹でも出会していいはずなんだが……」


 その時だ。

 風もないのにザワザワと木が揺れだした。


「ほお。トレントか」


 現れたのは木の魔物、トレントだった。

 木の身体を持ち、枝や根が手足のように操る魔物だ。


「よし。では、ユーグ少年。やってみろ」

「え、メリッサさんは戦ってくれないんですか?」

「引率の冒険者は極力、クエストを手伝ってはいけないからな!」


 いや、さっき、タツノ草を探すのを手伝ってくれてたような……。


 まあ、メリッサさんの言う通りだ。

 このトレントは俺が何とかしないといけない。


「《魔剣イフリート》」


 《収納》から紅色の剣を取り出す。

 

「ほお。魔剣か」

「はい」

「だが、その剣はユーリンズ王国の騎士団長の剣ではなかったか?」

「そう、ですね。退職金代わりに貰って来ちゃいました」


 働きに対して、給料が少なかった。

 退職金すら貰えずに罵倒された。


 それじゃあ、いかんだろ。


 って事でこの《魔剣イフリート》を貰って来たわけだ。


「燃えろ」


 ボウッ、と刃が燃える。

 

 これがイフリートの能力《炎の斬撃》だ。


 単純に刃に炎を纏わせて斬る事もできるし、炎の斬撃を飛ばすこともできる。


 トレントが枝を伸ばして攻撃して来た。

 あの枝に捕まると潰されてしまう。


「はあっ!」


 燃える斬撃で枝を焼き切る。


 トレントは痛みを感じないはずだが、声にならない悲鳴を上げる。


「これでトドメだっ!」


 最後に肉薄して、トレントを真っ二つに切り裂いた。

 

 身体が燃え上がり、灰となって消えた。


「ふう……」


 イフリートの炎を鎮めた。

 これで終わりだ。


「おお、やるなあ! ユーグ少年!」


 メリッサさんが手を振りながら駆け寄って来た。

 俺も終わったと思い、剣を握る力を緩めた。


 その時だ。

 グインッ、と足に蔓が絡まった。


「ッ!?」

「ユーグ少年ッ!!」


 メリッサさんが焦ったように名前を呼ぶ。


 だが、もう遅い。


 蔓は俺の身体を振り回しながら、どこかに引きずって行く。

 凄い速度だ。追いつけない。


「くそっ! 待っていろ、ユーグ少年! 必ずーーー!!!」


 






 メリッサは珍しく焦っていた。

 今まで見たことがないタイプの魔物だった。


 いや、あれは魔物なのか?


 新種か?


 ああ、面倒臭い。

 森ごと刈り取ってしまおうか。


 そう思い、風を起こそうとした。


 だが、今度は蔓がメリッサを襲って来た。


「風の太刀!」


 風で蔓を切る。


 しかし、蔓は無限に生えてくる。


 それどころかワラワラとトレントが現れた。


「なんだ、これ……」


 現れたと言うより、木がトレントに成っている。

 こんなのは見たことがない。


 数千のトレントだ。

 囲まれた。

 謎の蔓もある。

 ユーグは攫われた。


 絶体絶命。逆境ってやつだ。


 けれど。











「ワクワクして来たな」











 けれど、メリッサは久しぶりの面白そうな出来事に笑顔になっていた。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


「メリッサ暴れてるな〜」

「おっ、新しい魔道具だ!」

「続きが楽しみ!」


と言う方は、ブックマークや評価(★★★★★)などよろしくお願いします。


そうすると作者のモチベーションが上がります。

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