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第三話《暴嵐》のメリッサ


 冒険者になる、と決断してから、気が付いたら馬車に乗っていた。


「少年! 喉は乾いてないか?」

「だ、大丈夫です」

「そうか。馬車は慣れないかもしれないが、もう少しの辛抱だ」


 お姉さんはメリッサと言う名前らしい。

 今俺はメリッサさんの馬車に乗り、

国境の門に向かっていた。


 このまま何事もなく国境の門を越えられそうだなー、と思った。

 その時だ。


「そこを止まれ!」

「ほう」

「え?」

「《暴嵐》のメリッサ! 貴様には国家反逆罪の罪がかかっている! 今ここで大人しく捕まれば、死刑だけは勘弁してやろう!」


 俺達の前には、大量の兵士達で埋め尽くされていた。

 騎士団、傭兵、軍隊。そしてメリッサさんと同じ冒険者までも、総勢一万名が集まっていた。


「な、何をしたんですか、メリッサさん?」

「む? ははは! いやあ、依頼でヘマをしてしまってな! 重要な軍事施設だかなんだかを破壊してしまったんだよ!」


 いやあ、やってしまったな!、と笑うメリッサさん。いや、笑えませんよ。


「ここから先は通行止めだ! もはや、貴様に道は無い!」


 ……確かに、これでは通れそうにない。

 

 一万の人の壁は、それほどに分厚く立ちはだかっていた。


「なんだ。随分と通りやすいな。良い道じゃないか」

「え?」


 メリッサさんは一人、馬車から降りた。

 背負う大剣を降ろして、構える。


「覚えていたまえ。少年」


 ぶわっ! と風が吹いた。

 風はメリッサさんを中心に嵐となる。


「私達は、自由だ」


 その瞬間、メリッサさんは大剣を振るった。

 凄まじい風の風圧に千を超える兵士たちが吹き飛んでいく。


「……凄い」


 たった一度、剣を振るうだけで数千人が吹き飛んだ。

 

「き、貴様! これは完全なる国家への反逆行為だぞ!」

「ほう? 女一人に一万人で襲う国家か。それはそれは」

「う、うるさいうるさい! お前達、もはやこいつは死刑だ! 殺せ! 殺せぇええええ!」


 指揮官のような男が命令を出すと、一気に襲いかかってきた。


「国籍にも国家にも囚われない。邪魔をするなら力尽くでどかせ。嫌いな奴がいたらぶん殴れ。そして、大事な人を守り抜け。それが冒険者だ」


 大剣を振るい、また人が吹き飛ぶ。


「私達冒険者に道はない。未知だ。だからこそ、それは道となる」


 剣を振るうと竜巻が出来た。

 また数千人が吹き飛んでいく。


 そこにはもう、一万の軍勢の姿は無かった。

 指揮官もどこかに吹き飛んで行った。


「我こそは冒険者ギルド【最強の戦士】のAランク冒険者ディアス! 手合わせ願う!」


 屈強な男が飛び出してきた。

 筋肉でガチガチだし、手に持つ武器も巨大。

 身長もメリッサさんより上だ。


 だけど、なんだろうな。

 負ける気がしない。


「うおおお! 天地破壊兜割りィ!」


 メリッサさんは大剣を一度引いた。

 そして鋒をディアスに向けたまま、力を溜めた。


 鋒に風が集まっていく。


 そしてーーー。


「道を作れ。少年」 


 ーーー突いた。


「グボラァアアア!?」


 風の一点突破だ。ディアスは吹き飛んでいく。

 国境の門を越えてもなお、その勢いは止まらない。


「カッコいい……」


 そこには馬車から門まで真っ直ぐに繋がる道が出来ていた。

 

 「うむ! 随分と通りやすくなったな!」と、豪快に笑うメリッサさんは、僕にはとても眩しく見えた。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


「メリッサ暴れてるな〜」

「おっ、新しい魔道具だ!」

「続きが楽しみ!」


と言う方は、ブックマークや評価(★★★★★)などよろしくお願いします。


そうすると作者のモチベーションが上がります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 言ってることは正しいのかもしれないが無闇矢鱈街破壊とか敵味方関係なく国関係の施設を壊すとかやってる事は犯罪だよね。
2021/02/23 09:42 退会済み
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