055 将軍ピルッカ
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少し短いですがアップしたいと思います。
翌日、俺たちは王城会議室に向かった。
ハルムスタッドに放っていた間者から、2000人もの兵をユヴァスキャラ王国へ向けて進軍準備を行い、間もなく王都を出るという情報がもたらされたのだ。
俺たちが会議室に到着したのは招集されたメンバーの中では1番早く、結局全員が集まったのは1時間後、会議開催予定時刻を過ぎていたのだった。
「先ずは、エルミ、ピルッカ、そしてエレオノーラ、由香、麻衣、セラフィーナ、何より、ジュンイチ、良くぞ悲願の総合優勝を勝ち取った!昨日も感謝をしたが、あれだけでは感謝しきれん!」
そう言うと、王は俺たち一人一人手を取って感謝してくれた。そして、
「君たちが初等部を卒業後、国を挙げて君たちの結婚式を執り行おうと思う。ジュンイチ、エルミとセラフィーナを娶ってくれるな?そしてピルッカはエレオノーラと。由香と麻衣はジュンイチの盾として、騎士として騎士爵を陞爵したいと思うがどうだろうか」
エルミとセラフィーナ、そしてエレオノーラは高速でコクコク頷く。由香と麻衣は満更でもなさそうに首肯で応え、当然、俺とピルッカはその申し出を受ける。
「で、今回はハルムスタッド王国の件だ。誰を戦場に送るか……」
「シュルヴェステル王、それではピルッカが適任かと。何せ、ピルッカはマーシャルエルフに種族進化しております」
「マーシャルエルフだと?伝説にしか出てこないエルフ族最強の種族ではないか!」
王国の正式な会議には審議官と呼ばれる者たちがおり、彼らがピルッカの職業を調べようと思ってもレベルが違いすぎるので調べることが出来ない。
ただ、俺が使徒である事はこの会議に出席する者たちには知られており、その使徒がここで偽証する事は主神オーヴァージェンによりできない事になっている事もあって、俺の言葉を信じてくれて。
「今、国境砦には国境警備隊が200人おりますので、彼を今回のハルムスタッド戦の将軍にし、後は俺とエルミ、セラフィーナ、エレオノーラに由香と麻衣で戦に臨みたいと思います」
「ジュンイチ、相手は2000人の兵だぞ?」
「先日、ピルッカは種族進化のためにオーガの集落に向かい、1000ものオーガを斃していますよ」
オーガ1000というのは、国が滅ぶほどの勢力だ。
それであればピルッカが将軍として向かうには良いだろう。
ジュンイチとエルミは使徒と聖女なのだから戦力としては十分過ぎる。
だが、エレオノーラや由香、麻衣のような少女を向わせるのは、とシュルヴェステル王は答えに窮する。
「えー……、由香と麻衣はピルッカよりも強いですよ。それにエレオノーラは間も無くエーデルエルフに種族進化します」
エルフの上級種族であるハイエルフですら滅多にいないというのに、更に上位種族のエーデルエルフであれば、戦争で負ける事はないだろう。
「ちなみに、今でもハイエルフですから」
「……」
王だけでなく、大臣たちも彼らの種族の説明を受けるだけでお腹一杯になってしまったようだった。
「分かった。それでは今回の対ハルムスタッド戦の将軍はピルッカとする。だが、ジュンイチが将軍になった方が良いんじゃないか?今回の国別対抗戦も英雄をエルミ、ピルッカ、エレオノーラに譲っていたが、何か考えでもあるのか?」
「それは……俺が人族だからですよ。やはりエルフの国はエルフが英雄に、将軍にならないと」
本当は自由気ままに過ごすには過分な肩書は邪魔にしかならないのだからなのだ。
「そうか。それなら良いのだがな」
「はい。それでは今日の午後にでも王都を出立したいと思います」
こうして、ピルッカを無事に将軍にする事ができ、後は戦争に勝つだけ、という状況になったのだった。
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