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42歳独身サラリーマン、異世界で小さな幸せを掴む  作者: もふもふ大好き
第2章 学院生活
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044 由香と麻衣3 力比べ

いつもお読みくださり誠にありがとうございます。

フェンリルとガルーダが俺に従属する事になり名前を付ける事になった。


「それではフェンリルは狼牙(ろうが)、ガルーダは鷹爪(ようそう)にしようか」

「鷹爪って……唐辛子みたいな名前ね」


俺の提案にエルミがズバリとダメ出しをするのだが、


「いえ、折角ご主人様が名付けてくれたのですから、俺はこの名前がいい」


そうガルーダが言うので、この名前に決まった。

すると狼牙はフェンリルから神狼に、鷹爪は神鷲に種族進化した。


「俺の事はご主人様以外がいいかな。由香と麻衣がお兄ちゃんとかだから……狼牙は兄上、鷹爪は兄者と読んでくれ。従者というより、兄弟として扱うから今後そのように宜しくな!」

「兄上、恐れ多い申し出なのだが……今後ともよろしくお願いする」

「兄者……か。我にそのように呼べる存在が現れるなど、夢のようだ」


そう言いながら、由香と麻衣と共に手を取り合う。


「他に、熊五郎とにゃん太、ぽっぽも居るんだが、今は王城にいる。試合が終わったら紹介するな」

「兄上の先輩従者たちか。会うのが楽しみだ」

「兄弟が他にもいるんだな。兄者はモンスター並みに兄弟が多いんだな」

「お兄ちゃんと暮らすととても楽しいのよ」

「それにお兄様と暮らすと美味しい食事が……じゅる。いえ、それが一番ではないんですが……」


そして、俺は婚約者たちを紹介する。


「俺の婚約者のエルミ、同じくセラフィーナ、友人のピルッカにピルッカの婚約者のエレオノーラだ」

「宜しくお願いする」

「いわゆる仲間というものか。アノ国ではなかったものだな」


話によると、狼牙と鷹爪はクオピオ連合国では奴隷というより拳奴という扱いだった。

独居房に近い部屋で食事も食べられれば良いと言ったものだ。

初等部には在籍していたが学院に通う事も出来ず、暗い部屋かもしくは戦闘訓練のために他の人化獣と格闘場で戦う毎日だった。

怪我をしても治療は受けられず、多くの人化獣たちが訓練の名の下に命を落としていったのだった。


「獣人は人化族から生み出されたと言うのにな……」


俺が呟くと、狼牙には一つ気になっていた事があった。


「そう言えば、アノ首輪は魔族が齎した物だと聞いた事がある」

「魔族、だと?」

「そうだ、魔族だ。奴らから首輪を手に入れ、俺たちを隷属していたと複数の獣人から聞かされていた。


という事は、クオピオ連合の裏にはヴァンター王国が控えている事になる。

以前、王城で作られた魔法陣も当初はハルムスタッド王国が設置した物だと思ったが、魔力の流れはハルムスタッドには向かっていなかった。

そうなると、ヴァンター王国は手を変え品を変えてユヴァスキャラ王国を狙っている事になる。

いや、もしかしたら、使徒や聖女である俺やエルミを狙っているのかも。

そんな考えが俺の脳裏に浮かんできた。

次戦のポルヴォー共和国の裏にも……そう考えたが、今は体術の優勝も狙う事にした。


「次は人族との試合だな」

「お兄ちゃん、普通に戦えば負ける事はないんですが……」

「何かしらの強化術を、それも強力な強化術を使っているようです。もちろん、それでも負ける事は万に一つもありませんが」


そんな話し合いをしていると運営スタッフが由香と麻衣を迎えにきた。


「クオピオさんが失格になったので試合が繰り上がり……何でここにクオピオ連合の選手が?いや、余計な詮索をやめて会場に向かいましょう!」

「お兄ちゃん、行ってくるね!」

「お兄様、頑張ってきますわ!」


2人と引率のセラフィーナは運営スタッフに連れられ会場へ向かい、俺たちは会場まで後ろに付いて行き、途中からだ観客席の自分の席に座った。

会場には既にポルヴォー共和国の選手がスタンバイしていた。

体術はどの国も初等部らしからぬ身体つきで、鑑定を行なうと、


年齢 24歳

種族 人族

状態 能力超強化中


こんな事が書かれていた。

強化魔法はダメだが、何かの手段で強化を受けるのは問題ないというのが運営の考えのようだ。

まあ、由香と麻衣も神力鎧に様々なモノを付与しているから他人の事は言えないんだけどね。

2人は観客席の中から俺たちを見つけて手を振っている。

特に由香はぴょんぴょん飛び跳ねながら手を振っているので余計に可愛い。

会場からも愛くるしい由香の仕草とその見た目の可愛らしさに多くの男性諸氏が魅了され野太い歓声が湧き上がる。


「Y・U・K・A、ゆっかちゃーんっ!!」

「まーゆっ!まーゆっ!みんなの妹、まっゆちゃーんっ!」


それに対してポルヴォー共和国の選手に対する声援は皆無だった。

だが、そんなアウェイな状態でもポルヴォーの選手たちは無言で立っている。

声援が落ち着き、審判が試合の開始を宣言すると、彼らは瞬時に消えて由香と麻衣の背後に立つ。


「「死ね」」


淡々とした口調で死の宣告をする。

由香と麻衣ですらいつ背後を取られたのか分からなかった。

それは縮地などの高速移動ではなく、短距離転移により2人の背後を取っていたのだ。

彼らは背後から首の付け根を狙って拳を突き入れた。


「「他愛もない」」


彼らはそう呟いたのだが、そこに由香と麻衣はいなかったのだ。


「「……!?どこに行ったのだ?」」


彼らは周囲を見回した。

だが、彼女らは彼らと同じく背後を取っていたのだ。


「「お返しをしなくちゃね」」

「「!」」


彼らは急いで短距離転移を行い彼女らからの攻撃を避けようとするが、転移する場所、場所で背後を取られ続けるのだ。


「「仕方がない。背中を預けるぞ」」


そう言うと再転移し、背中合わせで彼女らを迎え撃つ事にした。


「「どこだ?どこにいる?」」

「「どこを探しているの?あなたの前にいるわよ?」」


そう言うと由香と麻衣は彼らの顔面に拳をめり込ませる。

次の瞬間、男たちは地面に崩れ落ちそのまま病院送りとなった。


「勝者、ユヴァスキャラ王国っ!」


審判の宣言とともにユヴァスキャラ王国の勝利が決まり、それと同時にポルヴォー共和国のこれ以降の試合の棄権が決定となった。

それと同時に、次のドワーフ族の国ミッケリ王国との対戦が早まった。


「えーっ、試合が早まってしまったのですが……」

「早くお兄ちゃんとまったりしたいからどんどん早めてください!」

「そうですわ。お兄様との時間を少しでも長くしたいので早まった方が嬉しいですわ!」

「それでは続けて試合でも……」

「「宜しくお願いしますっ!!」」


会場の中央でそう話し合いが終了したと思ったら、ドワーフの2人組がノシノシと会場中央まで歩いて来た。

剣術は双子のドワーフ兄弟だったが、体術もまた双子のドワーフ兄弟だった。

お揃いの籠手を身に付け、ビックベアから作った皮鎧を全身に纏っていた。

恐らく籠手はハードな鍛治で自らの手作りなのだろう。

それを可能にする膂力を持った近接ファイターという言葉がぴったり当てはまるような兄弟だった。


「兄よ、我らの体術を披露するに相応しい強敵だ!」

「弟よ、我らの体術を披露するに相応しい強敵だ!」


……ドワーフ兄弟は同じセリフを繰り返さないといけない決まりでもあるのだろうか?

遠くから彼らの会話を聞いていた俺は思わず吹き出した。

俺の隣には剣術の試合で知り合ったドワーフ兄弟がいたのだが、彼らは彼らで、


「兄者、彼奴らの出番じゃ!」

「弟よ、彼奴らの出番じゃ!」


2組の兄弟は方向性は違うがお互いに切磋琢磨しながら今まで来たのだろうと思わせ、仲の良いライバルなのだと側から見ても分かる。

そんな兄弟の応援を受け止めのか、試合会場の中央にいるドワーフ兄弟はグッと力瘤を作り、自らの肉体美で応援に応えた。


「「無駄に殴り合うのではなく力比べで勝負を決しようじゃないか!」」


2人のドワーフは声を合わせて由香と麻衣に勝負方法を提案してきた。

ずんぐりむっくりした体型の彼等は身長はほぼ由香と麻衣の2人と同じくらいだ。

だが、直前の試合もパワー系の体術よりはスピード重視の戦い方をしていた。

体型的にも少女体型である2人が力比べを受けるはずが無いと誰もが思った。


「いいですよ、力比べ」

「体型差があってもお兄様の手前、逃げる事は許されませんわ!」


そう言うと、4人はがっぷり四つに組み、力比べを始めたのだった。


感想を頂けると、書くときのエネルギー源になります。

ぜひぜひ、いろいろお待ちしております!!

ブクマ、レビュー、評価なんかは涙が出るくらい頂けたら嬉しいです。

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