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42歳独身サラリーマン、異世界で小さな幸せを掴む  作者: もふもふ大好き
第2章 学院生活
34/66

034 2対48

いつもお読みくださり誠にありがとうございます。

実習後、俺たちは「迷宮踏破者」「ドラゴンスレイヤー」「Bランクハンター」という称号が付く事になった。

これは学生たちにとってはどれか1つであっても別次元の事であり、実習終了後から俺、エルミ、ピルッカそしてエレオノーラは次第に周囲から浮き始めていた。

特に俺には由香と麻衣というとてもキュート&美人の従者が付く事になった事もあって、特にデロングを中心に男子生徒は俺とピルッカに対して陰湿な嫌がらせを始めのだ。

俺はピルッカにアイテムボックスの下位互換、ストレージが使えるように付与した事もあって、いわゆる靴を隠されるとか教科書を盗まれるなんて事は心配いらない。

その代わりに、寮の部屋の前にゴミが散らかっていたりと言った嫌がらせをしてくるのだ。


「今日も、か。あいつらも暇人だよな」

「一回、締めてやろうか?」


俺のため息混じりの言葉にピルッカは過激に応える。

エルミとエレオノーラもピルッカの意見に賛成するのを見て、少し長めのため息を吐く。


「やられっ放しなのは俺も嫌だけど……」


俺は浄化魔法をかけ片づけを完了する。


「合法でやり合えば問題はないな」

「合法?合法かっ!」


俺とピルッカはニヤリと悪巧みを胸に秘めた笑みを浮かべ自分たちの部屋に入っていった。



次の日、体術の合同授業があった。

1組から5組の生徒が集まり多人数で行う事で戦術を学ぶことができるのだ。


「今日は体術の合同授業だ。装備をしてきたか?」


体術の合同戦術は原則、多対多で行う模擬戦だ。

俺とピルッカは皮鎧で参加していたが、他の生徒たちはフルプレートアーマーでの参加だ。

多くは機動性を考えて皮鎧での参加が多いのだが、彼らは結託して2対48にするつもりだったのだろう。

それを予測して、今回は敢えて皮鎧にしたのだ。


「それではチーム作りを……おい?お前ら2対48はないんじゃないか?」


マルック先生は生徒たちのグループ分けが余りにも偏っている事を注意するが、誰もそれを変えようとしないのを見て、俺に声を掛ける。


「……ジュンイチはそれで良いのか?装備も……皮鎧だろ?」

「大丈夫ですよ。それくらい問題ありません」

「相手は鋼鉄性のフルプレートアーマーで、今日は体術の授業だぞ?魔法は身体強化と治癒以外は使えないんだぞ?」

「大丈夫ですよ。俺とピルッカで問題ありません」


マルック先生は一瞬考え込んだが、本人がそれで良いというのであればさせてみよう、と考えたようだ。

しかも俺もピルッカもBランクハンターだし、と思ったようだ。


「よし、それでは今日は戦術授業だ。両チームとも戦闘開始だ!」


マルック先生の合図とともにデロングは指示を出す。

魔法の授業で負けた屈辱をここで返してやろうと意気込んでいるのようだ。


「2人の間に入り込んで分断させて囲め!足を止めさせてから同時に攻める!」


事前に話し合いをしていたのだろう、非常に連携が取れており、ピルッカと引き離されてしまう。


「相手を掴んで動きを封じろ!出来るだけ地面に転がせ!」


そして彼らは俺を掴もうと手を出してくる。

悪くない戦術だ。


「そこ、蹴るな動きを小さくし1体1にならないようにしろ」


客観的に見るとデロングの指揮能力は悪いないな。

俺はそう思いながら彼らを捌いていく。

だが、彼らは人数が多すぎる。

これは俺らにとって良い方向に働くのだ。

何せ、多人数で囲んだ場合、こちらからに攻撃を左右に躱す事はできず、ステップバックしようにも味方が邪魔でそれもできない。

こちらの打撃を受けるしか道がないのだ。


「先ず1人!」


俺はフルプレートアーマーの顔面部を思いっきり殴りつける。

フルプレートアーマーの顔面部はハウンスカル(猟犬の顔)と呼ばれるもので覆われており、顔という急所を守りつつ呼吸のしやすさも考えての防具となっていた。

それに対して俺とピルッカの拳はメリケンサックをした上で堅い革紐を拳に巻き付けていた。

これで拳の保護と打撃力のアップが図れ、ハウンスカルは1撃で潰れる。


「ぎゃあっ!」


フル装備であっても顔面部が破壊されればそれで行動不能だ。

俺は次の相手に拳を見舞う。2人目。

ピルッカも同様に次々と相手のハウンスカル部分に打撃を入れていく。

ヒキガエルが潰れたような悲鳴が次々と聞こえ、地面に積み重なる。


「顔を保護しろ!包囲を崩すな!」


だが、顔に対する防御を行ってもプレートアーマーは変形する程の打撃を入れればそれだけで中の人間は動けなく。

それを考えて、俺たちはガントレットではなくセスタスと呼ばれるもので打撃力を上げたのだ。


「ぐわぁっ!」

「足がぁっ!」


そんな悲鳴を上げ無力化されていく。

それに対して俺もピルッカも損傷らしい損傷は受けておらず、打撃速度を上げていた。

何せフルプレートアーマーは重量だけで20キロを超える。

訓練された兵であればある程度自在に動けるだろうが、初等部の、まだ身体も完成していないような学生が身に付けたら速度が落ち、転んでしまうと自分で起き上がれなくなる生徒もいた。


「動けない奴は、2人の動きを止める事に集中しろ!奴らに負けを認めさせれば良いんだ!気張れっ!」


デロングの指示で彼らはほぼ無力化されているが、足止めだけでもと手を伸ばしてくる。

敢えて怪我させる事はないが、少々鳩尾あたりを踏んでやると、彼らは動かなくなるのだ。

鳩尾の部分が凹むと呼吸ができなくなるからだ。

48人いた奴らは残り10人。


「5人1組となり相手を組み伏せろ!体重を使い押さえ付けるんだ!」


この時、流石にピルッカは捕まってしまう。

人数が数なくなった分、囲んだ時の距離を短くできるからなのだ。

背後から抱きつかれたピルッカは動きを……封じ込められなかった。

20キロを超える装備を身に付けた相手に抱きつかれていても、そのまま動き回って残りの4人を撃ち斃していく。

今、ピルッカが身に付けている皮鎧はオーガカイザーの皮を加工したものでそれに様々な付与を加えていた。

その上、身体強化を行ったのだからフルプレートアーマーを纏った者がしがみついても動きを制限させる事は困難だったのだ。

当然、俺に対峙する5人も同じ運命を辿る。

そして最後に残ったのは……デロングだ。


「ぐっ、可笑しいだろ?なんで全滅するんだ!」

「絶対的な強者の前では数は暴力にならないんだよ!」


俺はそういうとデロングのハウンスカル部分に拳を入れる。


「プギャ!」


デロングは豚のような悲鳴を上げて倒れ込む。

それを見たマルック先生は、


「勝者、ジュンイチ、ピルッカ!……お前ら、俺でも勝てるか分からないというのに、流石はBランクハンターだな」

「いや、たまたまですよ」

「これくらい軽いっしょ!」


俺が謙遜しての回答だったがピルッカは少し天狗になっているようだ。

彼には後で少し注意するが、これ以降、初等部5年の男児たちはデロングから距離を置くとともに、俺とピルッカには畏敬の念を持つようになった。

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ぜひぜひ、いろいろお待ちしております!!

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