003 水道の問題
お読みくださり誠にありがとうございます。
翌朝、目を覚ますと焚き火はまだ燻っていた。
俺はその焚き火をしっかりと消して、「洗浄」を使い全身スッキリする。
少し早く目が醒めてしまったので水を飲んでから散歩に向かう。
「熊五郎っ!」
「ふんがっ!」
「フンス」と「がうっ!」が一緒になったような返事をして俺の後ろに着いてきた。
いつもの様に弓と矢筒を背負ってから森を歩く。
薬草や食べられる草、木の実や果物を採取し、「収納」「複製」をしていく。
すると、視認ギリギリのところにイノシシっぽい動物がいた。
俺は弓を構えて、矢に「速度」「威力」を「付与」して放った。
ぎゅおーーーんっ!
とんでもない威力で空を切り裂きながら飛んでいく。
俺はそれを口を開けながら見つめ、遠くでプギャという鳴き声が聞こえるまでその威力に呆けていた。
俺と熊五郎は急いで向かうと、そこにはごっつい金属に覆われたモンスターがいた。
収納すると、それはメタルボアというモンスターで、鑑定すると肉は超が付くほどの高値で取引されている様だった。
早速収納して解体。
・メタルボアの肉 600キロ
・メタルボアの外装 150キロ
・メタルボアの牙 × 4
・メタルボアの角膜 ×2
・鉄鉱石 50キロ
・魔石大 × 1
・討伐部位 : メタルボアの尻尾
テントに戻ったらメタルボアの肉を食べよう!
そう思いながら更に進むとキングポイズンスネークがおりそれをあっさりと斃して解体。
・キングポイズンスネークの肉 60キロ
・キングポイズンスネークの皮 × 1
・キングポイズンスネークの牙 × 4
・キングポイズンスネークの毒腺 × 2
・魔石中 × 1
討伐部位 : キングポイズンスネークの舌
キングポイズンスネークの肉は蒲焼きにするとウナギっぽくなりそう。
どんな料理を作るか考えながら歩いていると、熊五郎が何かを見つけた。
恐らく何かの動物の様なのだが、近寄ると「ふーっ!」と俺に向かって威嚇してきた。
黒い毛並みの綺麗な猫が足を怪我して倒れているのだ。
お腹を空かしている様なのでニジマスを2匹与えると、ふーっ、ふーっ、と少し興奮しながら食べ始め、次第にウニャウニャ言いながら食べていた。
頭を撫でると目をうっとりさせながら喉をゴロゴロ鳴らす。
そういえば、「治癒」って動物やモンスターでも使えるんだろうか?と思いながら「治癒」を掛ける。
すると黒猫の身体がポワッと光り輝き、足の怪我が癒されていた。
すると、
『「従属化」もしくは「眷属化」できます。 眷属化/従属化』
という事で、眷属化。
この黒猫はクゥアール。
猫というより黒ヒョウであり、体重は500キロくらいまで大きくなるんだそうだ。
今は猫くらいだけどね。
で、名前はにゃん太。
ヒョウと言っても今はどう見ても猫なんだから、誰がどう言っても名前はにゃん太に決定!
誰もいないけどね。
「さて、テントに戻ろうか!」
「がう!」
「にゃっ!」
熊五郎とにゃん太はそう返事をして俺の後ろに付いて歩く。
にゃん太は足の怪我は癒えたけどまだ歩くのがぎこちないので、俺の肩に乗って貰う事にしたら、熊五郎も反対側の肩に登ろうと必死になる。
あー、うるさい!と思いながら、今回だけ特別に肩の上に乗せると、右からは「ウニャニャ」、左からは「がうがう」楽しそうに2匹で合唱していた。
テントに戻ると、先ほどゲットしたメタルボアのステーキを焼く事にした。
錬成術と土魔法でバーベキュー台を作り火を起こし、その上に鍛治で作った厚さ5センチの鉄板を置く。
厚さ2センチで500グラムに切ったメタルボアの肉をこの鉄板の上で焼き上げる。
メタルボアの脂を鉄板の上で溶かしてその上で肉を焼く。
じゅーっっっ
肉の焼ける音が、この肉は旨い、と絶叫しているかのようだ。
匂いは鼻腔を通って脳天を貫く。
半生でかぶりつきたい!という衝動を抑えながら俺はその肉に塩と胡椒を振る。
肉を焼いている間に、土麻痺法で皿やら茶碗やらを作る。
創造で釉薬を創りそれを塗って、火魔法で焼き上げると出来上がりだ。
創造で銀のインゴットを創りその銀を使って「鍛治」でナイフとフォークを凝った柄で作る。
皿やらフォークなどを「洗浄」してから使う。
頃合いを見て肉をひっくり返すと焼き色は綺麗なきつね色に焼き上がっていた。
アイテムボックス内にある板などを使ってテーブルと椅子を作り、焼き上がった肉を皿によそってテーブルに置く。
熊五郎とにゃん太にもお皿の上に置いて風魔法で少し冷まして上げてから彼らの前に置く。
それから、待て、をして、きちんと待てるのを確認してから「いただきます」をする。
俺も椅子に座り、習慣の「いただきます」をしてからステーキをナイフで切り分けて1口、口の中に放り込むと……
「うっま〜〜〜いっっ!!」
何これ?
ブランド牛のA5の肉よりも旨味があり、しかも脂肪はあっさりとしてくどくないのだ。
しかもこのステーキならナイフを使わなくても箸で切れそうなほど柔らかい。
これならこの世界で超高値で取引されているというのも分かる気がする。
一気に500グラムのステーキを平らげて、食べ終わった頃には少しの間、現実世界に戻れなかったほどだ。
熊五郎とにゃん太も食べ終わっているというのにひたすらお皿を舐めているほどだ。
少し一服してから、今日は再び家作りだ。
土魔法と錬成術を使い、薄型セラミック瓦を量産する。
屋根には防水シートをしっかりと貼り、それから瓦を乗せて1つ1つ釘を打って屋根に固定していく。
屋根が完成したら板を貼り付けて防水シートを貼っていく。
内側にも板を貼り付けていくのだが、その隙間に創造により発泡ウレタンを創りそれを吹き付け隙間なく埋めていく。
それから内側にも板を貼り付け、その表面に石膏を厚さ2センチに塗っていく。
「錬成」「錬金術」を組み合わせた窓枠や窓ガラスを作り、それを填めていった。
屋内は2LDK。
これにトイレと浴室、そして収納がある。
トイレや浴槽は「土魔法」と「錬成術」で作り上げ、キッチンはこれに「鍛治」
水道は色々試してみたのだが、井戸を掘って水を引き込むのではなくて“水を創り出す方法“を採る事にした。
水魔法・火魔法付与で蛇口から自在に水やお湯が出るようにできるのだが、これだと1分もしないうちに水が出なくなる。
「うーん。これは方向性は悪くないんだよな……途中で付与した魔力が切れないようにすれば良いんだよね」
そこで蛇口に魔力を提供できる方法を考える。
最初は魔力の塊である魔石を使う事を考えたのだが、それも装置が大きくなりなかなか難しい。
蛇口に……うーん、なかなか難しいからそれはまた後で考えよう。
取り敢えず水魔法と火魔法付与をキッチン、トイレ、何より浴室に浴槽とシャワー、洗面所に行なうと綺麗な魔法陣がそれぞれ刻み付けられていく。
家作りは今日はここで一旦終えて、食事作りだ。
飯盒でご飯を炊き、蒸し器を作って、キングポイズンスネークの肉を腹開きにして蒸す。
それに軽く塩を振ってから串を打って、じっくり焼き上げる。
熊五郎とにゃん太にはこの白焼きを、俺には砂糖と醤油と調理酒から作ったタレを塗って蒲焼にした。
熱々のご飯に蒲焼を乗せ、2匹のお皿に白焼きを。
「そいじゃあ、頂くとするか……」
軽く手を合わせてから蒲焼を食べる。
「うっま〜〜いっ!」
「がうっ!」
「にゃ〜ん!」
熊五郎とにゃん太も満足できる味のようだ。
2匹とも可愛いい声をあげながら一心不乱に食べている。
こんな旨い蒲焼があるんだから久しぶりに?ビールを飲む事にした。
いや、実際はこの世界に来てまだ2日目でこの世界に来る前日に飲んでいたのだが、ずいぶん久しぶりに感じたのだ。
プシュ
ああ、ビールの香りだ。
俺をその香りを鼻から吸い込み、ゴクリと1口飲む。
美味いっ。
ビールを一気に胃に流し込む。
もう1本。
蒲焼を食べ、合間にビール。
俺もご飯をお代わりしていつに間にか2合炊いたお米も完食した。
俺ってこんなに大食漢だったっけ?
そう言えばこの世界に来てからいつの間にか1日2食になっていたからそれの影響かな。
飯盒やら食器類を「収納」し、自分とテント内に洗浄・浄化を行う。
「今日も1日充実したけど、あの建築現場、大丈夫かなぁ……!」
寝袋に入り込みそのまま眠ろうとしたのだが、ある事を思いつき、自宅建築現場へと向かう。
そして……
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