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42歳独身サラリーマン、異世界で小さな幸せを掴む  作者: もふもふ大好き
第2章 学院生活
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024 ヤルヴェンパー迷宮1 逆プロポーズ

いつもお読みくださり誠にありがとうございます。

「エルミは1週間ほど学院に行けそうにないな」


「そうね……折角、復学…もぐもぐ…したばかりなのに……」


俺とエルミは王城内にあるリビングで学院で起きた事を王でありエルミの父親でもあるシュルヴェステルと母親で王妃でもあるエヴェリーナとともにお茶をしながら話していた。

俺は事前にオールドファッションとチョコレートを混ぜ込んで作ったチョコレートリングを作っていたのでそれを出した事もあってエルミは凄まじい勢いで口の中に頬張っていた。

それもあってエルミはハムスターのように頬を膨らませながら話していたのだ。


「エルミ!食べながら…もぐもぐ…話すなんて端ないですよ!…もぐもぐ……」


「そうだぞ…もぐもぐ…少しは聖女としてのだな…もぐもぐ…自覚を持つんだ」


シュルヴェステルとエヴェリーナも王と王妃としての自覚を持った方が……ゲフンゲフン……そこは言ってはいけない事だよね。

一応、1人4個ずつ用意していたのだが、俺が1個食べる間に彼らは5個食べ終わって、追加でドーナツを出さざるを得なくなった。


「そう言えば来週から迷宮実習が始まるけど、装備も全て準備するから安心してな」


「うん。今度の実習は楽しみにしてるよ!」


「学院の迷宮実習はヤルヴェンパーに変えたのだったな……あそこは初心者迷宮だから問題はないだろう」


エルミの件があったので学院で行う迷宮実習はより難易度の低い迷宮で行われる事になったのだ。

ヤルヴェンパー迷宮は20階層ある迷宮で現在は12層まで踏破されていた。

ここの迷宮は5階層までは初心者向けであり、ここで実力を付けてから階層を上げていくと言うのがセオリーだ。


「エルミと俺はグレートベアの皮鎧とミスリルのブロードソードだったっけ」


皮鎧には物理攻撃無効と言った防御系だけでなく体力回復や魔力回復、常時治癒が付与してあり、ブロードソードにはエルミに婚約の印として渡したショートソードよりも強めの不破壊、物理攻撃力50%アップ、雷撃、炎撃が加えられたものだ。

これだけ付与しているなら下手したら全階層踏破も可能だったり。

他に、俺のものほど便利ではないけど、自在に物を収納できるアイテムボックスを使えるようにしてあり、下着や様々なシチュエーション別の衣類に戦闘用の装備などを大量に入れてあり、収納する際に洗浄や浄化、修復、復元が自動的に行われるようにしてある。


「皮鎧だと?そんな貧弱な装備で迷宮に潜るのか?」


王国騎士は鋼鉄のフルプレートアーマーが使われており、鎧の重さは20キロ近くあり、これに鋼鉄の剣などいろいろ加わると総重量は30キロ弱にもなるのだそうだ。

それに対して皮鎧は剣などを含めても10キロにも満たず、俺が作ったものは軽量化の神術を付与しているから剣を含めても2キロ程度だ。

しかも防御系はガチガチに付与しているので、フルプレートアーマーなんかよりも遥かに防御力に優れたものだ。


「皮鎧と言っても特別製ですからね」


「そうか、使徒様が言うなら問題無いのかも知れないな」


「その、使徒様はやめて下さいね!」


使徒とか使徒様って言われるとなんだか窮屈に感じるんだよな。

シュルヴェステルは笑顔で快諾してくれたが、どこまで守ってくれるやら……



ヤルヴェンパー迷宮の入り口前広場に学院の初等部5年生が先生方と共に並んでいた。


「さあ、これから5日間の迷宮実習よ!一応、20階層ある迷宮だけど、皆さんは出来るだけ3階層までにして下さいね!」


セラフィーナ先生が生徒たちに迷宮の資料を渡し実習の注意などの説明を始めた。

体術のマルック先生と剣術のオラヴィ先生もセラフィーナの両隣で生徒たちに睨みを利かせている。

今回は100人の生徒が4人〜6人のパーティーを組んでの参加で、1組は4人パーティーでの参加だ。

俺はエルミ、ピルッカとエレオノーラの4人のパーティーだ。

俺は本当は弓により後衛、エルミも癒しの後衛、エレオノーラは魔術師なので後衛。

前衛はピルッカしかいないと言うとんでもなくバランスの悪いパーティーだ。

そこで俺は前衛兼中衛となり、エルミとエレオノーラが後衛として動く事になった。


「特にダーリンとエルミさんは暴走しないようにお願いしますね!」


何故だか釘を打たれる事になった。

彼女が俺の事を本格的に「ダーリン」と呼ぶのにはシュルヴェステルの後押しがあっての事だ。

セラフィーナはあの試合の後、王城に来ていたらしく、シュルヴェステルに直談判をしていたそうで、


……


「叔父様!私もジュンイチくんのフィアンセになりたいのです!妾でも良いのでどうかお許しください!」


セラフィーナは公爵令嬢、即ちシュルヴェステルの弟の娘になる。

王女の嫁ぎ先に公女が嫁ぐ事に何ら問題はない。

それどころかセラフィーナは20代前半。前半と言っても間も無く後半に突入する24歳だ。

日本なら問題無いが、この世界では……当然、ユヴァスキャラ王国では行き遅れに突入している年齢。

25歳になれば完全に行き遅れとなる。

正直、この年齢で彼女に食指を動かすようなのは後妻を欲するような爺さんか精力絶倫くらいだろう。

それであれば17歳の俺なら、いや、使徒であれば側室を迎えても問題無いし、セラフィーナとしても格上との結婚なので面目も立つだろう。


そんな理由から、俺とエルミの預かり知らぬ所で、側室候補が誕生したのであり、セラフィーナもシュルヴェステルの許可があるので俺を「ダーリン」と呼ぶのだ。


「ジュンイチさま……さんは年上も守備範囲なんですね?」


「そうかぁ、セラフィーナ先生を射止めたのはジュンイチかぁ」


ピルッカとエレオノーラは今の状況にツッコミを入れてきた。

セラフィーナは美人でしかもエルフらしからぬブルンブルンと大きく揺れる推定Gカップバストの持ち主だ。

しかも垂れる事なく前に突き出ているのは常日頃からバストケアを行なっているからだろう。

そう言った事もあり、先生方はもちろん、生徒たち、特に男子生徒からの人気が高く、特に数年前まではひっきりなしにプロポーズをされていたくらいなのだ。


……


「いや、俺はプロポーズもしてないし、求愛もされてないけどね」


「へーそうなんだ」


そんな事をピルッカと話をしていたら、そこにセラフィーナがやってきた。


「ジュンイチくん」


「は、はい先生!何かありましたか?」


「ジュンイチくん。私を貰って下さい!国王、それに私の父からも承諾を得ています!」


まさか、授業中に100人もの生徒や同僚の先生方の前で公開プロポーズされるとは思っていなかった。

もちろん100を超える視線が一気に俺に集中する。

ここで俺が取るべき行動は3つ。

逆プロポーズを受けるか、保留するか、断るかだ。

こういった場合は保留にして回答を先延ばしをした方が一番最適解を得られると思うのだが、公開プロポーズの場合、これは悪手だ。

優柔不断で女心を弄ぶ遊び人などと言われるだろう。

断ったら断ったで、セラフィーナのように人気のある先生は自分の立場を失い学校を去ってしまう。

そして、プロポーズを受け取ったら俺とエルミの2人きりの生活が……

周囲は俺がどういった回答をするのか、今か今かと待ちわびていた。


「セラフィーナ先生。俺はエルミが成人するまで結婚しません。先生のプロポーズを受けた場合、結婚は25歳を超えますがそれでも良いのですか?」


25歳は行き遅れ。

これは子供でも知っている常識だ。


「ええ。私はそれで構わない。ジュンイチくん……ジュンイチと結ばれたい」


真っ直ぐ俺を見据える瞳から俺は逸らすことが出来ず、蛇に睨まれたカエルのように彼女に吸い込まれそうになる。

その時、俺の脇腹をツンツンしてくるものがあった。

それにより俺は自分を取り戻し、エルミの方に顔を向けると、エルミはゆっくりと、しかし決意をもって首肯した。

エルミは「プロポーズ受け入れても良いわ」と俺に向かって意思を伝えてきたのだ。

俺は一度深呼吸をしてからセラフィーナに向き直り、


「分かりました。セラフィーナの想いを受け取りたく思います。詳細は実習が終わってから王城にて決めたく思います」


俺ははっきりとセラフィーナに対して応えた。

次の瞬間、迷宮前広場は初等部の生徒の歓声で湧き上がる。


「先生、おめでとう!」

「セラフィーナ先生良かったねっ!」

「熟女殺しぃー!」

……


生徒たちの祝いの(?)言葉をセラフィーナは顔を真っ赤にしながら受け取り、


「まだ熟女じゃありませんっ!」


そんな事を言いながらとびっきりの笑顔で、そして、目からは一筋の涙が流れていた。


感想を頂けると、書くときのエネルギー源になります。

ぜひぜひ、いろいろお待ちしております!!

ブクマ、レビュー、評価なんかは涙が出るくらい頂けたら嬉しいです。

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