第4話-新型-
-5月6日-
シュガーはまだ外が暗いのに起きてしまった。
というか、殆ど寝ていなかった。
昨日、見てしまったものが脳裏から離れなかったからだ。
「うう…夢にまででてきたよ…グロい…」
エイリアンから切り離されてもモゾモゾと動く右腕。
思い出すだけで吐きそうになる。
「なにか…気分転換でもしよう…」
シュガーは外に出て自分の能力を見つけたかった。
━━━━━あれから3時間程たっただろうか…シュガーの能力は一向にわからない。
おまけに木の棘が左手に刺さり怪我をしてしまった。
「いったぁ………ヤバっ深く刺さったかも…痛…」
この傷をいち早く治したい…と思ったとき左手がいきなり光りだした。
「なにこれ…眩し…」
なんとか周りを見渡せるようにはなった時に気づいた。
左手が痛くない。
傷なんて一つもなかった。
「これが…僕の能力…?」
正直自分の能力が役に立たないヘボ能力だったらどうしようと思っていた。
しかし、治癒の能力ならば足手まといになることはないだろう。
気づいたら朝日が綺麗に輝いていた。
「あれ…シュガーもう起きてたの?」
「あ、千花。おはよ」
最初に千花がおきてきた。
その後に副会長、まゆちゃん、雫先輩、会長とみんな起きてきた。
「だけどいいね。あの異型は敷地内に入ってこなくて。」
そう呑気に言う雫先輩の後ろにはエイリアンがいた。
「危ない!」
声をかけたが時既に遅し。雫先輩の左腕は地面に転がり落ちた。
「あ……がっ…?」
明らかに困惑している。
そしてエイリアンにやられたと知った時
「なん……だ……この…やろ………う……」
エイリアンの頭が爆発により吹っ飛ぶのと同時に雫先輩が地面に倒れた。
シュガーは急いで雫先輩のそばに行きそっと右手を乗せた。
途端にまた光りだし、周りが見れるようになると雫先輩が立っていた。
「あれ…?私なぜ生きてる?…左手も無事…」
「シュガー…さっきの光は…?」
そうだ。一応会長達にも言っておこう。
「えっと…僕は生き物を回復させる能力を持っているみたいなんです。」
「ふむ、さしずめ治癒術と言ったところかな…」
会長が名付けてくれた。
「しかしよぉ…なんであいつらが敷地内にいるんだ?」
「さぁ、わからない。ただこれからは敷地内だからと言って油断はできない。そして朗報だ。新たに3人と連絡がついた。」
「おお、戦力が増えるのはいいことだな。で、誰がくるんだ?」
「1年1組の加藤萌。3年1組の加藤真尋。1年3組の田中闇刃だ。」
もえ、まひろ、はわかる。なんだ田中ダークブレイドってキラキラにも程があるだろ…
「お!あの中二病君来るのか!」
聞きなれない声が聞こえたので振り返ると男子がいた。
「佐藤と八乙女は初めて会うかな?こいつは1年2組の斎藤健だ。」
「よろしくッス佐藤先輩♪八乙女先輩♪」
「フッハハハハハハ!我は帰ってきた!勝利の女神に愛されし勇者が今、帰還したぞ!」
なんかうるさい人が来た。
「田中、来たか。」
「我は田中などという名前ではない!我が真名はドラゴン・シルスピダル・ダークブレイドだ!左目に封印されし禁忌の力が!今!開放された!」
「何を言ってるの?意味わかる?」
そっと千花に囁いた。
「うーん…多分能力を見つけたんじゃないかな?」
「シルスピダル。お前の禁忌の力、見せてもらおう。」
うっわ…会長扱いに手慣れてる…
「ふっいいだろう…特別にみせてやろう、我の力を!」
そう言うと田中は懐から取り出した拳程度の大きさの石を取り出した。
そしてそれを宙に投げると…
シャァッ!
っと音がして、石が粉々に、切り刻まれた。
「これが我の力。終焉の刃だ!我が力を目の当たりにしたデモゴルゴンは全身を恐怖に駆られその歩みを進めることが出来なくなるのだ!」
「ふむ…田中の…」
「シルスピダルだ!」
「たなk…」
「シルスピダルだ!」
「シルスピダルの能力は…」
会長諦めた…
「空k…」
「終焉の刃だ!」
「うん、終焉の刃だな」
……と、その時
「クルピィィィィィィ!キエァァァァァァ!」
と、エイリアンの声が近づいてくる。
急いで振り返ると見たことのない飛行型のエイリアンがこちらに向かって飛んできていた。
その下には2人の女子が走ってきている。
おそらく加藤姉妹だろう。
「た…助けてくださぁい!」
ポニーテールを揺らしながら走ってる方が叫んだとき、飛行型のエイリアンが急降下をし、叫んだ人とは違う方の首を千切り切っていた。
「あ……ぁ……イャァァァァァァァァァァァァァァァァ」
耳を貫くような絶叫が聞こえると会長がそれに負けないくらい大きな声で叫んだ。
「加藤!走れ!」
仲間と合流したのを理解したのか飛行型のエイリアンは1度空中で停止した。
その時校門の辺りの空間が歪んだ。
そこに黒い霧が集まり…
エイリアン(通常型)が10体程現れた。
やばい。数には数を…ということか…
でも、弱音を吐いてる場合ではない。勝てる勝てない関係なしに…
戦うしかないのだ。