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凱旋の皇太弟  作者: ちあきついたち
序章
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序章②-悪童


大陸暦1012年。

皇太孫であったクルックは、現在12歳になり皇太子になっていた。3年前に祖父が崩御し、そのあとを父が継ぎ皇帝になったからだ。


5歳年上の兄ガルフォングは皇都の貴族学校に通っている。貴族学校は15歳から18歳までの貴族の子女が通うもので、ガルフォングは最終学年で来年の成人の儀に備えている。勤勉で真面目な性格で、貴族学校では優秀な成績を修めていた。


3歳年上の姉レミリアも今年から貴族学校に通い始めた。才色兼備の呼び声高く、皇族ということもありレミリアに取り入りあわよくば皇族と関係を持とうという魂胆丸見えの男衆からモテていた。


一方でクルックは、兄や姉と違いじっとしていることが苦手であった。およそ5歳になったあたりからしばしば城外に忍び出て、城を騒がしていた。勉学はそこそこに城下町の子どもたちと遊び回り、悪名を轟かしていた。報告を受けた祖父の皇帝は、クルックが7歳になる頃に城に駐屯する軍人に剣術や槍術、軍略の指南を命じた。軍人から指南されたクルックは幼いながらも才能を発揮し、どんどん吸収していった。また城下に出ることはやめずに悪友たちにも剣術などを享受し、祖父であった皇帝が崩御した後は『悪童クルック』という異名まで立つようになった。



この事態に終止符を打つために、姉のレミリアが動いた。

兄と弟を城の庭園に招待し、3人だけの茶会を開いた。


レミリアが注いだ紅茶が兄ガルフォングと弟クルックの前に出された。


「よくあの悪童がこの茶会に来たもんだね。」

「レミー姉さまがあのショコラガスダレンのチョコを用意してるって言ってたからな。皇都の城下にも店舗を出しているが毎回並んでいてなかなか食べられないんだ。」


そう言いつつ、クルックはチョコを口いっぱいにいれて頬張っていた。


「もう少し行儀よく食べなさい!あなたは皇族なのよ!

お兄様も甘いですわ!おじいさまもお父様もお母様もみんなクルックに甘いから調子に乗るんです!」


怒気を帯びたレミリアの言葉に兄は苦笑いをし、弟は無関心を装い紅茶に口を付けた。


「さて、かの有名なショコラガスダレンのチョコレートをいただいたことだし、私はこれにて失礼させていただきます。」


妙に礼儀正しくお辞儀をし、クルックは颯爽と立ち去ろうとした。しかし、レミリアに首根っこを掴まれて、再度椅子に座らされた。

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