タルトと食欲の話
今回はタルトがメインのお話です!
「で、一体どういうことだ説明してもらおうじゃないか?」
俺が異世界転生してから1週間がたち、ようやくこの世界の事を理解し始めた頃のことだった。俺の冒険者登録をするため、ギルドをおとずれていたのだが……
「ですから!今は大変忙しいのでまた今度にしてください!」
ギルドの受付嬢は色々な書類を書きながら俺に邪魔だ、きえろといわんばかりの受け答えをしてくる。
実は今、魔王軍が遠くの街に侵攻してきたため、国じゅうが混乱しているのだ。これでは遠分冒険者登録出来ないではないか。
「仕方ない。また今度にしよう。」
シャルロットが俺にそう言い聞かせてくる。
「そうよ!別に急ぐ必要なんてないしそうした方がいいわよ?ねっ?」
タルトがどういう訳か早く要件を済ませて帰りたそうにしているのだ。まぁ、理由はわかっているのだが。
早く帰ってご飯を食べたがっているのである。
こいつは、見かけによらずよく食べるのだ。これだけ聞いても別に不思議ではないのだが、よく食べるとは常人のよく食べるではない。ありえない量の食べ物を
一瞬にしてたべてしまうのだ。俺達は駆け出しで俺なんかはさっきの通りまだまだ冒険者にもなれてない。そんなパーティーにお金なんてある訳もなく、一刻も早くクエストを受けなければ家だって差し押さえられてしまうような状況なのである。
「お前らなぁ……。そんなこと言ってられる状況じゃないだろ!一刻も早くクエストを受けなきゃ、明日は飯抜きになるぞ!」
「それだけはまずいわ!死んでしまうじゃない!!」
タルトが必死にそうこたえた。
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俺達は明日の食費を稼ぐべく、鍛冶屋のバイトをすることにした。武器や防具を作れるわけはないため、店の前で客を呼び込むだけの仕事だ。大した額は貰えないが明日の食費のためだ。がんばろう!
「武器や防具はいかがですか〜!切れ味のよい剣などありま〜す!」
サクヤとシャルロットががんばっているなか、タルトの姿が見当たらなかった。
「あれ?あいつどこへ……まさか!」
案の定向かいの食べ物やの売り物を貪っていた。
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結局その日稼いだ分は全てタルトが食べてしまった売り物代ということで向かいの店に払うこととなった。
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