ピンクのロングヘアの幼女
第7話です。
※話数番号を変更しました。
トントン。
ナリスたちが家で過ごしているとドアをノックする音がした。
「……」
ビクッとして少し震えているリアナの頭をナリスは優しく撫でて、
「大丈夫。いつものだから」
そう言い、ドアを開けた。するとそこには、黒いローブを羽織った幼女がいた。
「どうぞユリアさん」
ナリスはそう言いながらユリアと呼ばれた少女を家の中に招き入れた。その姿を見てリアナも安心したのは不安そうな表情ではなくなった。
「久しぶりリアナ。調子はどうだい?」
ユリアはリアナの傍に座り彼女に語りかける。
「うん。大丈夫」
「そう、じゃ、いつものをするね」
そう言うとユリアはローブの中からピンク色の煙を内包した水晶玉を取り出し、リアナの目線に掲げた。
「精神にゆらぎの痕跡があるね。ナリス、ここ最近に何かあったかい?」
ユリアは水晶玉を覗き込んだままナリスに尋ねる。
「何かって、心当たりなんて…」
「馬鹿、心当たりなんて聞いちゃいないよ。そもそも、あんたはリアナじゃないんだ。この子でも解らないこの子の精神が、何で揺らいだかなんてあんたに解るわけないだろ。あたしが聞いてんのはただ純粋にこの子に起こった事実だけさ」
「は、はい」
ナリスはそう言われて大通りに行った際に起きたことと、その後日にリアナがナリスに言ったことを話した。
「なるほど、特段問題はなさそうだね」
そう言うとユリアは水晶玉をローブへとしまった。それと同時にリアナが疲れたように小さく息を吐く。
「お疲れさん。少しお休み」
「うん。…おやす………マ……ス…」
ユリアの言葉に従うようにリアナはユリアの膝の上に寝転がりそのまま寝息を立て始めた。
「で、何か言いたいことでもあるんじゃないのかい」
ユリアはリアナの髪を撫でながら後ろにいるナリスに言った。
「はい。実は、さっき話したこととのつながりで、騎士団に行きたいと思ってるんです」
「ふーん。リアナはどうする? 毎日帰ってこれるわけでもなかろうに」
「それは…まだ考え中です…」
「まったく。いいかい、この子は他のそこらへんの子とは違うんだ。本当は常に一緒にいてもらいたくらいなんだよ。ま、この子自身は一切問題にしてないみたいだけど。ちゃんとそこんとこ理解してるんだろうね」
「はい。それはもちろんです。ただ、だから悩んでいて」
「いいかい、あんたの不安はこの子に伝播するんだよ、だからそんなぐだぐだとーー」
「…ダメ……ナリ…スを……いじめ…ちゃ…」
少し語気の荒くなっていたユリアのセリフを遮るようにリアナがそんなことを言う。
「…あたしとしたことが、この子に悪影響を与えたようだね」
「いえ、私が悪いんです。ちゃんと決めないから」
「それが解ってれば上出来だろ。それに、どういうことかは解んないけどこの子は安定してる。そんなこの子とあんたならうまくいくかもしれないね」
ユリアはそう言って優しく微笑んだ。
「あの、明日一日だけリアナを預かってもらえますか?」
「この子は嫌がるだろうけどあたしは構わないよ」