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脱出(三)

 次の階は何もない大きなフロアになっていた。ここを通り抜ければ頂点に通じる階段がある。

 わずかに、ベンチなどが置いてあるだけの公園の様なフロアで隠れる場所などないので待ちぶせされている心配はない。

「行くぞ」

かけ声をかけた俺より先に、ミドが飛び出す。気持ちがはやっているのだろう。

 ミドが飛び出した瞬間、伝助が叫んだ。

「ミドさん、戻って。エネルギー反応確認」

 ミドが引き返そうとした時、赤く交差する光にミドの体が包まれた。

「捕獲網です。あれじゃ逃げられません」

 罠を張られていたのだ。

 俺の捕獲に失敗したのを知った残りの敵が階段の方から一斉に発砲して来た。

「正夢さん。逃げて。僕には構わないで」

「きっと、助けてやるから、待っていろよ」

 俺はミドを置き去りにして、今来た道を引き返す。

「逃げ道はないのか」

 後ろから、敵の放った無数の閃光が俺をかすめていく。

「遠回りになりますけど、一度、最下層に戻って別の区域から回りましょう。装甲車もありますし。わぁ………」

 伝助が階段を落ちていく。攻撃が当たったのだ。

 俺は伝助を拾いあげ、グロブや兵士達が転がっている通路を駆け抜ける。

 駆け抜けざまに、手榴弾をばらまき、最下層に続く階段を飛び降りる。

 背中に爆風を受け、壁に叩き付けられた。今ので、何人かは、巻き添えを食ったはずだ。グロブの葬式がわりだ。

 本当なら、宇宙ステーションで爆弾騒ぎなど御法度だが、今の俺には関係ない。

 痛い体に鞭打って装甲車に逃げ込む。

 伝助は目の光りも消えて完全に沈黙している。

 装甲車を始動させて敵を待っていたが、一向に追って来る気配が無い。作戦を変えたのかもしれない。それならそれで良い。俺も次の行動に出るだけだ。

 俺は先ず、昇天核に一発お見舞した。これで、レイは応援を呼ぶ事も、帰る事も出来なくなった。俺は帰る積もりはないので、どうって事はないが、レイがこの状況にどれだけ耐えられるか見物だ。今度は俺がレイを追い詰めてやる。

 他の区域の最下層まで来たがやはり車の通れる広さは無い。

 敵が追って来る気配が無いので、今のうちに傷の手当をする。撃たれた脇腹や、爆発の時に飛んで来た破片などの傷が痛む。医療箱を取り出して止血剤を塗り、痛み止めを飲んだ。

 車の周りには、センサーを打ち込んであるので、敵が近づけば分かるはずだ。

 落ち着いたところで、改めて伝助を見る。やはり、動く様子はない。揺すったり、叩いたりしたが、無駄だった。

 俺は電子頭脳を修理するだけの技術を持ち合わせていないので絶望的だ。

 思えば、伝助は俺のために良く尽くしてくれた。この世界で頼れるのは伝助だけだったのかも知れない。外に出たら墓を立ててやろう。

 そう考えていると、薬の副作用なのか、急に眠気が襲って来て、それに逆らえずに、いつしか眠ってしまった。


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