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コテツとハイト06

「このオクトパス……ハイトが奏でてるの?」

「正解……!」

「ハイト、今日のSCリーグはどうしたの?」

「完勝してきたよ。終わったからイオラニまで最速で帰って本社に顔だした始末」

 再度サインワイヤーを絡ませてサインライフルをスサノオ目掛けて撃つアーデルハイト。

 それはコテツの駆るスサノオにあたってダメージを与える。

「縮小化とはいえコテツと真剣勝負できる場面だ。せいぜい俺を楽しませろよ!」

 アーデルハイトはオクトパスのサインワイヤーを操ってスサノオを絡めとろうとやっきになる。

 瞬間、

「……っ?」

 コテツの視界がブラックアウトした。

 いきなりなゲームの中断に違和感を覚えるコテツ。

 意識を0と1のデジタルから0から1のアナログに切り替える。

 同時にコテツは体を休めていたソファで目を覚ました。

 そして周囲を見渡すと、コテツ自身の体に傾きかけているアーデルハイトの体を発見した。

 アーデルハイトもまたいきなりのバーサスアースクの中断によって意識を取り戻したらしい。

 自身がコテツの肩に頭部を預けていることを認識して、それからボッと頬を真っ赤にして、それから、

「ななな……なにを……!」

 そう動揺しながらコテツにビンタをくらわすアーデルハイト。

 ビンタをくらったコテツは、

「僕は何もしてないよ。ていうか君が勝手に僕に傾いてきたんじゃないか……」

 うんざりとした。

 それから状況を整理する。

「いきなりバーサスアースクのシステムがダウンした。どういうことか知らなきゃならないね……」

「どういうことかって……」

 呆然とするアーデルハイトを無視して、

「アビエルにコンタクト」

 コテツの意識に従ってコテツの脳はブレインユビキタスネットワークに接続し、サブシステム技術者であるアビエルにコンタクトをとった。

「アビエル……これは?」

「今さっきアッカーマンシステム本社にどこかのハッカーがクラッキングをかけています! こちらも全力で対応していますが相手の技術があまりに高度なためアッカーマンシステム本社の機能を全てクラッキング対策にまわしています。もしコテツさんがアーデルハイト嬢と一緒にいるのならその場を今すぐ離れてください」

「クラッキング……まさかデンドロビウムなの?」

「相手はわかりません。ですがよりにもよってアッカーマン本社にクラッキングをかける相手というのは他に知りません」

「アイアイサー。とりあえず僕はハイトと共にここを抜けるよ。どうせサブシステムの件は後回しなんだろう?」

「そうです。それではコテツさんとアーデルハイト嬢は本社を離れてください」

「アイアイサー」

 コテツはアーデルハイトの手を握ってソファのあるアッカーマン本社二十六階の一室から出た。

 アーデルハイトがコテツと手を繋いでいる現実に顔を赤らめる。

「ちょ! コテツ……何を……!」

「今アッカーマンシステム本社はクラッキングを受けているみたい。とりあえずここから脱出するよ……ハイト」

「手を離せ!」

「ああ、ごめん。無意識に手を繋いでいた……」

「(いや、別に嫌じゃないけど)」

「ハイト……何か言ったか?」

「何でもないぞ馬鹿!」

 そう激昂するアーデルハイトに、首を傾げるコテツ。

「何をそんなに怒ってるんだ?」

「怒ってなんかいない……! とりあえず本社を出るんだろう? 行くぞ」

 ズンズンと進むアーデルハイト。

 それからコテツとアーデルハイトはエレベータを使って二十六階から一階へと降りる。

 それから顔パスで受付を通り抜けて、アッカーマン本社を抜けようとしたところで、


 コテツの脳に衝撃が走った。


 まるで頭部をハンマーで叩かれたような衝撃と共にコテツは体をくの字に曲げた。

「ぐ……うあ……!」

 思わず頭を抱えてうずくまるコテツに、

「大丈夫かコテツ!」

 心配するようにコテツの肩に手を置くアーデルハイト。

 そんなアーデルハイトは知らないことだったがコテツの脳内では、

「痛てて……」

 と後頭部を掻きながらおちゃめに苦笑いする女の子の意識が侵入していた。

「コテツ! コテツ! 大丈夫か!」

「大丈夫。ちょっと眩暈がしただけだよ。とりあえず外に出よう。肩、貸してもらえる?」

「あ、ああ……お前がそうしたいのなら……」

 顔を赤らめながら肩を貸すアーデルハイト。

 それから二人はオートタクシーで自宅のマンションへと帰った。

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