壮絶(かわいい)
「あー、またミスったー」
そう呟いてデスクを蹴った。角で小指を激突。
「っつてーーーー‼」
畜生、と思いながらベットに突っ伏した。
今は高校入学式後の夜。俺こと本屋栞はギャルゲー真っ最中だった。攻略対象は妹、貧乳。
さて、入学式の夜に何してんだこいつは、と思われる人もおられるかもしれない。
さかのぼること、入学式のHRの時である。
お決まりの自己紹介、クラスの立ち位置がそこですべて決まるといっても過言ではない。
しかし、うちの担任(まあまあある。熟女系)が、名前と好きなタイプを皆に強要してきたのだ。今思えば、それは担任の緊張をほぐさせるためのユーモアであったと言える。皆苦笑いや、恥ずかしがったり、勘弁してよ~という感じで、自己紹介を無難にこなしていく。
しかし、僕は違った。恥ずかしがらず、
「ノーマル、熟女、ロリ、ババア、なんでもどんとこいです。特に今は女子高生がきてるんでもうウハッウハっすよ!共学サイコー‼」
と言った。クラスが完璧に凍った。北極に1時間いても、ここまで凍りつかないだろう。それほど寒かった。
そのあとに、自分がやらかしたことに気が付いた。しまった、地を出しすぎたと。
補足として言っておくと、僕は無類の女好きだ。しかし勇気がない。奥手なのである。しかも、好みのタイプが異様に多く、ストライクゾーンがびっくりするほど広い。そのため「好みのタイプは」と聞かれると、つい「女」だけになってしまうのだ。
だから、中学の時にさらけ出されなかった本性を、出すチャンスだと思った次第である。
そんな僕を放課後声をかけてくれる友、ましては女の子などいるはずもなく、傷心を癒すべく今電子の女の子に声を掛けていたのである。
「でもしまったよな~。友だちはまだしもこれじゃ彼女もできないな。」
え、なに世迷言いってんのって?ポジティブに物事考えてるから