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朱音ノ悪鬼調伏譚  作者: 蒼崎 れい
第参ノ巻~その者、天覇する異郷の民~
38/55

其ノ零:禍なる翼

 ゆらり、ゆらり、ゆらり。

 眼下に広がるは、絶大な力を有する土地として名高い、天原の地。

 その上空数百メートルの地点を、巨大な円を描くように旋回する。

 夜の闇を照らす人工の明かりは、街の真ん中を流れる川を挟んで大きく違っている。

 川の東側に広がるのは、極彩色溢れる都市部。

 多数の高層建築物に街の心臓部ともいえる片側三車線の巨大な道路、在来線と新幹線の停車する高架橋型の駅、商業施設の密集する地帯では日付が変わる前だと言うのに未だに多数の人でにぎわっている。

 逆に、西側の光源はひっそりとしていて、非常に慎ましやかだ。

 中央から北寄りに広がる、戦前・戦後から存在する旧住宅地は日本家屋としての古い趣を残し、明りの量もひときわ少ない。

 一方で南方には近代的な雰囲気を漂わせる新興住宅地が広がっており、こちらはそこそこのにぎわいを見せている。

 都市部と比べれば人は少ないが、全く皆無というほどでもない。

 夜空を旋回する者は、意識を新興住宅地の方へと絞った。

 腰から獲物を抜き放ち、音もなく降下していく。

 視界に映るのは、制服を着たままの学生。恐らくは、塾からの帰りなのだろう。

 だが、一人ならちょうどいい。

 ゆっくりと大きくなってゆく人影をめがけて、その者は手の内の刃を振りかざした。

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