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《6》からすの病名判る

 翌日になってもからすは全く飲み込めず、再度同じ病院行っって点滴を受けた。

 念の為に前日に撮影した頭部のCTは異常が無く、原因がはっきりしないので今度は別の病院でMRIの撮影をし、耳鼻科でも診察を受けるように言われてそこへ向かった。

 耳鼻科ではかなり詳しく検査をしてくれてその結果先生が、

「これはもしかしたら、脳の神経に関係があるかもしれません。私はそちらの専門ではないので、まず大学病院の耳鼻科に紹介状を書いて、明日の予約を取ってあげますから、受診してください」

そう言った。

 翌日はMRIの画像を受け取ってから大学病院へ向かった。

 耳鼻科は予約してあったにも関わらず、1時間近く待たされた後やっとからすの番が来て、看護師さんに呼ばれ、からすに付き添って診察室へ入った。

 かもめの不安は大きかったが、やっとからすの病名が解るのかと思うと、結果や病名がなんであれ、このもやもやした気持ちから解放されて早く楽にないたい、という気持ちのほうが勝っていた

 先生は親切で温厚そうな漢字だったので、少しホッとした。

 一応かもめも中までは入ったが、からすの受診中は直ぐ脇のカーテンの外で待っていて、一通り診察が終わって結果を聞く時に、再度診察室に入った。

(運命の時が……。怖い!)

その時かもめは、本当にドキドキした。

 まず先生がは喉の中を撮影した写真を私達に見せて、言った。

「写真を見ると喉の奥が蓋を閉めたみたいに閉まっていて、閉鎖状態になっているのが解りますか?」

「検査してみると唾を飲み込もうとしても、喉の奥が閉鎖していて殆ど動かないので飲み込めていないのです」

「えーっ?そうなんですか?」

 確かに写真を見ると喉の奥がまるで蓋でもしたみたいに、恐ろしくピタッと塞がっていた。

(こんな変なことってあるのー?!)

この時は詳しくは解らないまでも、あまりの異常な状態に正直かもめはびっくりしたし、信じられなかった。

 その後先生は別の病院で撮影したMRIの画像を取り出して説明してくれた。

「この画像を見ると、このあたりにっきりと脳梗塞の様相がありますね!」

「この脳梗塞からの麻痺が原因で、喉が動かなくなっているようです」

と指差しながらおっしゃった。

「脳梗塞なんですか?もしかしたらとは思っていたのですが、やっぱりそうなんですか?!原因はなんですか?」

 かもめは多少脳梗塞を疑っていたし、早く病名が知りたいと思っていたが、実際に診断されてみると頭の中は真っ白、ショックで呆然となった。

(からすはこれからどうなるの?)

不安が頭をよぎった。

「発症から約3日経過していますが、まだとても危険な状態にありますので、直ぐにどこかの病院に入院して治療を受けないといけません」

「何処かご存知の病院はありますか?もしあれば連絡を取りますし、無いようでしたら近くの病院を紹介します」

「ご存知の病院がなければ、この近くの病院を紹介しますよ」

 その大学病院は本宅の近くだったので、その付近の病院となると、別宅から遠くなってしまう。

 別宅は新宿の近くなので、できればその界隈にしたかったが知っている病院は無かった。その時、からすが意外な事を口から発した。

「会社は都内の〇〇にあるので、その直ぐ近くの総合病院に出来れば入院したいのです。その病院には脳神経外科もありますから」

 かもめはその病院は、都内の別宅マンションからでもちょっと遠いなーと思った。しかしからすが、仕事上の都合をも考えてそう言っているのだと思って、あえて反対はしなかった。

「〇〇病院ですか?連絡先はわかりますか?わかれば私が直接連絡をしてあげます」

先生がそう言って、直ぐにに連絡を取って下さった。

 それで入院の手筈が整い、後はからすが行くだけになった。

 かもめは一旦は別宅へ戻らなければならなかった。むくに夕食を届け、またからすの入院の準備して持っていかなければいけないからだ。だからからすだけが先に1人で、電車に乗って1時間以上掛かるその病院まで向かった。

 一方かもめは本宅に車を置いてから別宅へ戻り、むくに留守番を頼んでからすの着替え少々を持って再度出発。

 小1時間電車に揺られてからすの待つ都内の病院へ向かい、病院へは午後7時過ぎに到着した。先に到着していたからすは救急患者として既に病院の検査室に入って、脳の検査や全身の検査を始めていた。

 一方かもめは病院へ着くと直ぐに入院書類一式を渡され、すぐにそれに記載して保証人の欄にも署名をした。

 からすの病室には個室を希望したのだがその時は空きが無かったので、一旦は4人部屋に収まって、おいて空室が出次第個室へ移る事に決まった。

 その後もずっとからすの検査が続き「当分時間が掛かるし、あとは帰っても支障がないです」と看護師さんがおっしゃったし、病院は夜間は完全看護なのでそれ以上いても仕方がないと思い、かもめはむくの待っている別宅に帰宅した。

 からすの事は気になったが、意識はしっかりしていて発症当時よりも落ち着いていたし、取りあえず病院へ入院させる事ができたので、1人で自宅にいるよりは安心だと思った。

 とにかくこの数日はむくを全くほったらかしにしてあったので、むくや学校の事を少しは考えなければとかもめはかんがえた。

 後はからすの生命力を信じるしかないのだ。とにかくこの日は目まぐるしい1日だったので気を落ちつかせなければと自分に言い聞かせた。



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