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《51》からす一家、海外旅行へ行く

むくの通う塾は、探し始めるとわりとすぐ決まった。

 中学受験の時に利用したことのある個別指導塾が賃貸マンションのすぐ側にできて、むくに聞くと「そこでいい」と言ったからだ。 ただむくは申込む時になって、

「一年以上学校を休んでいて全然勉強が解らない。恥ずかしいから中学二年生で申込んで」

そうむくが言うのでかわいそうになったかもめは、その嘘に加担してしまった。そしてそのことで、後になって厄介なことになった。

 取り合えず塾探しが一段落したので、次にかもめは夏休みの海外旅行について具体的な計画を考えた。,

 かもめはハワイやシンガポールのような、南国で海のある場所が希望だったが、からすが脳梗塞の発症後初めての海外旅行なので、身体的な負担を考えると少しでも近場の方が無難な気がした。

「行き先は何処にする?」

 三人で話しあった結果、台湾の台北と香港が候補に挙がった。

「行ったことがないから香港にしようよ!一応海もあるし」

むくとからすがそう言うので、若干遠い気はしたが香港へ行くことに決定した。

ただ夏の暑さと湿度の高さは尋常でない、と聞いたことがあったので、それについてはかなり気になった。

 出発日はお盆直後の8月18日、日程は4泊5日でフライトは成田発のキャセイ、そしてホテルはルネッサンスカオルーン、それらをフライトとホテルがセットのパックツアーで手配した。

 海外旅行へ出発する前日のからす一家は、だいたいいつも成田のホテルに前泊するのだが、この旅行もそうだった。

とはいえからすは会社へ行くので、むくとかもめは先に車で成田のホテルへ向かい、夜三人で合流するというパターンだった。

「旅行の前泊の日が一番楽しい気がするよ」

かもめはいった。

 前泊はよく利用する成田ビューホテルで、夕方には到着したのでひと休みしてからしたホテルのレストランで夕食にした。地場産の食材をふんだんに取り入れたメニュー豊富なバ彳キングが中心で、料金が手頃で味もなかなかなのでからす一家のお気に入りなのだ。

「明日は朝早いんだから、少しでも早く寝ようよ」

翌日に備えてかもめはできるだけ早く寝ようとしたが、相変わらずマイペースなむくが寝ないのでかもめも眠りを妨げられた。

 ′香港へ出発の朝を迎えた。成田からのフイトはキャセイ〔CX500便〕、午前9:25分発なので、その二時間前には空港へ到着するようにホテルの送迎バスを利用して空港へ向かった。

空港へ到着するとお盆の直後にしては想像していたより混雑していなかったので、航空会社のチェックインも出国審査もスムーズに終わり、三人ともホっとした。

しかし出国間際になってからすが、「やっぱり海外旅行保険を掛けたい」と言い出した。

実はからすは脳梗塞を発症して間がないので、海外旅行保険は加入できないと思い、掛けていなかったのだ。

仕方なく通販専用機で試してみたが、残念ながら結果はNO。

病気の発症後、三年を経過しないと保険には加入できないということだった。

しかしからすは諦めず、病気はしていないとの嘘の告知をして、無理矢理保険に加入してしまった。

「そんな嘘の告知をして無理に加入しても、きっと病気になっても保険なんか出ないよ」

かもめは言ったが、からすは大して気に留めなかった。

実際には保険がどうなのか謎のまま、とりあえず香港へ向かうことになった。

フライト時刻の三十分前になり、搭乗が始まったので、からす一家はキャセイに乗り込んだ。いざ香港へ、出発ー!.






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