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《4》恐怖の賃貸二重生活へ

 とりあえず新学期になるまでむくの様子をみたが、夏休みの宿題が最後まで完成される事はなかった。そして新学期が始まっても依然として中学へ通う事を拒み続けたまま、一週間が経過した。

 このままでは学校へ通いそうもないのでむくを公立中学へ転校させる事も考えた。しかしむくの通っていた学校と公立中学では学期制が異なったり、制服や教科書も勿論必要だ。また受け入れる中学の都合や手続きの事もあって、学年途中に転校をするのは難しそうだったし、もし可能だとしても時間が掛かりそうだった。

 だからむくと話しあい取りあえず1年生の終わりまで現在の中学へ通ってもらい、転校するなら2年生からにしたほうが良いのではという事で、本人を説得して何とか納得してもらった。

 しかしそれ以外にも「満員電車に1時間以上も揺られて学校へ通うのは無理だ」ともむくが言い続けていたので、それもまた問題だった。

 本来は本人に通う意思があまりないのだから、きっぱりと退学して公立へ転校させたほうが良かったのかもしれないが、折角入った中学だからできれば卒業させたいという気持ちがかもめにはあった。だから一時的に学校の付近で賃貸生活をする事を思いついたのだ。

 むくの為に都内で賃貸生活を始める事に決めたのだが、一時的とは言ってもやはり都心のマンションは狭い上に賃貸料が高い。

 それに自宅である一軒家はまだ住宅ローンが残っていたので、そちらも払い続けなければならず、両方を家計から負担するのは大変な気がした。 とてもからすも一緒に三人で住めるような広さのマンションを借りるのは不可能な気がした。

 また一時的な賃貸なので自宅と行き来するつもりだったし、自宅管理もしなければいけない。それでからすとの話し合いにより、かもめとむくが二人だけで賃貸生活をするという事に決めた。

 しかし本当にマンション探しをする段階になると「出来れば、一緒に住みたいよ」とからすの言動が変化した。そうは言ってもやはり広い部屋を借りるのは難しいので、からすには時々遊びに来てもらう事で諦めてもらい、やはりむくとかもめの二人だけで賃貸する事に決定した。

 その時は既に新学期になっていたしむくは数日間学校を休んでしまっていたので、ゆっくりと時間をかけて賃貸物件を探している訳にはいかない。かといって毎日のように自宅から都心へ通って賃貸マンションを探すのはちょっと無理があった。それにむくがそれ以上学校を休み続けては困ると思い、かもめは妙案を思いついた。

 その案とは都心の安いホテルに滞在しながら賃貸を探し、尚且つむくはホテルから学校へ通うという案だった。

 初めは高田馬場の某ホテルに一週間滞在、その翌週は池袋のホテルに移動して探したが値段と広さが希望にあった物件がなかなか見つからなかった。

 しかしその週の金曜日にインターネットで物件を探していたら、たまたま条件に近い?物件を見つけた。

 それはむくの学校から一駅下った駅から徒歩6分ぐらいの所にある2DKのマンションだった。早速その日の夕方、その物件をからすと見学したら、室内は改装済みで綺麗だしまあ駅に近い、それに家賃も予算を若干はこえたがまあ何とかなりそうだった。

 家賃は管理費込みで10,6000円、その場所にしては比較的安い方だったのだと思うが、家賃、 、礼金、敷金、前家賃、仲介手数料を合わせると総額約75万円を直ぐに用意して支払わなければならない。また、すぐに保証人も必要だった。

 学校の入学金や授業料を払ったばかりだったので、これはかなりの痛手だったが、可愛いむくの為と思い何とか契約金は用意するつもりだった。しかし保証人は直ぐに探すのは難しかったので、不動産屋さんと方法を話し合った。

 それで今回はかもめとむくの2人で住むのでかもめが契約者になって、からすが保証人になるという形なら可能だというので、そのちょっと変わった形態で賃貸契約をする事になった。

翌 週には保証人の審査がOKとなり、賃貸の費用も何とか工面出来てたので同じ9月の23日に引っ越しをする事に決まった。

 そうして賃貸マンションと自宅との二重生活は開始したのである。



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