表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/59

《3》公立中学へ転校した~い!

 数年前の春、桜が満開の4月上旬にむくが第一志望の私立中学に入学した。

 入学した事は嬉しかったけれど、担任の先生がどんな方か、またむくが友人を作り楽しい学校生活が送れるかどうかがとても心配だった。

 実際に決められたクラスごとに分かれて教室に入ると、担任の先生は若い女性でちょっと陰険そうな感じだったので不安になった。それに、むくは自分から話しかけたりするのが苦手なので、はたして友人を作れるのだろうか、とこれも心配だった。

 しかし入学して間もなく、クラス内で同じ方向へ帰る友人達の中で一人とても気が合って、仲良くしてくれる友人が出来たのである。その事にはむくも勿論だが、以上にかもめも喜んだ。

 それからはぎゅうぎゅう詰めの満員電車に揺られながらの通学にも何とか耐え、また1に勉強、2に勉強の学校生活にも頑張った。

 そして中間試験では頑張った甲斐があり、(といってもできるだけ努力は少なく、楽して何とかしたいという傾向はあったが、成績も上位の方に位置する事が出来た。

 無事一学期が終了し夏休みに入ると、運動部に入部しなかったむくは突然暇になった。最も宿題は各教科から恐ろしく沢山出されたので、そういった意味では忙しく、苦戦はしていたが。

 そんな夏休み中の7月末、住宅街の中で行われる夏祭りで暫く付き合いの途絶えていた、小学校の時の友人に再会した。日増しにその友人との携帯での連絡が頻繁になり、かもめはな夏休みの途中ぐらいか何だか嫌な予感がしていた。

 そしてある日突然むくが「もう宿題はやりやたくない」と言い始めた。

「それにあの中学は遠いし、満員電車に乗るのも苦痛だからもう行きたくないよ」挙げ句の果てにはそんな事まで言いだした。

 なんで突然そんな事を言い始めたのか怪しいと思い、もしやそれは小学校時代の友人とのメールが原因ではないかとかもめは思った。

 それでむくには悪いと思いながらもこっそりとむくの携帯メールを見てしまった。大半のメールの内容はむくとはお互いの中学での生活や友人、いじめについて、むく「今の中学をやめて、2学期からはそっちの中学へ転校するから待ってて。いじめはある?」

「ほんと?本当に転校してきてよ。ちょっと意地悪な子もいるけど、私が守ってあげるから大丈夫」

と友人。そんな会話がメール上で交わされていた。

 かもめは単に懐かしいとか、冗談で言っているだけかと始めは思っていたが、むくの様子が日増しに可笑しくなり、全く残りの宿題に手をつけなくなった。そして「絶対に、行くはずだった公立中学へ行くから、もう今通っている中学へは行かないよ」と言い張るようになっていったのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ