表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/59

《39》からすの身体に異変が

 からすは脳梗塞になってから初めての夏を過ごしたのだが、夏になることに、とある期待をしていたようだった。

 冬の間は寒さのせいで筋肉が更に硬直してしまい、麻痺や痺れの後遺症もかなり強くなってとても辛かった。だから夏になれば筋肉がほぐれて、後遺症が多少でも軽減されるのではないか?と思っていたのだ。

 かもめも夏になれば、からすの体調が少しは良くなるかもしれない、と思っていた。

 実際に夏になると、筋肉は柔らかくなったが、違った面でからすの体調に異変が現れた。

 特に顕著だったのは温感麻痺による体温調節の不具合。それにより暑くてもあまり汗が出なくなり、脱水症状に陥り、しばしば体温が異常に高くなった。

 特に麻痺している左半身は、右半身に比べて身体が熱くなっていた為、筋肉が異常に加熱され、焼き過ぎて縮んだ肉のように、筋肉が萎縮してしまった。

「なんか、左側の内臓の辺りが盛り上がってきて、しかも硬くなってる」

「えっ、本当?ちょっと見せて」

 びっくりしてかもめがからすの身体を見ると、確かに左側の横隔膜の辺りが盛り上がっていた。

「これって変形?」 

 驚いたことに萎縮は手足だけでなく、左側の胃や腸など内臓やその付近の筋肉にまで起こり、縮んで硬くなり、更には骨まで変形させて盛り上がってしまった。

 そして食べ物を食べると胃の辺りで支えたようになのってしまい、腸捻転にでもなったのかと慌てたからすは病院へ駆け込んだ。

 これには本当にからすもかもめもびっくりした。

 病院で診察してもらうと、それは筋肉の硬直によるものだったのだが、脳梗塞を患って半年以上も経過してから、再び後遺症として、そのような症状が現れるとは二人とも想像していなかったので、ちょっと信じられない気がした。

 また、暑さによって血圧が上昇した為、頻繁に鼻血も出していた。

 脳梗塞に罹る以前はからすの血圧は、正常値の中でも低い部類だったのが、病気になって神経や血管が破壊されてから、こちらも正常には働らかなくなってしまった。

 脳梗塞患者にとっては冬が特に危険といわれているが、実際は夏場も脱水症状による脳梗塞の危険や、血圧の変動等、冬場と同じぐらい、脳梗塞発症の危険とは隣り合わせなのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ