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《35》注意欠陥他動性障害だったの?

 大学病院で渡された、むくについての検査の内容は、生後から現在までの子供の行動や他人とのコミュニケーションの特徴等について項目ごとに分かれていて、それについて保護者かもめが回答するという形式のものだった。

過去の事について考えるのは意外と難しく、かもめは数日かけてよく考えて回答し、翌週の診察に間に合うように担当医に郵送した。

翌週になり、とうとうむくの検査の結果を聞く日が来た。

診察では1週間の様子等を先生と話して、診察の最後に検査の結果を伝えられた。

「お母様が回答して下さった検査の回答の中で、〈当てはまる〉に〇を付けて下さった数を集計した結果、あなたはアスペルガーよりは、注意欠陥多動性障害のほうに当てはまるようです」

「そうなんですか?自分ではアスペルガーの特徴とぴったりだと思うんですけど」

むくは言った。

「注意欠陥多動性障害で、アスペルガーに近い人もいますし、両方の要素を持っているという人もいます。検査ではあなたは注意欠陥多動性障害に当てはまるようですが、もし、あと1つ〈当てはまる〉に〇が付いていたら、この検査ではアスペルガー症候群との境界線を越えて、アスペルガー症候群のほうへ入ります。あなたの場合はアスペルガー症候郡に近く、特徴もあるかも知れませんね」

検査用紙の回答をむくに見せながら、先生はおっしゃった。

その話しを聞いて、 むくは多少納得したようだった。

大学病院での診察はその日で終了したが、むくは鬱病であると診断されたので、暫くは大学病院を紹介してくれた、家の近くの診療内科へ再び通い、服薬治療を続けることになった。

「自分がアスペルガーじゃないっていうのは信じられないけど、注意欠陥障害で良かったような気がする。注意欠陥障害だと療育や薬等で症状が改善されることもあるって、インターネットで見たから」

むくは言った。かもめもむくがアスペルガー症候群ではなくて良かったかも?と思った。

むくは注意欠陥多動性障害であると診断された事で、少し気が楽になったようだった。

両方とも脳の機能障害であることは同じだが、注意欠陥他動性障害はある程度、療育や薬で症状を軽減させる事ができ、一方アスペルガー症候郡のほうは一般的に知能には遅れの無いものの、自閉症であり(ただ発達にばらつきがある事はある)、それ自体を直すということは不可能なようだった。

注意欠陥他動性障害についての治療は、むくの鬱病が良くなったあと考えようと、かもめは思った。

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