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《31》むくの様子がおかしい

やっと春休みを迎えたむくなのに、精神状態は良くなるどころか悪化の一途へ。

いったいどうしてむくはこうなってしまったの?

むくと一緒にかもめは心療内科へ行く事に。

 からすの脳梗塞やむくの不登校など、次々大変な事が起こった1年だったが、何とかむくは中学1年を終了し春休みを迎えた。

 休みになって暫く学校を離れれば、むくは嫌な事を忘れるだろうし、2年生になってクラスや担任が変われば、また以前のように元気に学校へ通うのではないかとかもめは考え、ちょっぴり安心していた。

 だが現実はそんなに甘くらなかった。春休みになってもむくは元気になるどころか、むしろ塞ぎ込んでしまい、それと同時に何だか精神状態が可笑しくなっていった。

 朝起こしても起きないのは以前からだったが、午前中に起きることがなくなり、起きてもだいたい2時、3時、酷い時は夕方近くまで寝ていることもあった。

「寝てばっかじゃしょうがないよ」

かもめは何度もむくに言ったが変わりはしなかった。

 それだけならまだしも、常にイライラして、ぶつぶつと1人言を言ったり、学校や世間に対する呪いの文句まで言うようになった。

「あの学校のやつらや先生もみんな死ねばいいんだ!あのくそ学校」

そうかと思えば、やけに悲観的な事も言った。

「私なんか生きている価値がない!死んだ方がいいんだ、こんな人間」

「これからどうすればいいのかわからない。ずっと考えてると頭が可笑しくなるから、もう死ぬしかない!」

 日増しにむくの精神状態は悪化して、言動は支離滅裂、最悪のほうへ向かっているようだった。 そして春休みの終わり頃には、とうとう突然大声でわめきちらしたり、叫んで暴れるようまでになった。

ただ暴れるといっても、他人に暴力を振るうのではなく、専ら自分自身の頭を手で殴ったり、髪の毛を思いっきり引っ張るなどの自傷、自虐的な行為が主だった。

 その頃になるとむくは、かもめの手には追えなくなった。

(もしかしたらむくは鬱病になったのかもしれない。このままだと悪くなる一方だから、何とかしなければ)

とかもめは考え始めた。

「むく、もしかしたら精神的な病気かもしれないから、一度心療内科とかへ行って、診てもらったらどうかな?」

「もし病気だったら治療しないと治らないし、このままだとむくが辛いよ」

そうむくに言った。すると、意外にあっさり病院へ行く事に同意した。

「行ってみる、今のままだと苦し過ぎて何をするかわからないから」

この時のむくは恐らく、苦しくて辛くて、精神的には限界に近かったのだろう。

 早速インターネットで精神科や心療内科を探し始めた。だが意外と子供を対象にしたクリニックは少なくて、なかなか見つからなかったが、やっと1軒探し出して予約を取り付けた。

 その数日後、むくとかもめは初めて心療内科の扉を叩いたのである。そのクリニックは想像していたよりは明るい雰囲気で、緊張していた2人はホッとした。

 まず受付で、精神状態についての様々な質問の書かれた問診表が渡され、それにむくが答えることからその日は始まったのである。


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