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《17》バルーンで喉を膨らませて

 転院2週間目にはからすが基本的な食べ方のリハビリに慣れてきたので、更なる回復を期待して、バルーンを使用してのリハビリが開始された。

 バルーンというのは、細いチューブの先に5、6、センチ位の長さのちょっと膨らんだ部分がついたもので、嚥下障害の患者はそれを喉に挿入する。そして膨らんだ部分が、萎縮して狭くなった位置にちょうど来るようにして、ポンプで空気を挿入してそのあたりを膨らませ、狭くなった喉を広げるというものだ。

「これは喉に差し込む時、結構痛いし苦しいんだよ、あの鼻の時のチューブみたいに」

とからすは言った。

「また大変なんだね、かわいそう。でもそれで食べられるようになるかもしれないから、何とか頑張ってみて」

 このバルーン治療は嚥下障害のリハビリの最終手段といえるかもしれない。このリハビリを行っても効果が出ない患者さんもいるらしく、専門書などによるとリハビリを行って回復する確率は50%。

 だからこのバルーン治療で効果が出ればかなりラッキー、しかし何の変化もなければ、もうからすが回復する施す術はないだろう、とかもめは思った。

 そんな訳でからすは藁にもすがる思いだった。だがもし効果が出たとしても、最終的にどの程度飲み込めるようになるか、また嚥下障害になる以前と同じようなうな食事ができるまでに回復するかは、多いに個人差があるので全く予想はつかない状態だった。

「とにかく治ると信じて頑張ってよね、リハビリ。バルーンを膨らませて」

 それからはからすは毎日、バルーンで喉を膨らませ続けて本当に忍耐強くリハビリを頑張ったので、むくとかもめはつくづく偉いな~!、そう思った。

 そしてかもめもむくも、からすが頑張っているので、とにかく必ず食べられるようになると信じて応援し続けた。

 その頃にむくはからすが転院した病院へ初めてお見舞いに行った。以前の病院へも何度かお見舞いには行っていたが、その時はからすが激やせしていたのでとても心配していた。

「随分痩せたね。足がすごい細くなってるよ!前はもっと筋肉が付いていたのにね」

と信じられないという感じで、かなりびっくりしていた。 当時のからすは本当に痩せて干物のように干からび、足は鶏の足のように細くなっていたのである。

 しかし久しぶりに会ったからすは以前より多少太り、わりと元気になっていたのでむくは一安心したようだった。

「あの頃よりちょっと太ったみたい。少し元気になった感じがするよ」

とむくも喜んでいた。

 実際に脳梗塞発祥後の、一番痩せていた時は体重が約7キロ減少していたが、この時には2キロぐらいは体重が戻っていたので順調に回復する気がしていた。

 この調子で頑張れ、からす!!!



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