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全6話の短い物語です。ハッピーエンドです。よろしくお願いします。

誤字報告ありがとうございます!

 侯爵家長女フランシーヌと公爵家三男のブラッドは家同士の釣り合いが良いことからお互いが十歳の時に婚約を結んだ。可愛く優秀な娘を手元に置きたい親の考えで、真面目で優秀なブラッドが選ばれた。この国は女性に継承権が与えられていたのだ。


ブラッドの方にも早く婚約を結びたい理由があった。


ちなみにフランシーヌにはノエルという四歳下の可愛い弟がいた。弟には母方の亡くなった祖母が持っていた伯爵の爵位が与えられることになっていた。

ノエルも優秀だったが、先に生まれたのがフランシーヌだったというだけのことだった。


ノエルは優しくて可愛い姉のことが大好きだったので、僻むことはなく、伯爵になって姉の手助けができれば良いと幼いながらに考えていた。


 フランシーヌはお日様の光を集めたような金髪で、ぱっちりとした大きな紫の瞳をしている明るい女の子だった。


相手のブラッドはサラサラの金髪碧眼で王子様のような整った容貌の男の子だった。


兄二人も美形で跡を継ぐのは嫡男ロバートで、第一王子の近衛騎士をしていた。次男はライアンで公爵の執務の補佐をしていた。兄達が末の弟を構い倒したのは言うまでもない。


 二人は優れた容姿と爵位に驕ることもなく真っ直ぐ育っていた。

婚約をした頃はぎこちなかった会話も、好きな本が同じだったり、屋敷での勉強の進み具合だったり愛猫の話で仲良くなっていった。


お茶会は月に二回お互いの屋敷を行き来していた。フランシーヌがお土産にするのは侯爵家のシェフの作ったクッキーが多い。バターがたっぷりで紅茶によく合う。ナッツやチョコレートを入れたものがブラッドの好物だと分かった。


たまにブラッドの好きそうな冒険物の本をプレゼントした。

大事そうに受け取りぺージをめくる嬉しそうな顔が大好きだった。


ブラッドは可愛らしい花束とケーキを持って来てくれた。

サプライズでアクセサリーをプレゼントしてくれるので、フランシーヌは嬉しくて胸がどきどきした。



その頃にはブラッドはフランと愛称で呼ぶようになっていた。


フランシーヌは九歳の誕生日プレゼントに真っ白な子猫を両親から貰っていた。

毛が長くツンとすましているところが雪玉のようでスノウと名付けて可愛がっていた。


スノウといる時のフランシーヌは優しい顔をする。

「僕もスノウみたいになりたいな」

「えっペットになりたいの?お兄様達が可愛がってくれるでしょう。でも末っ子だものね、仕方ないか。ノエルも甘えてくるもの」

ちょっと斜め上の考え方をする婚約者が面白くて、ブラッドはいつの間にかフランが大好きになっていた。


実は最初の顔合わせの時、どうせそこらの女の子のように爵位と容姿に寄ってくるだけなんだろうと警戒していた。

顔見せで会った彼女は媚びて来ない珍しい子だった。

遊びもお転婆で男の子のようなものが多かった。気後れしがちなブラッドをぐいぐい引っ張るのはフランシーヌだった。



それぞれの屋敷の庭園を二人で探検をしたり、大きな木に登って遠くの景色を眺めたり、噴水のある池の近くに行ってはしっかり手を繋いで落ちないように覗き込んで、小さな魚や水草を眺めるのはとても楽しかった。


図鑑を庭に持って出て花壇の花の名前を調べたり、草場にいる昆虫の名前を探すのは好奇心が満足出来ていい遊びだった。


護衛や侍女はいつもはらはらとして見守っていた。

あまり危ないことをすると二人で母親に叱られたが、それも後で笑える楽しいことだった。


ブラッドはフランシーヌと野山を駆け、ノエルの遊び相手にもなってくれた。三人でゲームをする時は年上の二人が勝ってしまうので、負けた人が勝ちという変なルールが出来た。

これはノエルが自力で勝負が出来るようになるまで続いた。


フランシーヌはブラッドに自分の特別を見せたくて、秘密の場所に連れて行った。そこは小高い丘で領地の様子が見渡せる場所だった。


「凄く綺麗な街並みだね。きちんと整備されてる、暮らし易い土地なんだろうね。侯爵様は良い領主様なんだね、将来僕も一緒に携われると思うと光栄だよ」


「ここが大好きなの。ずっとよろしくお願いします」


「こちらこそよろしくね、もっと頑張って勉強しないといけないと思ったよ」


ブラッドと笑いあう時、フランシーヌは本当に幸せだった。


周りに愛されていたフランシーヌは、世の中の悪意をあまり重く感じたことがないまま育っていた。

最後まで書けていますので毎日更新します。読んでいただけると嬉しいです。

さっそく読んでいただきありがとうございます!

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