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9. 奥義

陽翔、必殺の剣術!

陽翔の剣速にクリスが目を丸くした。

だが、チェザリーノは落ち着いていた。


「図星を突かれたかな、フィン君。

しかし、そのように怒りのままに振っても

剣は曇るだけだ」


チクチクと仲間の技を否定され、

陽翔の鬱積した思いが爆発した。

「ふざけんなよ。

お前らがブラッドの何を知ってる!

あいつの剣技はお前らのいうブラッド流のような

珍妙なもんじゃねえ。今言った言葉を取り下げろ」


陽翔はチェザリーノへ再び斬りかかったが、

ひらりひらりと容易に躱されてしまった。

それがブラッドを否定されているようで悔しかった。

「ああああああ、当たれよ。何なんだよ。

こんな糞剣術に負ける訳ないんだよ」


チェザリーノは距離を取ると魔術を詠唱した。

「オリヴェルの生み出し魔術の一端、

いざなえまどろみの世界へ、スムノロンズ」


チェザリーノの持つ木剣が

複雑怪奇な魔術の陣を描いた。

激しい戦闘中に間違えずに描ききることは

困難を極めるだろう。

チェザリーノの木剣の先端から

白い煙が生み出され、陽翔を包み込もうとした。


距離を取られた陽翔は少し落ち着きを取り戻した。


近づく白煙を陽翔は斬った。


斬られた白煙はその場で雲散霧消した。

陽翔は肩で息をしていた。


剣で魔術を斬る。


それは、物語の中での話だった。

それを現実で目の当りにして、クリスは驚いた。

一方でチェザリーノはニヤリと口元を歪ませた。


「ふーむ、ブラッド流の神気をその歳で扱えるとは。

それに魔術の僅かな綻びを見つけるその知識と技術、本物だな」


「チェザ先生、フィンが魔術を斬りました。

英雄の物語だけの話ではないんですか!」

興奮気味に話すクリスをチェザリーノは、

全く相手にしなかった。


「はあはあ、あんた、一体何のつもりだ。

ふうう、あんた、知っていたんだろ、何者だよ」


「フフフフ、さあ、何者なんでしょう。

あなたの胸に手を当てて考えてみては如何でしょうか」


呼吸が落ち着いた瞬間、陽翔は全力をもって、

クリスの方へ木剣を投擲した。

それはクリスに到底、避けることのできないものであった。


「なっ」

チェザリーノがクリスの助けに入った。

木剣は叩き落とされて、カラカラと端の方へ

転がっていた。


その直後、耳を劈くような絶叫が練兵場に響いた。


「きゃああ」


陽翔がチェザリーノを背中から抱きしめて、

両手で胸をまさぐっていた。


2人の目の前のクリスが目をまん丸にして、

固まっていた。目前の状況を理解できずにいた。


ドゴン、派手な衝撃音が練兵場に響いた。


「いっ痛い」


床でのたうち回る陽翔だった。

その側には床に座り込む絶世の美女がいた。


びくりと一瞬だけクリスの身体が動いた。

しかし、それだけだった。再び固まるクリスだった。



エロエロー

最低の輩です!

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