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4. 食堂

陽翔、挑戦!

昼食時、陽翔は食堂でそれとなく同じクラスの

エルフの少女が利用しているテーブルに座った。

「確か同じクラスだったよね。相席、いいかな」


「どうぞ、お好きなような」

エルフの少女は、あまり友好的では

無さそうな声だった。


しかしそんなことは、

お構いなしに陽翔は対面に座った。

「実技担当のチェザ先生だけど、凄いよね」

それとなく話題を振る陽翔だった。


「はあ、当たり前でしょ。

この学院で長く教官を務めてるんですから。

それよりあんたの方が凄いでしょ。

あんな聞いたことも見たこともないような剣術と

詠唱であれほどの威力なんだから、

どんだけ基礎能力が高いのよ」


陽翔は適当に相槌を撃ちつつも

チェザリーノの情報を得ようとした。

「それにしてもあれほどの実力。

誰しもが知っている出自なんでしょうね」


それまでぞんざいな態度であったが、

なぜかエルフの少女はその話題に

喰いついて来た。

「それが謎なのよね。

噂だけど、400年前の魔との争いか

300年前の大戦のときに滅ぼされた

部族の生き残りって言われてるわ」


「へえ、そうなんだ。謎多き人物なんだね。

400年前と言えば、英雄ソフィアは今、

どこでどうしてるんだろう」

ごく自然な態で話題を陽翔は誘導した。

エルフの少女は若干、眉間に皺を寄せた。

「ふん、それは人間様の方が詳しいんじゃなくて。

300年前に人間様が起こした侵略戦の最中、

行方不明になっているでしょ。

あなたみたいに優秀な人なら、ご存じでしょうよ」


明らかに気分を害したようだった。

エルフの少女は、もう話すことはないとばかりに

席を立ち、その場を離れた。


「おいおい、ナンパにしちゃあ、お粗末だな」


「流石にエルフの王族に今の話題は、NGだろ」


「おまえ、凄いな」


遠目に陽翔を見ていたクラスの男子たちが

近づいて、言いたい放題言っていた。


「確かにそれはそうだけど、

実際の所はどうなのか知りたくてね」

陽翔の言葉を誰も真に受けておらず、

逆に彼らに騒ぎ立てていた。


「田舎もんかよ。ありえないだろ」

「怪しげな魔術に剣術、あれは辺境の伝統か」


苛々苛が募り、爆発寸前の陽翔だった。

勢いよく立ち上がると、囃し立ていた同級生たちは

押し黙った。

陽翔の実力は先の授業で誰しもが知るところだった。


「わっわりい、冗談だよ」


囃し立てた同級生たちは、適当に話を

濁してそくささと逃げ出した。


午後の講義は微妙な雰囲気だった。

元々、一人で過ごすことが多かったが、

どうも陽翔は同級生から避けられているように感じた。


『ちっ餓鬼どもが』と心の中で毒づき、

敢えて気にしないようにした。


決してナンパではありません。

本からでは学びえないこともあるんです!


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