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白虎ちゃんのお気に入り  作者: 火蛍
波乱の学園祭
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私の衣装が完成しました

 体育祭の本番まで一週間に迫った頃の土曜日、イナ宛にツバキから一報が届いた。

 彼女が以前依頼していた仮装リレーで使用する衣装が完成したのである。


 イナはフウと二人でツバキの待つエリカ邸へと足を運んだ。

 二人が到着するとそこにはエリカとツバキともう一人、初めて見るツル族の女性が待っていた。


 「やあ。待っていたよ」

 「あの、そこのお方は?」

 「この人は私の知り合い。今回イナちゃんに着てもらう衣装を作ってくれた人だよー」

 「初めましてー、シオリって言いまーす。衣装製作のお仕事してまーす」

 

 ツバキから紹介を受けたツル族の女性は気さくにイナたちに挨拶をした。

 シオリはツバキの知り合いということもあり、話し方のどこかに気だるさを感じさせる。


 「キミがツバキの言ってたキツネ族の子だねー?」

 「はい。イナっていいます」

 「そう、イナちゃんねぇ……」


 シオリはイナに目を付けるとイナをじっくりと見回した。

 衣装製作を生業にしているだけあり、その目はイナの特徴を精彩に捉える。


 「ツバキが言ってた通りだねぇ。背がちっちゃくて、おっぱいが大きくて、なにより引き込まれるような目をしてる」

 「そんなこと言ってたんですか?」

 「言ってたよー。ねーツバキ?」

 「知りませーん」


 シオリがおちょくるように尋ねるとツバキはすっとぼけたように答えた。

 二人が気が置けない関係であることはこのやり取りだけで十分に伝わってくる。


 「綺麗な目だねー。カラコンとか付けてるの?」

 「いえ。眼鏡なのでコンタクトなどは……」

 「アハッ!面白いこと言うじゃん」


 シオリはイナの返答を面白がっている。

 イナは首を傾げ、フウとエリカは置いてけぼりにされて呆然としている。


 「シオリー。そろそろイナちゃんに衣装着せてあげてー」

 「あーそうだった。最後の調整とかしたいからちょっとついてきてちょ」


 ツバキから水を差されて本来の目的を思い出したシオリはイナを連れてエリカ邸の一角へと足を運んでいった。

 これからいよいよ衣装に袖を通すのである。

 

 「イナちゃんさ、周りから美人って言われない?」

 「聞きませんね。学校では地味に振る舞ってるので」

 「まっさかー。きっとイナちゃんのファンも学校にいるよー」

 「少なくとも二人は確実にいますね」

 「ほらやっぱりー。自覚あんじゃん」


 シオリはイナとやり取りしながら衣装に袖を通させた。

 彼女の目にはやはりイナが美人に見えているようである。

 

 「イナちゃん、コスプレに興味はない?耳の形も綺麗だし、尻尾の毛も艶がよくてふわふわしてるし、背がちっちゃくておっぱいが大きい子ってコスプレの世界だとすごく貴重なんだよねー。キミほど素材のいい子そうそういないよ」

 「褒めていただけるのは嬉しいんですが、目立つのはちょっと……」

 「そういう子ほど化けるんだけどなー」

 

 シオリはイナの着付けをしながら彼女をコスプレの世界に誘おうとしたがイナはやんわりとそれを断った。

 するとシオリも食い下がる。

 彼女としてもイナが逸材であると感じているがゆえにここで手放してしまうのは惜しいと感じていたのである。


 「とりあえず袖通してみたけど、胸とか苦しくない?」

 「大丈夫です。ほらこの通り」


 イナは着心地や運動性の確認のためにその場で軽く回ってみせた。 

 シオリ謹製の衣装はアステリアの制服よりも軽く感じられ、『着ている』という感覚すら忘れそうなほどであった。


 「ちゃんと小道具の杖もあるからねー。じゃあ早速みんなに見てもらおー」

 

 シオリは着付けを仕上げるとイナを連れてツバキたちの待つ場所へと戻った。

 そこではツバキたちがシオリの作った衣装の仕上がりとそれを着るイナの姿を楽しみに待っていた。


 「じゃーん。こんな感じになりましたー」

 「どうですか?ちゃんと似合ってますか?」


 イナは自分の姿を披露しながらフウたちに感想を求めた。

 ツバキたちはその完成度に思わず絶句する。


 「素晴らしい……」

 「先輩、とてもよく似合ってます」


 フウとイナは真顔で拍手を贈った。

 フウに至っては感動のあまりに普段の口調がどこかへ行ってしまっている。


 「原作と目の色は違うけどこれはこれで雰囲気あっていいね」

 「やっぱそう思う?」


 ツバキとシオリは二人で話し合っていた。

 原作のノワルディーヌは瞳が赤色のため、イナとは違うのだが彼女の金色の瞳は原作とは違う魅力を放っている。


 「ウチと着替えてくる!」


 それからフウはいつのまにか持参してきていたウィッチスノウの衣装に着替え、イナと衣装合わせをする形となった。


 「アレって前に私がツバキ用に作ったやつだよね?」

 「まあねー。私とスタイル似ててそのまま着れたから貸してあげてんの」


 ようやく衣装が合わせられたフウはそのままイナとツーショットを撮るとそれを仮装リレーに参加する他のクラスメイトたちに送信した。


 『ウチらこれで走る!』

 『うわめっちゃ懐かしい!昔見てたわ』

 『完成度すっご!』


 クラスメイトたちからの反応はそのすべてが絶賛であった。

 それもそのはず、二人の衣装はその道のプロが製作したものであり、学校行事で出すにしてはあまりにもクオリティの高い逸品になっていたからである。


 「せっかくだから私にも一枚撮らせてよ。はいポーズ取ってー」


 シオリはどこからともなくカメラを出すとイナとフウにレンズを向けた。

 マジカルウィッチの原作を視聴済みの二人はカメラの前でバッチリとポーズを決める。


 「はい、ポーズ」


 シオリはカメラのシャッターを切ると二人の姿をしっかり写真に収めた。

 その出来栄えにシオリは満足げに頷くのであった。

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