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白虎ちゃんのお気に入り  作者: 火蛍
波乱の学園祭
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自分で調べてみます

 その日ほぼ一日を使ってマジカルウィッチ・スノウの鑑賞会を行った後、イナは解散して自宅で調べごとをしていた。

 内容は登場人物にして自分が扮することになるキャラクター、ノワルディーヌについてである。


 (今日見た範囲ではノワルディーヌがなぜ舞台になる星を狙うのかしかわかりませんでした)

 

 イナが視聴したのは前半一クール、その時点ではノワルディーヌの目的が星を手に入れることだということしか判明していない。

 自分が演じることになる以上、どうせならそのキャラクターについてより深く理解しておきたかった。

 その一心がイナの知的好奇心に火をつけた。

 ノワルディーヌというキャラクターについて携帯で検索し、より多くの情報を集めようと試みる。

 元々マジカルウィッチシリーズがファンの多い作品ということもあり、有象無象の情報が怒涛のように押し寄せる。


 数あるページの中からイナがまず最初に確認したのはアニメの公式サイトであった。

 そこのキャラクター紹介ページには悪役とはいえ主要キャラクターの一人であるノワルディーヌのこともバッチリ記載されている。


 (なるほど。ノワルディーヌにもプロフィールが設定されてるんだ)


 イナはノワルディーヌのプロフィールを確認した。

 そこには主人公のユキと同じように趣味や好きな食べ物などの設定が記載されている。


 (趣味は魔獣を育てること……ん?)


 イナはノワルディーヌのプロフィールに違和感を覚えた。

 魔獣は毎回ウィッチスノウと戦う相手である。

 設定通りであればノワルディーヌは趣味で育てた魔獣をわざわざ送り出して戦わせていることになる。

 手間暇かけているものを容易く捨てるようなことを自ら進んでやっているとはとても思えなかった。


 イナはすかさずエリカにメッセージを飛ばした。


 『ノワルディーヌの趣味が魔獣を育てることとあったんですが、彼女は毎回その魔獣をウィッチスノウと戦わせてなんとも思ってないんですか?』

 

 イナが疑問をぶつけてわずか数秒後にエリカから返答が来た。


 『この後の展開のネタバレになっちゃいますけど知りたいですか?』


 エリカの返答はネタバレに配慮したものであった。

 しかし今のイナにそんなことはお構いなしである。


 『構いません。教えてください』

 『実はノワルディーヌは自分が育てた魔獣にちゃんと愛着を持ってますし、戦いに送り出すことにかなり抵抗を感じてます。じゃあなんでそんなことしてるのかっていうと「そうしろと故郷から命令されているから」なんです』


 エリカはネタバレを承知でノワルディーヌの行動原理を説明しだした。

 他者から強引にそう命令されているのであれば矛盾が生じるのも納得であった。


 『ノワルディーヌの故郷の星では魔獣を複数飼育するのは犯罪なんです。犯罪者である彼女は飼育している魔獣を一匹になるまで処分するか、違う星に移住するかのどちらかを選択しなければなりません。この辺りは中盤以降に明らかになります』


 エリカが語ったノワルディーヌ周りの設定、それは子供向けアニメとは思えないほどの残酷なものであった。

 ユキたちがいる星に目をつけたのもさまざまな魔獣が生きられる環境がすでに整っているからである。

 しかし魔獣はその星の人々にとっては強大で危険な存在、相容れることは決してない。

 毎週魔獣を一体ずつしか出さないのは本当は戦わせたくないが故の苦肉の策、ウィッチスノウに魔獣を倒されて本気で悔しがるのは愛する魔獣を失うのが辛いから。

 設定を知ったことでノワルディーヌの行動描写に説得力が出てきた。


 『マジカルウィッチスノウは映画もあるんですけど実質ノワルディーヌが主役といってもいいぐらい活躍しますよ。本編の中盤ぐらいまで見てから視聴するのをオススメします』


 エリカは映画の視聴を勧めた。

 どうやらノワルディーヌというキャラクターの魅力がそこに詰まっているようである。

 具体的な内容までは語らなかったものの、俄然イナの興味を唆る。


 『ありがとうございます。明日見てみます』


 イナはエリカにお礼をするとすぐさまフウにもメッセージを飛ばした。

 

 『明日は朝からマジカルウィッチスノウを折り返しぐらいまで見てから映画も見ましょう』

 『急にめっちゃマジじゃん(笑)いいよ』


 フウはイナが急に積極的な姿勢を見せたことに驚きつつも彼女の誘いを快諾するのであった。

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