表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白虎ちゃんのお気に入り  作者: 火蛍
波乱の学園祭
73/79

フウさんの衣装を決めます

 イナが衣装制作のための採寸をしている頃、フウはエリカと一緒に自分の衣装選びをしていた。

 

 「イナっちがノワルディーヌの恰好するならウチもウィッチシリーズの衣装着た方がいいかな?」

 「いいんじゃないですか?ウィッチシリーズって白髪の子結構いますし」


 フウが首を傾げるとエリカはそれとなく同調する形で意見を肯定した。

 ウィッチシリーズは悪役に黒色モチーフのキャラクターが多いこともあり、主人公がそれと対になる白色をイメージカラーとしていることが多いのである。


 「せっかくノワルディーヌと合わせるならやっぱり初代主人公のウィッチスノウのコスしかないですよ!」


 エリカはフウにコスチュームをオススメした。

 彼女の中のオタク心にスイッチが入ったらしく、熱意に溢れている。


 「それ大丈夫?確かウィッチスノウってウサギ族のキャラでしょ?ウチが来たらイメクラしない?」

 「大丈夫です!コスプレで大事なのは作品に対するリスペクトですから。種族がどうとかの壁はありません」


 コスプレに対するフウの懸念をエリカは一蹴した。

 ウィッチスノウはウサギ族のキャラクターであるため、トラ族の自分とイメージがかけ離れ気味ではないかと懸念したがエリカの矜持の前でそんなものは杞憂である。


 「それはそれとして、ウィッチスノウの衣装ならあるので着てみますか?」

 「マジ!?着てみたい!」


 エリカに案内されるとフウは嬉々としてそれについていった。

 ウィッチシリーズはアニメオタクの間ではコスプレの定番であるため、その初代主人公であるウィッチスノウの衣装は当然のように用意されていた。


 「どう?サイズとかおかしくないかな?」


 フウはウィッチスノウの衣装を身につけるとノリノリでエリカに意見を求めた。

 その衣装が元々ツバキの丈に合わせて用意されたものということもあり、彼女と体格の近いフウが着けてもほとんど違和感はない。


 「ほわぁー!よく着こなせてますよ!」


 エリカは手放しでフウを称賛した。

 パステルカラーの青をベースに白をアクセントに拵え、フリルをふんだんにあしらった衣装が普段のフウとは全く違う印象を与える。


 「イナ先輩にも見てもらいましょう!」


 エリカは勢いそのままに採寸をしているイナに声をかけに行った。

 フウも今の自分の姿を見てもらいたい一心でついていく。


 二人がイナを発見すると、彼女はちょうど採寸を終えたところであった。

 横でツバキが資料として採寸データを送っているところへフウとエリカが合流する。


 「イナっちイナっちー!イナっちがノワルディーヌの衣装着るならウチはウィッチスノウの恰好しようと思うんだけどどうかな?」


 フウは開口一番に自分の姿を堂々と見せながらイナに意見を求めた。

 ウィッチスノウの衣装を纏うフウの姿を見たイナに衝撃が走る。


 「すごくいいと思います」

 「本当?可愛く見える?」

 「はい。それはとても」


 イナは珍しく自分から携帯を取り出してフウの姿を写真に収めながら褒めちぎった。

 

 「姫ちゃん。体育祭が終わるまで衣裳借りていい?」

 「ボクは別に構いませんよ。姉さんもいいよね?」

 「別にいいよ。体育祭終わったらちゃんと返してねー」


 フウはその場の勢いで自分の衣装を決定し、エリカ姉妹からそれとそれに付随する小道具を借り受けた。

 

 「せっかく衣装合わせるならパフォーマンスもしないとですね。原作見て勉強しましょう!」


 エリカはオタクとしての熱意マシマシにウィッチスノウが登場するアニメの原作の視聴を勧めた。

 仮装リレーは勝敗に関わらないエキシビジョンであるため、パフォーマンスが見所となっている。

 二人が原作を同じくするキャラクターの恰好をするのであればこれに乗じない手はなかった。


 「お気持ちは嬉しいんですが。今は課題テストの勉強する方が先ですよ」


 イナはエリカの熱意を受け取った上で他に優先すべきものがあることを伝えた。

 イナの発言を受けたエリカの隣でフウが顔を歪めている。

 

 「そうでした。じゃあ円盤貸すので試験明けたらフウ先輩と一緒に見てください」

 

 エリカはイナの一言からふと我に返ると映像ディスクを貸し出すことを約束した。

   

 「サブスクでも見れることない?」

 「サブスクだと劇場版が配信されてませんし、こっちは作画がリテイクされてるのでこっちのほうがいいですよ」


 フウが疑問を呈すとエリカが映像ディスクで視聴する利点を説いた。

 サブカル確かに疎いイナには何の話をしているのかさっぱり理解できない。


 午後四時前、用件を終えたイナたちは早めにエリカの家から引き上げた。

 ウィッチスノウの衣装と原作アニメの映像ディスクを借り受け、あとはイナが着る衣装の完成を待つのみである。


 「明日から試験ってなんで教えてくれなかったのさー!」

 「課題を終わらせた余韻を台無しにしたらまずいかと思いまして」

 「うぐぐ……対策付き合ってー!」


 帰りの道中、フウは試験対策でイナに泣きつくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ