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第7話

 見たこともない変な形ですが、おそらく生きたナニカ。

 そうであれば、お肉と飲み物を得られます!


 生き物は四つの足で地面を這うように迫ってきます。

 それはとても素早く、大きな口を開いて、ギザギザの歯で私に噛みつこうとしました。

 

 それをぎりぎりでかわして、錆びたナイフを頭に振り下ろしました。

 だけど、刃がまったく通りません。


「そっか、頭は固いんだ。他の場所を――え?」

 お尻の方で揺れていたナニカが私の体にぶつかってきました。

 私は吹き飛ばされて、近くあった緑の塊に体を埋めてしまいました。


 その衝撃で緑にくっついていた便の色の固いナニカが折れて、ギザギザになります。

 それが、私の皮膚を切り裂き、血が流れ落ちました。



 零れ落ちる、貴重な液体。このままでは、私の方が飲み物とお肉になってしまいます。

(でも、錆びたナイフじゃ……そうだ、柔らかそうなお腹の部分を狙って)


 そう考えましたが、生き物は地面を這っていてお腹は見えません。背中はごつごつとしていてとても固そう。

 どうすればいいでしょう?


 考える間もなく、生き物がこちらへ迫ってきます。

 私は急いで立ち上がり、逃げようと思いました。

 

 そのとき、足先にナニカが当たります。

 それは、便の色をした固いナニカ。

 私が飛んできたときに折れちゃったものです。

 とても長く、太く、丈夫そう。



「これなら!」


 私は便の色をした折れた固いナニカを手にして、飛び上がりました。

 そして、体ごと生き物へぶつかります。


「やぁ!」

「ガァァア!!」


 けれど、それだけでは傷をつけられず、生き物は大きく暴れて、私に体当たりをしてきました。

 それを何とか転がって避けて、すぐに立ち上がり、便の色をした固いナニカの先端を生き物へ向けます


(背中は固くて駄目。やっぱりお腹じゃないと。あ、そうだ!!)


 生き物の上は全部固そうに見えましたが、一つだけ柔らかそうな部分がありました。いえ、二つでしょうか。

 

 私はもう一度飛びかかり、その柔らかそうな部分へ、便の色をした固いナニカの先端――ギザギザになった部分で突き刺しました。


「ぐがぁぁあ!!」


 生き物は鳴き声を上げて、体を大きく震わせます。

 私は便の色をした固いナニカを素早く引き抜いて、ギザギザの先端を見ます。


 先端には血と一緒に、ぬるりとした液体がまとわりついてました。

「やっぱり、お目目なら柔らかいんだ」



 私は潰れたお目目の方から飛びかかり、もう一つのお目目を潰しました。

 生き物はもう、何も見ることはできません。


 あとは簡単。


 痛みに暴れる生き物に注意しながら、横っ腹に便の色をした固いナニカの先端を突き刺していきます。

 背中はとても固いですが、横っ腹の下の部分は柔らかいです。


 何度も何度も刺していくと、生き物は徐々に弱っていき、ついには動かなくなりました。

 私は錆びたナイフを取り出して、感謝を捧げます。


「お肉と飲み物をいただきます」


 ごつごつとした固い皮膚を持つ生き物は、私たちと違ってとても解体しにくかったです。

 血を飲みます……味はいまいちです。

 お肉を食べます――――っ!?



 とっても美味しいです!!



 私は夢中になって生き物のお肉を味わいます。

 今までいろんな人のお肉たちを食べてきましたが、こんなに美味しいお肉はありませんでした。


「ふ~、おなかいっぱい」


 まだお肉は残っていますが、もう食べきれません。

 残りはお母さんを包んでいた布に入れて、持っていこうと思います。

 

 これで、もっと上に行く準備はできました。

 私は他にもお肉はいないのかなと思い、緑の液体の場所に近づきます。

 見た感じ、もう何もいないようです。


 それでも警戒しながら、緑の液体を手ですくい、口に運びます。

 液体は臭くて、妙な味がします。

 変な生き物の血はあんまり美味しくなかったですが、この緑の液体よりは美味しかったです。

 

 渇きは十分に癒えていますので、この緑の液体を飲むのはやめておきましょう。美味しくないですし。

 では、早く階段を見つけて、上に向かいましょう。

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