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第6話

 ぐるぐるの階段、丸い部屋。

 ぐるぐるの階段…………突起物のついたナニカ。


 また、突起物のついたナニカが部屋の前で通せんぼをしていました。

 私は突起物を回して、カチャリと音を立てます。

 そして、部屋の中へと入りました。


 次もまた、あの透明な液体があるのでしょうか?

 そうだったら嬉しいのですが、おなかの方は渇きよりもひどくペコペコなので、お肉があるともっと嬉しいです。



 部屋を覗き込みます……丸い部屋ではありません。

 いえ、おそらく丸い部屋なのでしょうが、部屋中にお母さんと同じ目の色をした緑色のナニカが散らばってて、部屋の形をわからなくしています。



 緑のナニカは今まで固かった地面にも広がり、柔らかいものに変えています。

 その緑のナニカは、緑だけである物もあれば、固い何かに絡みついて……いえ、それとも乗っかって?

 とにかく、便の色をした固いナニカと一緒に仲良くくっついている緑もありました。


 便の色をした固い何かは、塔の地面や通せんぼをしていた突起物よりも固くないです。

 

「なんだろう、この緑は? あと、クンクン……変な匂い」


 部屋中に変な匂いが詰まっています。

 緑から出てる匂いだと思いますが、臭いです。


 嫌な臭いから逃げるために、階段を探します。

 ですが、緑と便の色をした固いナニカたちが邪魔をして、階段が見つかりません。

 それでも緑をかき分けて、階段を探します。



 その途中に、透明な液体が落ちているのを見つけました。


 透明な液体は緑の地面の場所に広がっています。

 近づいてみます。


 透明な液体は、下の階で出会った透明な液体ほど透明じゃありません。

 離れた場所から見た時は透明に見えたのですが、近づくと周りの緑よりも濃い緑色をした液体でした。


 緑の液体にナニカがいます。それに手を振ると、同じく手を振って返してきました。

 そこで気づきます。


「私? 私がいる? 液体の中に?」


 液体の中には私がいるようです。

 ですが、緑色が邪魔して、私の姿をはっきり見ることはできません。

 ただ、私の瞳の色が血と同じ色というのはわかりました。


 私は自分が入ってきた入り口の方へ顔を向けます。

「透明な液体の中にも、私がいたのかな?」


 あの時は渇きを癒すことに夢中で、そのことには気づきませんでした。

 それに透明な液体は、この緑の液体ほど動きが静かではありませんでした。

 ですから、動きのある透明な液体の中では、私は居心地が悪いんじゃないのかな? と思います。



 顔を緑の液体へ戻し、再び液体の中の私を見ます。

「液体の中に私がいても、液体の中のお肉は手に入らないよね。飲み物だけいただこう」


 

 緑の液体へ顔を近づけ、唇で触れようとしました。

 すると、液体の中でナニカが動いて、私に飛び掛かってきました。


「きゃっ!?」


 私はびっくりして、後ろへひっくり返ってしまいました。

 ですが、すぐに起き上がり、正面を向きます。


 そこには、緑と便の色が入り混じった奇妙な皮膚を持つ生き物がいました。

 全身は固そうな質感で、背中にはごつごつとした突起物。

 異様に長いお口。そのお口にはギザギザに尖った歯が、端から端までびっしりと並んでいます。

 お尻の方には長く揺れるナニカがあって、それは地面を叩きつけて、こちらを怯えさせようとしているかのようでした。



 私は懐から錆びたナイフを取り出して、こう唱えます。

「お肉!」

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