第3話
灰色の雲を突き抜ける真っ白な塔。
塔の周りにはたくさんのお肉の山。
あのお肉の山は、ここまで来たところで力尽きた人たちでしょう。
動ける方々は塔を登るために、お肉の山から食料をかき集めています。
私も同じようにお肉を集めることにしました。
血液の残っていた人から飲み物をいただき、お肉を剥ぎ取り、それをお母さんを包んでいた布に詰めます。
新鮮なお肉を持っていきたかったのですが、子どもの私では大量に持てませんので、乾いたお肉を中心に布へ詰めました。
準備万端――ついに、塔を登ることができます。
これは私たちの使命にして悲願。
どうしてそうなのかは知りません。
だけど、それを知る必要はないと思っています。
なぜなら、登りたくて登りたくて心がはしゃいでいるからです。
今まで感じたことはありませんが、おそらく、これが楽しいという気持ちなのでしょう。
真っ白な塔はとっても高く、とっても大きい丸。
大人の人たちは、円い柱の円柱と言っていました。
円柱の塔は、何できているのか全然わかりませんが、とても硬いです。
塔の横っ腹にぽっかり空いた入り口から中へと入ります。
中にも外と同じようにお肉が落ちてましたが、今は必要ありません。
中の地面は、塔と同じで白くて硬いです。
丸い部屋の隅に、ぐるぐると巻いた上へと上がれる場所を見つけました。
大人たちに尋ねると、ぐるぐる巻いたあれは階段と教えてくれました。
みんなは上を目指して、ぐるぐるの階段を登っていきます。
私も上を目指して、ぐるぐるの階段を登ることにしました。