表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

第2話

 歩くたびに、草履が煤けた砂に埋まります。歩くたびに、倒れている方々が増えていきます。

 歩いている人たちも、今にも倒れそうなほど衰弱していました。

 

 あの人たちが倒れてくれれば、新鮮なお肉と飲み物が手に入るのですが、なかなか倒れてくれません。

 仕方ないので、倒れている人たちからお肉と飲み物を得ます。


 古いお肉は新鮮なお肉とは違い、奇妙な匂いを放っていますが、食べられないことはないです。

 ですが、血液は飲み物になりません。

 なぜなら、古いお肉の下から煤けた砂の地面へ染み込み、ほとんどなくなってしまうからです。


 倒れた人の中には、干からびた人もいました。

 古いお肉よりも、こちらの方が役に立ちます。

 カラカラのお肉は食べにくく、味もいまいちですが、軽くてたくさん持てて、嫌な匂いがしません。


 私は錆びたナイフでお肉をそぎ落とし、お母さんを(くる)んでいた空っぽの布に詰めていきます。


 食べ物の補充は済んだので、歩きます。

 


 歩けば歩くほど、人は減っていき、お肉の量は増えていく。

 私は初めて満腹という感覚を知りました。

 貴重なお肉――今までは塔を目指すため、みんなと分け合い、限られた食料を少しずつ食べるしかなく、必要な分しか持っていけなかったから。


 ですが今は、お肉の量が何十も重なり合うほど。

 心置きなく、お肉をいただけます。

 そこには倒れたばかりの人も混じっていて、新鮮な飲み物をいただくこともできました。


 私は運がいいです。


 そうして、塔を目指して歩き続けて、ついに塔の入り口が見えてきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ