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幕間:世界
目の前には広がる戦火の景色。空には煙が立ち昇り、地面には傷跡が残っている。戦場の音は耳をつんざくような爆発音と、鋼の甲冑がぶつかる音、そして兵士たちの叫び声が交錯している。
ヴィッセル帝国、ラクラーゼ共和国、そしてレミレリーフ連邦。
それぞれが領土を巡り何世代にもわたって血を流し、消耗し、どれも一歩も譲れない状況が続いていた。
ここ、最前線では――。
戦う者たちは、すべて女性であった。
彼女たちの腕の中に握られた剣、槍、魔法の杖は、血と汗にまみれ、疲労を隠すことなく戦い続けている。
魔力が少ない者たちは戦場の前線に立つことは許されない。
すなわち、多くの男性は補給や後方任務を担い、戦の裏でこそ価値を持つ。
この世界のルール、そして常識の中で、戦いの運命は女性たちに託されてきた。
だが――。
一つの奇跡が、この戦場に新たな風を吹き込むことになる。