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6.目撃者

神楽木は幽霊に会うために朝早く家を出てオカルト研究会のサークル室に向かった。


サークル室に入ると部屋は暗く、誰もいなかった。


神楽木は部屋のスイッチを付けて部屋を明るくした。


「部屋に誰もいないから話しても大丈夫だよね、朝霧さん」


「そうだな、生きている人はいないから大丈夫だな。」


そう、生きている人は誰もいない。これから幽霊に会うためにこの部屋に来た。


「そういえば、どうやって幽霊を呼び出すの?」


「まあ見てなって。」


朝霧は宮島が倒れた机に向かって話しかけ始めた。


「そこのスーツを着た男性。俺の横の学生に姿を見せてはくれないか。」


すると、机の横からぼんやりと人の輪郭が出始め、徐々にはっきりとした輪郭を帯び始めた。


そのスーツの男性は中年でスーツを長年着こなしている風貌があった。


「急に人が出てきた!?」


神楽木は急な人の出現に驚きを隠せなかった。


「まさか、幽霊のあなたから姿を見せてほしいとは思いませんでした。」


スーツの男はそう感想をつぶやいた。


「幽霊のルールを使えばあんたを悠介に姿を見せることは可能だからな。もちろん、そっちが拒否したら見えないけどな。」


「それで、私に何の用ですか?私は降霊術で勝手に呼び出されてしまってここで退屈していたところです。」


「あんたの横にある机で昨日、人が倒れたんだ。何か知っていることがあるか?」


「ええ、昨日の出来事は見ていましたよ。ここに座っていた男性がポテトチップスを食べた瞬間、倒れてそこの学生さんが助けましたよね。とても勇敢な行動でしたよ。」


昨日、必死になって助けた男性の横でまさか幽霊が目撃しているとは神楽木は思いもしなかった。


「そのポテトチップスに誰か何かを入れてなかったか?」


「いや、それはないかな。ここに座っていた男は自分で封を開けて食べていたからね」


ポテトチップスには粉が付いていた形跡があった。このスーツの男性の会話と矛盾している。


「そうなのか。他に変わったことはなかったのか。」


「そういえば、何か粉みたいのを振りかけて食べていたな。」


「!?。その粉みたいなものはどこから取り出したんだ。」


「たしか、机の横にあるカバンから取り出したよ。」


「悠介、そのバックを開けて中身を確認するんだ!!」


「わかった!!」


神楽木は机の横にあったバックを開けて中身を確認した。


中から中身が粉が入った袋が入っており、表面にそば粉と書いてあった。


「朝霧さん、この袋・・・」


「おい、あんた。このバックは昨日倒れた男が持ってきたのか。」


「間違いないよ。昨日、このバックを持ってきたのは間違いないよ。なあ、そろそろいいかな。昨日のことを聞きたいなら全て話したよ。」


「そうだな。話をしてくれてありがとう。」


「こちらこそ、こっちも久しぶり人と話せてよかったよ。それじゃあ。」


スーツの男性は輪郭がぼやけていき、だんだん姿が消えていった。


サークル室が静寂に包まれた後に神楽木は声を上げた。


「朝霧さんどういうことなの?」


朝霧は動揺しながら話し始めた。


「昨日今日の証言と証拠を照らし合わせると宮島は自殺を図ろうとしたとしか考えられない。」


なんとなくそんな気がしていたが改めて言われると驚きを隠せなかった。


「なんで、自殺なんか・・・。そもそも人がいた中でするなんて。」


「どうして自殺をしようとしたか分からないし、自殺場所をここに選んだかもわからない。これは推理というか憶測だが、Xファイルが入ったUSBを無くしたことが原因の可能性はある。」


「それじゃあ、USBを見つければいいんじゃないかな。」


「そうだな、個人的にもXファイルには用があるからそれがいいかな。」


神楽木は腕時計を見るともうすぐで授業が始まる時間が近づいていた。


「やばい、もう少しで授業が始まる。朝霧さんはどうするの?」


「俺はもう少しここにいる。他の幽霊にも話を聞いてみたいしね。」


「わかった。一旦は別々に行動だね。」


神楽木は授業に行き、朝霧は他の幽霊に話をするために行動を分かれた。


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