ボトル・ドール 2
それは見るからに怪しげな物だった。
瓶の中に中性的な男性の姿をした人形が入っており、更に瓶の中は水のような液体で満たされている。
中にはきらきらとしたオブジェが所々設置してあり、煌びやかな装飾が至るところに施されている。
(よく水?の中に人形を入れて大丈夫だよな……どうなってんだ?素材とか。つーかなんか不気味……)
じっと見ているとふと一瞬、人形の目が光ったような気がした。
「っ、…………!」
「あら、可愛い人形~」
「うわっ」
思わず後退ろうとしたその時、いつの間に来ていたのか後ろから初芽の母がひょっこり顔を覗かせる。
「急に出て来るなよ母さん……びっくりするだろ。それに可愛いって」
「だってこのお人形さんイケメンだしすごくよく出来ているじゃない」
「可愛いとイケメンて関係あるか……?」
「気に入った!母さんこの子貰っちゃおうかなー」
「え、マジ?」
初芽は想像してみる。我が家のリビングに置かれるであろう、得体の知れない不気味な人形のことを。
目が爛々(らんらん)とし、やがてのそりと動き出し……。
──イヤイヤ、待て待てっ!
「絶対やめろ!」
「何でー可愛いじゃないっ」
「可愛くねーよ!やめろっ」
初芽は母の背中を押して人形から遠ざけ、強引に退室を促す。