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ヒカリノスミカ  作者: 高遠
シン×初芽の場合
5/6

ボトル・ドール 1

***


『初芽、良かったら今度の日曜日遊びに来ないか?』



 秋深まる10月のある日。初芽の父方の祖父・聡一郎(そういちろう)から電話が掛かってきて開口一番、そう言ってきた。



「爺ちゃん家に?」

『そう。また片付けを手伝ってほしいんだ』

「俺は別に良いけど」



 聡一郎は骨董品を集めたり、読書をするのが趣味で

膨大な量の骨董品や本を所持しており、部屋には物が散乱している。

父方の祖母で聡一郎の妻である由美(ゆみ)は腰を悪くしており、度々こうして初芽や初芽の両親に片付けの手伝いを頼むのが常になっていた。



『おやつも用意して待ってるから』

「分かった、二人に聞いてみる」



 自分はもう子供ではないのだが、と内心初芽は思ったものの祖父の家に遊びに行くのは嫌ではなく、寧ろ宝探しのようで楽しいし何より聡一郎のそういった気遣いは素直に嬉しく思った。


 初芽が一旦電話を切って両親に伝えると、ちょうど都合が良いから、と家族みんなで聡一郎の家に行くことが決まった。


 初芽は次の日曜日を心待ちにするのだった。



***



「よく来てくれたね」



 来たる日曜日。車に揺られること一時間。

笑顔で出迎えてくれた祖父母は以前会った時と変わりなかった。



「早速と言いたいところだけど先ずはお茶にしよう。疲れただろう」



 リビングに案内されてお茶とお菓子をご馳走になる。

その美味しさにほっと一息吐いていると聡一郎と目が合った。



「本当に大きくなったなぁ初芽は……学校はどうだ、変わりないか?」

「まあまあ、普通……あ、部屋見てもいい?」

「どうぞどうぞ。何か欲しいの有ったら持って行っていいよ」

「いや、さすがにそこまでは」



少し素っ気なくて不躾な物言いになってしまったが、聡一郎は初芽を咎めることはしない。

初芽はお言葉に甘えて件の部屋を探索することにした。



「うわ……また前回よりも大分物が増えたな」



 着いて暗がりの部屋に明かりを点けると、所狭しと並ぶ骨董品や書物が目に付いた。そのあまりの量にこれは骨が折れるだろう、とつい本音が洩れる。

 初芽自身は別に骨董品や本が好きなわけでもなく、歴史や美術にも疎い。一体それらにどんな価値があるかも分からない。

しかし聡一郎が集めた物は初芽にとって宝物を見つけるようにどこかわくわくして知的好奇心を擽るのだ。

あちこち見ているとある一冊の本が目に留まった。



(あ、この本続きが出ていたのか……面白そう)



手に取ってパラパラとぺージを捲ってみる。内容は世界の歴史を跨ぐ架空の冒険ファンタジーとなっている。所々実際の歴史の解説が付いており比較的分かりやすい。それがいつの間にかシリーズ化されていたのだ。

普段本を読まない初芽にとって所々読めない字も有ったが、ある程度は手持ちのスマホで調べられるので問題ない。


そのまま近くの空いている椅子に腰掛けて読もうとした、その時だった。



「…………?」



どこからか視線を感じる。


 気配を辿っていくと斜め後ろにあったテーブルの上、様々な骨董品が並ぶ中、その異様な物を見つけた。



「ビン、のなかに人形……?」




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