第一話 出逢いの4月
朝が来た。
ベッドから体を起こし、リビングへ向かう。
今日の朝食はパンだ。
いつものようにバターをつけて焼く。
パンを食べながら、僕はあの人の事を考える。
花びらが散ってしまった桜のように、みんなに忘れ去られたあの人を、僕はいつも考えている。
1枚だけでも、花びらを残すために。
僕の愛しのスマートフォンよ、頼むからあと5分だけ寝かせてくれ。
アラームにそう懇願するが、アラームは止まるわけないから、僕は目を覚ます。
「おはようございます、日本」
毎朝こんなことを言う男子高校生なんて僕くらいだろうな、たぶん。
そんなこんなで支度をし、学校へ向かっていると、
「おはよー、今日から新学期だな。同じクラスになれたらいいな!」
そう声をかけてきたのは、僕が唯一信頼できる友人の瑠人だ。
「ああ、そうだな。」
僕は考え事をしているため、大雑把に返事をした。
「またあの子のこと考えてんの?」
瑠人の方も察しが早い。その通りなんだ。だから話しかけないでくれ。そう念じていると、
「んじゃ、俺先行くな」と瑠人は先に行った。
僕の念は届いたようだった。
僕の言っている「あの人」とは、高校1年生で同じクラスになった。名前は中野恋那。
なぜ僕が恋那さんのことを考えているかというと、無論、僕が彼女に恋をしているからだ。
しかし、この想いは一方通行。
さらに彼女は、2年の9月辺りだっただろうか。友人関係でトラブルとなり、学校に登校することができなくなってしまった。
どのようにすれば恋那さんは学校に来れるのか。
そもそも恋那さん自身は学校に行きたいのだろうか。
考えているものの、何も手がかりは掴めない。
何かできることはないかと悩んでいる時、僕は瑠人の誘いで保健委員となった。
そこで、僕は運命的な出会いをした。
「一村くん、何か悩んでるでしょ。」
「なんで分かるんですか!?っていうよりあなた誰ですか!」
「はあ。保健委員なのに、私のことを知らないの? 私は養護教諭の高橋。よろしくね。」
「よ、よろしくお願いします。」
「で、一村くんの悩みは何かな?」
「そ、それは。。。」
仕方なく僕は恋那さんの事を話した。もちろん、僕が恋心を抱いていることは伏せたが、
「へぇー。一村くんは最終的に恋那さんにどうなってほしいの?」
「どうなってほしい、、?」
僕は戸惑った。そんなこと、考えもしなかったからだ。
「学校に来てほしいのか、それとも彼女の思いを尊重するのか、とか?」
「僕は、恋那さんには、、」
何も言えなかった。どんな時も彼女のことを考えていたはずなのに。今まで僕が考えてきたことは何だったのか分からなくなってしまった。僕が落ち込んでいると、
「一村くんさ、心理カウンセラーに興味ない?」
「心理カウンセラー?」
「そう。実際この学校にもメンタルケアが必要な人がたくさんいるんだよね。恋那さんも、多分必要なんだと思うよ。その練習って意味でも、やってみなよ。」
「そんな簡単なノリでやっちゃだめでしょ!僕はたった今保健委員になったばっかりですよ!」
「いいから、いいから。それに今までの一村くんの話聞いて、信用できるなって思ったから大丈夫。」
「高橋さんがいいならやりますけど。。。」
「じゃあ、よろしくね!」
そんなことで始まったカウンセリングだが、これが後に僕の人生最大の経験になることまだ知らない。
言い忘れたが、瑠人と同じクラスになることはできなかった。
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
初めて書いたため、下手だと思いますが、読んでくださりありがとうございます。
よければこの文章に対して、ここがよかった・ここをもっとこうするとよい などの感想を頂きたいです。