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着替え終わるまで  作者: 似見 正樹
9/69

9、特技を見つけよう!

登場人物

剣道部二年

○村瀬 翔也

本作の語り手。

○右近寺 優

中二病。


「トーク番組に出たときのために、特技か趣味を用意しておきたいんだけど、何が良いと思う?」

 あろうことか真剣な表情でこんなことを尋ねてきたのは、梁田俊作である。

「まず、何枠でトーク番組に出るんだよ」

 冷静に突っ込む。

「そりゃあまあ、高校生枠じゃないか?」

 ボケを重ねてくる(本人にはその意図はないが)のが、梁田クオリティーだ。しかし、こんなことで怯んでいては梁田の相手はできない。

「なんだよ、その枠。仮に高校生枠があったとして、どうして梁田が出れるんだよ。他の高校生が選ばれるだろ、その枠には」

 ここは少し怒りの感情を出して対応する。しかし、梁田には通用しない。

「でも、選ばれる可能性はゼロではないだろう。だとすれば、トークをちゃんと用意しておくのが普通だろう」

 そんなことを真っ直ぐな目で言ってくる。これの何が困るって、間違えたことは言っていないのだ。それ故に否定しにくい。

「分かった。じゃあ現時点で、何か趣味あるいは特技はあるのか?」

 仕方なく話を進める。

「普通の趣味ならある。読書とか、それこそ剣道とか。でもこんなの話しても面白くない。特技に関しては無い」

「なるほどね、人を惹きつける趣味とか特技が欲しいってことだな」

「そういうことだ。まあ趣味よりも、特技の方が良いな。実際に披露出来るし」

「それこそ、剣道で良いんじゃないの?」

 そう言うと、梁田は大きく首を振った。

「ダメだ。人に見せられるほど強くない。あと、一応候補はあるんだ。もし村瀬が良いじゃないって言ってくれたら、これでいこうと思ってる」

 それを先に言えよ、と思ったが、それは口に出さなかった。

「その特技って何?」

「階段早下りだ」

「やめておこう」

 即却下した。すると、梁田はこうなることが分かっていたのか「やっぱりか」と呟いた。

「そうだよ、普通に考えたら却下だよ」

 梁田に同調するように言った。

 それから少し時間をおいて、彼は頭を抱えながら衝撃的な言葉を発した。

「そうだよな。トーク番組のセットだと、簡単に階段用意できないもんな」

 俺は大きく息を吸い込び、

「いや、そこじゃねーよ!!!」と叫んだ。


 後に新しい特技をちゃんと考えてあげれば良かったと後悔することになるのだが、それはまだ先のお話である。

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