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着替え終わるまで  作者: 似見 正樹
3/69

3、本人には悪気がない

登場人物

剣道部二年

○村瀬 翔也

本作の語り手。

○山下 達之助

よく自慢する。


「この前、彼女と水族館に行ったんだけどさ」

 自慢したいオーラを隠しきれない山下達之助は、食い入るように俺を見ながら言った。

「あ、そうなんだ。彼女って何次元だったっけ?」

 素直に自慢させるのは癪なので、余計な事を言ってみる。しかし、慣れっこの山下には通用しない。

「もちろん、三次元だよ。それで、彼女が俺の誕生日を祝ってくれてさあ」

「そうなんだ。山下って誕生日あるんだ、知らなかった」

「誕生したからにはあるだろ。それで、誕生日プレゼントに財布くれたんだ。これなんだけど」

 渡してきた財布は革製で、どこぞのブランド品であることを思わせる。俺は無許可で財布を開き、カード類を物色した。

「お、Tポイントカードあるじゃん。俺も持ってるんだ」

「そうなんだ。ていうか、勝手に中見るなよ。彼女と撮ったプリクラ入ってるんだから」

 見るなと言った割には、満更でもなさそうな顔だ。

「プリクラってことはゲームセンターにでも行ったのか? 俺すごいUFOキャッチャー得意なんだよ」

「俺も得意だよ。彼女にアルパカのぬいぐるみ取ってあげた」

 しまった、相手の得意分野に入ってしまった。早急に対策をとらなければならない。

「アルパカって、何考えてるか分からないよな」

「俺の彼女みたいに、分かりやすかったら良いのになあ」

 敵の攻撃力が上がっている気がする。

「水族館いる間も、彼女がずっとソワソワしててさ。だからさ、この後に何かあるなって気付いちゃったよ。まあ分かってても嬉しかったけど」

 連続攻撃だと…!? 大ピンチだ。

「おーい、お待たせ」

 そんな声と共に、救世主が続々と現れた。どうやら着替え終わったようだ。

「よし、帰ろう」

 慌てて立ち上がる。

「おう。でさあ、彼女が……」

 これ、帰ってる間も続くのか?

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