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着替え終わるまで  作者: 似見 正樹
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2、強豪坊主軍団

登場人物

剣道部二年

○村瀬 翔也

本作の語り手。

○右近寺 優

真面目。


「なあ、次の大会の対戦相手見た?」

 パタパタと団扇で仰ぎながら、右近寺優が尋ねてきた。

 来週、新人戦がある。県内の全高校が参加し、個人戦と団体戦で2日間行われる。俺も右近寺も個人戦には出ないので、彼は団体戦のことを言っていると考えられる。

「確か○○高校だったな。あそこ強いの?」

 高校剣道では、県内で六校ぐらい強いと評判の学校があり、それ以外は実力が未知数だったりする。その○○高校も偏差値が五十前後ということしか分からず、剣道の実力に関しては印象が無かった。

「分からん。でも前の大会で見たとき、〇〇高校の剣道部は、全員坊主だった」

「はあ、なにそれ! 負け確じゃん!」

 高校剣道では、坊主こそが最強の証である(偏見含む)。弱小剣道部員である我々にとっては、坊主は恐怖でしか無い。

 右近寺は既に悟った表情だ。

「ヤバイな。あー、マジか。今から必殺技でも作っとくか?」

 そう提案したが、すぐさま否定された。

「必殺技を作るよりも、坊主にする方が早くないか?」

「え、なんで坊主にするの?」

 唐突な怪案に動揺し、声が震えてしまった。

 右近寺はそんな俺の様子に気付くことなく、少し得意げな表情になった。

「考えたんだけど、強いから坊主なのか、坊主だから強いのか分からないなって。もし後者が正解だったら、坊主にするだけで強くなれるんだぜ。最高じゃない?」

「そんなパワーアップの仕方ある?」

「漫画でもさ、修行してもそんなにパワーアップしないのに、何らかのアイテム身につけた途端、めちゃくちゃ強くなるだろ。同じ原理だよ」

 納得しかけたが、よく考えたら、坊主頭がパワーアップアイテムなわけない。否定しようと口を開いたが、それと同時に他の部員たちが更衣室から出てきたので、攻め方を変えることにした。

「じゃあ右近寺、坊主にしろよ」

「嫌だ」

 想定通りの流れで、会話が終わった。

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